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【手放し運転、遠い未来か?】条件付きの「手放し」 わかりづらさのワケ 今はまだ発展途上

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【手放し運転、遠い未来か?】条件付きの「手放し」 わかりづらさのワケ 今はまだ発展途上

「手放し運転」 使い方、伝わっている?

text:Kenji Momota(桃田健史)

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ハンズフリー(手放し)で運転できるクルマ。日産やテスラなど、各メーカーによる量産化が進んでいる、手放し運転。

果たして、ユーザーに対して、その使い方がしっかりと伝わっているのだろうか?

フォードは今年(2020年)6月18日、高度な運転支援システム「コ・パイロット360」で、ハンズフリードライビング機能を追加したと発表した。

コ・パイロットは一般的に、飛行機の副操縦士を指す言葉だ。自動車のラリー競技は、助手席のナビゲーターを、コ・ドライバーと呼ぶように、「コ(Co)」とは共同で作業する役割を指す。

フォードの、コ・パイロット360には、0km/hまで対応する前車追従式のクルーズコントロールや、斜め後方からの車両接近を知らせるブラインドスポット警報、カメラによる交通標識認識など、最近の日本車でも標準装備化されるようになったシステムが搭載されている。

ハンズフリー機能については、今年夏から販売される2021年モデルのEV(電気自動車)、マスタング「マッハE」から、コ・パイロット360・アクティブ2.0プレップパッケージとして採用。

今後、他のフォードモデルにも順次拡大する予定だ。

ハンズフリーの利用は、全米50州の全長16万kmの高速道路に限定される。

具体的に、ハンズフリーで何をすることが許されるのか?

常に前を注視せよ ながらスマホNG

ハンズフリー、と聞いて多くの人が思い浮かべるのは、スマートフォンだろう。

すでに、スマートフォンと車載器を近距離通信システム、ブルートゥースを使って、車内でハンズフリー通話ができる。

この場合のハンズフリーとは、「スマートフォンを触らない」というハンズフリー。

フォードなど、高度な運転支援システムを使ったハンズフリーとは、走行中にハンドルを常時握る必要がない、という意味である。

フォードが公開した画像では、担当エンジニアは走行中に前方をまっすぐ見た状態で、左手にドリンクボトルを持ち、右手はセンターコンソールの上に添えられている。

また、公開された動画では、走行中にドリングボトルを右手に持ち、左手でキャップを開けてドリンクを飲む様子がCGで描かれている。

この場合でも、運転者の視線は常に前方を見ている。手元のドリングボトルをじっくり見たり、飲む時に大きく上を向くような仕草をしていない。

なんだか、ぎこちない動きに見える。

なぜそうなるかというと、今回のフォードが量産するハンズフリー走行では、ドライバーは常に、クルマの前方や周囲に対して、ハンドルを握っている状況を同じように注意を払う必要があるからだ。

つまり、「ながらスマホ」は許容されない。

なんだか、わかりづらい解釈だ。

条件付き なんだかとてもわかりにくい

今回のフォードのように、高速道路を走行中にカーナビ連動・同一車線でハンズフリーで走行できるシステムを世界で初めて量産したのは日産だ。

2019年7月に発表した、スカイライン搭載のプロパイロット2.0。日産では、ハンズフリーではなく、ハンズオフという言葉を使う。

日産の説明によると、まず高速道路の複数の車線をカーナビに連動させてルートを設定する。

その上で、ドライバーは常に前方を見て、周囲に注意を払い続けること。必要に応じて、ハンドルを確実に操作できる状態にあることを求めている。

また、但し書きとして、対面通行路、トンネル内、カーブ、料金所/合流/車線数が減少する地点及びその手前などでは、ハンズオフできない、とある。

要するに、直線路が長い高速道路向けなのだ。

とはいえ、例えば新東名高速道路は直線路が長いが、トンネルも多く、ハンズオフになったり、ならなかったり、実際に使おうと思えば結構面倒だ。

このように、走行する場所が細かに規定されているは、運転姿勢は決まっているは、ユーザーにとっては扱いにくい。

それなのに、なぜ自動車メーカー各社はハンズフリー走行に拘るのか?

その背景にあるのは、自動運転の技術進化における「途中にいる」という事実だ。

自動運転の技術 いまはまだ発展途上

自動運転レベルは0から5まで6段階ある。

その中で、大きな課題はレベル3の壁だ。

日産やフォードなどのハンズフリー走行は、自動運転のレベルではレベル2に相当する。

このレベル2までは、運転の責任は運転者にある。だから、例えハンズフリーでもドライバーは常時、周囲に注意を払う必要がある。

これがレベル3以上になると、運転の責任はクルマのシステムに移る。そうなれば、自動運転中は車内で様々な行動が許される。

ながらスマホや読書が可能となる。

ただし、レベル3では、クルマのシステムが自動運転の継続できないと判断すると、運転席にいるドライバーに対して、表示や警告音によって運転の切り替えを依頼している。

そのため、シートを倒しての深い睡眠や、飲酒はNGとなる。

日本では道路交通法が改正され、今年4月から公道でのレベル3走行が可能となった。

ホンダは当初、今夏を目途にレベル3量産化を計画していたが、社会状況に鑑み導入を延期している。

そうした法規制の緩和や、技術の詳細について、ユーザーは詳しく知らない。

そのため、ハンズフリーによって何ができて、何ができないのか、わかりづらくなっているのが実情だ。

あと10年も経てばユーザーは、「あの頃は、自動運転もまだまだ発展途上だったな」と過去を振り返って笑うのかもしれない。

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