アルミモノコックこそ少ないがアルミの使用箇所は多い
アルミホイールに、アルミブロック、アルミボディなどなど。「アルミ」という素材は、どこかクルマ好きの琴線に触れるところがある。その理由はどこにあるのだろう。
クルマというと鉄(スチール)で作られているというイメージが強いものだが、鉄は丈夫な反面、重い。そこで古くから軽量化のために金属パーツを鉄からアルミに置換する手段が取られてきた。アルミホイールはその代表格だ。
そのほかアルミブロックとしたものが「白いエンジン」が呼ばれたこともあった(1962年のマツダ・キャロル)。さらに1990年代には、ホンダNSX(初代)が世界初のアルミモノコックボディを実現。アルミへの軽量=素晴らしい というポジティブなイメージは強くなっていった。
とはいえ、アルミホイールはいまや当たり前の装備であるし、乗用車ではアルミブロックでないエンジンを探すほうが難しいくらい。アルミモノコックこそまだまだ少数派だが、アルミのアウターパネル(フェンダーやフード)は珍しくない。
1.5リッターエンジンのマツダ・ロードスターの外板はフードやフェンダーなどかなりの部分がアルミ製であるし、1.3リッターのホンダ・フィットでもアルミ製ボンネットのグレードが存在しているくらいだ。
単に鉄をアルミに置き換えれば済むわけではない
ところでアルミが鉄に対して軽量というイメージは、ある種の誤解も含まれている。たしかに比重でいうとアルミが2.7に対して鉄は7.8(合金の種類によって変わるので、あくまでもイメージとしておきたい)ので、同じ容積でいえば1/3の重量で済む。
しかし、弾性率もアルミは鉄の1/3程度であり、比剛性でいうと同レベル。単に素材を置換しただけで軽くなるというほど美味い話ではない。現実的にはアルミという素材の特性を生かした形状にすることで軽量化を実現している。また、強度ではアルミが有利。
クラッシャブルゾーンなど変形させて衝撃を吸収させることを前提とした部位をアルミにするのは軽量化につながりやすい。エンジンフードをアルミ製とするのは、まさにこうした特性からぴったりの材料置換といえる。
つまり、オールアルミだから軽いというわけではなく、アルミの得意なところ、スチールの得意なところを上手に組み合わせたハイブリッドボディがトータルで軽量に仕上がるというのが現在のトレンド。そのためには、アルミと鉄の接着といった技術革新も必要だったわけだが、いまや多くの車種でそれが実現されている。
(文:山本晋也)
複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?
複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
みんなのコメント
この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?