レース期間中にくつろげるプライベートスペースが後席だった
よく「レーサーなのに後席乗るの?」と聞かれるが、レーシングドライバーという職業であってもクルマの後席には昔からこだわりを持っている。2ドアのスポーツカーならいざ知らず、4つドアを備えた5人乗りが前提であることが多い近年の乗用モデルが、後席を重要装備とみなさないのは理解し難いことではないだろうか。
この後席は狭すぎる! 一見ファミリー向けなのに家族で使うには厳しいクルマ6選
僕が最初に後席に注目するきっかけとなったのは1980年に発売されたマツダ・ファミリア(5代目BD型、通称323)だ。2ボックスのコンパクトなファミリーカーだったが、後席の足もとスペースを広く取り、「ラウンジソファシート」と呼ばれた後席シートは見栄えがよく、背もたれはリクライニングし、分割可倒式で荷室の使い勝手も良かった。大学生のころに新車で購入し友達を乗せると、それまで後席を嫌がっていた連中が争うように後席に乗りたがった。
後席のユーティリティだけがヒット要因ではないが、323ファミリアは爆発的なヒットモデルとなる。今でも323ファミリアのラウンジ形状後席を模しているモデルも散見する。
レーシングドライバーとなってからはクルマでの移動時間が長い。三重県・鈴鹿サーキットから仙台までの移動など500km以上のドライブが日常的だ。それだけにドライビングの楽なクルマを求めたが、同時に後席で心地よく休憩を取ることも重要だった。とくにサーキット内では当時、バブル経済の影響もありモータースポーツが大流行り。観客数は半端なく、富士スピードウェイには毎回10万人前後の観客が集っていた。
だが当時の富士スピードウェイにはドライバー用の個室や休憩室などのホスピタリティがない。仕方なくパドックに駐車した車内で休憩したり着替えたりしたものだ。それでもパドックパスを持った熱心なファンがクルマを取り囲み、サインや写真を頼まれる。そんな衆人監視のなかで着替えたり精神統一し集中力を高めるために、外から車内が見えにくく、着替えも楽なほどに広く、外界の喧騒をシャットダウンしてくれるクルマを欲した。
そんな要求を満たすために当時の僕が選択したのは、米国製シボレー・アストロ(商用バン)を改良した「スタークラフト社」のコンバージョンモデルだった。3列シートのミニバンで後席2列目のリクライニングはもちろん、回転対座も可能なフルレザーのキャプテンシート。3列目は電動稼働でフラットなベッドにもなる。ウインドウにはすべてブラインドが備わり豪華なデコレーションの内装で静かな音楽でも流せば精神統一には最高の環境が整えられた(写真はベースモデル)。
エンジンをかけないとエアコンを効かせられないのが唯一の問題点だった。こうした米国製コンバージョンの発想が現在のトヨタ・アルファード/ヴェルファイアなどの豪華内装仕様に影響を与えたといっても過言ではないだろう。
軽自動車でも後席が広々快適になったモデルが増えてきた
その後、E38型BMW7シリーズのセダンの後席に魅了され乗り換える。最上級の750iLはホイールベースが3070mmもあり、後席の足もとスペースは圧倒的な広さを誇った。シートはもちろんレザー仕様で、後席も左右独立で電動リクライニング機構を備え、シートヒーターも備えていた。また後席専用のエアコンユニットと吹き出し口を備え、ウッドテーブルにライティング付バニティミラーやセンターアームレストにはオーディオコントロールユニットも備えている。極めつけに後席ドアウィンドウに目隠しにもなるブラインドサンシェードをも備えていた。
もともと窓ガラスは全席遮音に優れた2枚ガラスを備えていて、外界の音を高度にシャットダウンしていたから室内はつねに静寂が保たれる。アストロ・コンバージョンから乗り替えても、まったく遜色ない使い勝手と居心地の良さだった。セダンでもこんなに居心地のいい後席が備えられるというのは323型ファミリア以来のカルチャーショックだった。
それ以降、メーカー各社に4ドア車の後席について意見をつねに伝えて来た。それがおもに下記の5つだ。 1 後席もリクライニング機構を付けよう。 2 後席にもシートヒーターを付けよう。 3 後席用エアコン吹き出し口を設けよう。 4 後席足もとを広くしよう。 5 後席窓にブラインドサンシェードを付けよう。 その意見を受け入れてくれたのはマツダCX-5(現行)だ。1/2/3を満たしてくれた。トヨタは現行RAV4で1/2/3/4を満たし、北米輸出用の3列シートモデルには5も備えフルマークとなっていた。
レクサスが4代目となるLSを登場させるとき、当時の担当開発主査だった吉田守孝氏にBMW750iLの後席の素晴らしさを伝えた。そして装備的には要件を満たしたLSが登場して嬉しく思ったが、剛性感や完成度を高めるにはもう少し熟成が必要だった。
今では高級車と呼ばれるクルマのほとんどは1~5を満たしている。時代はホンダN-BOXなどのスーパーハイト軽モデルにも1/4/5などの装備が備わり始めていて、レーシングドライバーの食指はフルマーク軽の登場をも待ち望んでいるのだ。
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
発表5日で受注停止! 瞬時に5万台のバックオーダーを抱えたスズキ新型「ジムニーノマド」はいつ買える? じつは“意外や早く受注再開”されるかもしれない その理由とは
日産復活のカギはやっぱり[新型マーチ]!? ヤリスやフィットを超えるコンパクトカー誕生なるか!? 2025年度に発売確定!
トヨタ新「ハイエース」発売! “GRパーツ仕様”も発表! タフ感すごい「最強ゴツ顔」が激カッコイイ! 大人気のTRDエアロが「GRブランド」化して新登場!
怖すぎ!? 高さ4m「巨大つらら」発生でクレーン車が出動 国道の「ループ橋」で緊急除去作業へ SNSでは「作業ありがとうございます」感謝の声も
激混み四日市“完全スルー”実現!? 「ネオ国道1号」延伸に続き「県道のナイス!な区間」が開通 「名阪国道まで行けるぞ…!」
10トン超えのバッテリーを搭載して航続距離500km……ってホントにエコ? 大型トラックはBEVよりもFCVのほうが最適解
日産復活のカギはやっぱり[新型マーチ]!? ヤリスやフィットを超えるコンパクトカー誕生なるか!? 2025年度に発売確定!
こ、これアウトランダーじゃね!? 決算説明から見えた[日産PHEV第1号車]は三菱からのOEMか?
高速道路を「トラック横並び完全封鎖」で渋滞…むかつく風景が日常茶飯事な「意外な理由」とは? 逆に嫌がらせしたら「免許返納」レベル! 思わぬ「うっかり交通違反」にも注意
「これが売れなかったら四輪撤退…」→超ロングセラーに! 世界の「シビック」を生んだ“妙な納得感のある理論”とは
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント
快適な車など糞食らえという考えのやつしかいないのだから。
コレ、自分も好きです。サイドガラスにフイルムを貼って前席の隙間にシェードを立てれば最強。車内での着替えや休憩もなんの問題もなく出来る。秘密基地みたいで好きです。