GT-Xとしてリリース後、Rに改修された名作
「愛のスカイライン」のキャッチコピーで人気を博したC10系・日産スカイラインがモデルチェンジし、四代目・C110系となったのは1972年のことである。この世代はCMキャラクター「ケンとメリー」から、「ケンメリ」の愛称で親しまれた。
発売が待ち遠しい!ハセガワの新作キットあれこれ【全日本模型ホビーショー2023速報】
【画像24枚】良好なボディ形状と懐かしい感じのディテールが共存する様子を見る!
機構的には先代C10系からほぼ変わりなく、L型6気筒エンジンに前ストラット/後セミトレのサスペンションという基本コンポーネンツ(GT系の場合)を受け継いだが、ボディは若干大柄に生まれ変わった。前述の広告戦略も功を奏して更なる人気モデルとなり、1975年のマイナーチェンジで後期型へ進化したあと、1977年まで生産されている。
現在でも高い人気を誇るケンメリ・スカイラインだが、中でも特に伝説的存在として崇められているのが、わずか197台のみが生産され、うち195台が市販されたと言われる2000GT-Rであろう。今さら説明するまでもないが、GT-Rは先代C10系にて登場したモデルで、当時はまだ高度なメカニズムであったDOHC4バルブのS20型エンジンを搭載した、レースのためのスカイラインである。ケンメリGT-Rが発売されたのはモデルチェンジの翌年1973年のことであるが、当時の世情から、このGT-Rがサーキットに姿を現すことはなかった。
そのように、活躍の場を持たなかったケンメリGT-Rながら、模型の題材としては引っ張りだこであり、近年もハセガワからプラモデルが発売されている。ここでお見せしているのは、かつてリリースされていたナガノ製1/20スケールのケンメリRを完成させたものだ。
ナガノ1/20ケンメリは、当初はGT-Xとして発売されたものだが、のちにGT-Rへと改修されている。そのためディテールにはRになり切れていない部分がいくつかあるのだが、ボディ形状は「見事」の一言に尽きる。特に修正の手を入れていないだけに、そのボディプロポーションの良さは作例からも分かることだろう。以下、作者・吉田氏による解説をお読みいただきたい。
雰囲気やフィーリングにまたとない魅力がある
「メーカーの倒産や事業撤退、金型の廃棄等で、再生産ができず今では入手困難なキットが多くある。大抵そういったキットは、オークション等での価格が年々ウナギ昇りの傾向にあるが、今回の作例であるナガノの1/20 ケンメリGT-Rもそういったキットのひとつではないだろうか?
私がこのキットを買ったのはおそらく20~25年ぐらい前だったと思う。模型店に突如としてこのケンメリが現れ、今思うと、おそらくそれが最後の再販だったのかと想像されるが、当時としてはそんなことは知る由もなく、『ナガノ? あまり聞いたことないな』などと思いつつ買ってみたのであった。
早速制作してみると、ボンネット/ドア/トランク全て開閉のキットなのだが、それぞれのパーツの合いが悪くガタガタであった。さらに、お世辞にもカッコイイとは言えない8スポークのホイールも相まって、何とも締まりのない仕上がりとなり、『お気に入り』とはならなかった。
そのため、最近のナガノ製ケンメリの価格上昇に対しても、『あれに大枚を出すの?』と不思議に思っていた。ところが昨年、何かの拍子に、昔作ったナガノのケンメリが物置きから出てきたのである。ゲンキンなもので、近年の価格上昇を知ると気になってしょうがなくなってしまった。よく観察してみると、当時感じたガタガタ感はやはり拭いきれないが、ボディのスリム感が素晴らしく、キッチリ組むと化けそうである。
かくして、ナガノ製ケンメリのレストア作業を始めたのだが、ガタガタの開閉パーツはボンネット以外、全部閉固定してしまい、チリ合わせを行った。ホイールはタミヤの1/24ハコスカの鉄チンホイールをリム増しして装着。するとどうだろうか? 今のキットと比べれば詰めが甘い所もあるものの、それが逆に、計算されていない自然の良さとでも言うべきか、当時の実車の雰囲気を匂わせるような、不思議な魅力を醸し出ているように思う。
このキットを現在手に入れるには大枚はたく必要があるが、あるいは、実車で旧車を買うような感覚で考えると良いかもしれない。その心は――旧車を買っても性能や快適性は現代の車に全く敵わないが、雰囲気やフィーリングにはまたとない魅力がある……その魅力に価値を見出せる方であれば、いくらか高価でもこのキットを購入する価値は充分にあるだろう――ということだ」
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みんなのコメント
そのメーカーも無くなってしまいました。ヤフオクでたまに売られたりしますが、大変貴重なキッドの為高い値段で取り引きをされています。
私は、ナガノ製のプラモデルを作った事はないなですが、一度は作ってみたいです。