■法規対応となったジムニーシリーズ。反響は?
2018年のデビュー以来、何かと話題に事欠かないスズキ「ジムニー」。
日本製クロスカントリー4WDとしては、トヨタ「ランドクルーザー」に続く世界的な名車になっていると言えます。
【画像】めちゃカッコいい! スズキ新型「ジムニー5ドア」を画像で見る
2024年2月には、都内の並行輸入車業者がジムニーシエラ(海外名ジムニー)の5ドアモデルを日本でも発売して話題をさらいました。
ただし、日本向けの生産状況は相変わらずのペースで、一時は1年を切るまでになった納期も、オートマティックトランスミッションの部品不足が影響して、現在は2年待ちの状態に戻っています(MTは約半年)。
そのため、5ドアモデルの日本発売はもちろんのこと、先代モデルであればフェイスリフト、特別仕様車の追加をとっくに行っていたであろう時期になっても大きなアクションは何もない状態です。
それだけ販売が好調だという証しかもしれませんが、実は現行のジムニーシリーズはあまり目立たない仕様変更を行い、ジムニー、シエラとも4型になっているのです。
最初に仕様変更が行われたのは、2021年9月。シリーズ全グレードにオートライトシステムと自動消灯装置が標準装備。またAT車にアイドリングストップ機能を付けるなどの仕様変更が行われました(2型)。
2022年6月には、それまでオプション設定だったグレードにもスズキセーフティサポートが標準化された他、MT車にもアイドリングストップ機能が追加されています(3型)。
そして2024年2月には国内の法改正に伴って、リアパーキングセンサーとそのインジケーターを全車標準装備に(4型)。
これと併せて原材料高騰を理由に、99000円(税込)アップの価格改定に踏み切りました。
発表は2月19日ですが発売は4月11日。都内にあるスズキアリーナ店に聞いてみたところ、現状ではまだ仕様変更後の車両はデリバリーされていないということでしたが、4月に入ったら徐々に4型に切り替わるのではないだろうかということ。
つまり4月を境に、旧価格で買える人と新価格になってしまう人がいるわけです。ここで混乱が生じないのでしょうか。
「ジムニーは非常に長期にわたってお待たせしているという現状なのですが、1年、2年という納期の中では仕様や価格の変更が予想されるわけです。
ですので、契約時に“納車時に価格変更もありうる”ということを説明してご納得いただいた上で、メーカーに発注することにさせていただいております」(販売スタッフ)
とは言え、この仕様変更には納得していないユーザーも多いようです。
2023年の夏にジムニーが納車されたという女性オーナーに、話を聞いてみました。
「法改正で仕方がないのかもしれませんが、5ドアならいざ知らず、3ドアモデルでは車両の後ろを確認することも容易です。
それに最近は、モニター付きのオーディオやドライブレコーダーを買えば、バックカメラが付いてモデルが少なくありません。
何の選択肢もないまま、いきなり10万円アップと言われても、私なら納得できません」
また、あるジムニーカスタムショップのスタッフは、次のように話しています。
「新しい保安基準では、2024年5月以降に販売される車両には、後退時車両直後確認装置の取り付けが義務づけられているわけです。
ですが同時に、バックカメラ、検知ステム、ミラーのいずれでもいいと明記されているわけです。
だったら、なぜパーキングソーナーの標準装備なのかなと。
最近のオーディオ機器にはバックカメラがセットになっていることは珍しくないし、そもそもジムニーのカスタムをする人は前後バンパーを交換する人が多いんです。
そういう人はセンサーが無駄になってしまいます。だったら、ミラーを付けてくれたほうが車両価格も安価に収まるし、よほどユーザーフレンドリーなのではないでしょうか」
※ ※ ※
パートタイム4WDシステムやラダーフレーム構造、リジッドアクスル式サスペンションなど、製造コストが一般的な軽自動車に比べると高いと言われているジムニー。
デビュー時には破格と言われていましたが、ふと気づくとジムニーの廉価グレードXGのMTは165.44万円という価格に。この5年で約20万円もプライスアップしたことになります。
一方で、ジムニーの装備には不満を持つユーザーが多く、カップホルダーや収納スペースの少なさなど使い勝手の悪さを指摘する声が聞こえてきます。
時代の流れと共に価格が高騰するのは仕方がないとは言え、ユーザーとしては基本的な機能、装備も見直して欲しいと思っているのではないでしょうか。
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