ポルシェ356ホリディにタイカンで
ポルシェ356クラブ・オブ・ジャパンが2年に1度開催するポルシェ356ホリディに、ポルシェ・タイカンで参加した。
【画像】最新EVタイカンで356に会いに行く【ポルシェ356ホリディの様子】 全93枚
本来なら、わたしの所有する1957年式ポルシェ356Aカブリオレで参加するところだが、タイカンの長期走行テストをしていることと、最新のポルシェであるタイカンと最古の356を並べて皆さんに見て頂こうという思いもあり、タイカンで行くことにした。
今年のポルシェ356ホリディの様子は、すでにAUTOCAR JAPAN別記事「ポルシェ356ホリディ 飛騨・白川郷に70台集合 ポルシェの原点タイプ356のイベントとは」でアップされているが、ポルシェ356クラブの中部支部が担当し、飛騨高山を宿泊地として、高鷲、白川郷、飛騨古川などを回るイベントであった。
今回は何と70台もの参加車があり、前夜祭も含め3日間に亘る実に盛大なイベントとなった。
イベントの1日目は、18時30分から開催の前夜祭からスタートする。
わたしのこの日の行程は、出発地の甲府から前夜祭のおこなわれる東海北陸自動車道の高鷲インターチェンジ近くの宿泊地、コージュ高鷲まで、松本から安房トンネルを経て飛騨高山を通過する233kmの距離であった。
400km程度の走行可能距離を持つタイカンにとって、この距離は何の問題もないが翌日、白川郷を経由して高山まで約100km以上の行程があるため1回は充電しておきたかった。
ところが、コージュ高鷲に問い合わせると充電器の設備はないとのことで、やむを得ず途中の東海北陸自動車道のひるがの高原パーキングで急速充電を利用する予定を組んだ。
当日は午前中から多忙で、甲府を出発するのが13時30分になってしまった。
グーグルで見ると正味4時間近くの所要時間が出ているので、18時30分からの前夜祭に30分の急速充電をおこなってから参加するのはかなりタイトなスケジュールであった。
タイカンは100%充電、走行可能距離391kmの状態で甲府をスタート。
天気も良く快調に走って予定どおり夕暮れ近くの17時20分に上りのひるがの高原PAに到着すると、充電器は1基しか無く、しかも運が悪いことにテスラが充電に入ったばかりであった。
この状況では充電終了まで約1時間かかり、それを待っていると前夜祭の開始に間に合わないため、ここでの充電は断念して他の方法を考えることにした。
やはり、現在のような脆弱なインフラでは、EVを使用して余裕のない行程は組めないなあ、としみじみ感じたのである。
この日の走行は246km。走行可能距離残は170kmであった。
因みにオドメーターは8309kmを指していた。安房トンネルから高山までの下りはかなり電力回生ができていたので、その分25kmほど走行可能距離が伸びたと思う。
充電繰り返しコンクール・デレガンスへ
2日目の最初の集合場所は庄川インターチェンジ出口にある道の駅桜の郷庄川であった。
356ホリディで設定されたコースは県道であったが、わたしは高速道路を利用し、高鷲と荘川の間にある下りのひるがの高原PAで30分の充電をおこなうことにした。
このパーキングの急速充電器は40kWhのもので実際にセットすると361V/94-95Aが流れていたので、34kWh程度の充電量であった。
ということは30分でその半分の17kWh分が充電されることになる。
この時点で、オドメーター8318km/36%/140km残から、53%/219km残まで戻すことが出来た。
その後、集合場所の道の駅に行くと40kWhの急速充電器が1基備えられていた。
空いていて、しかも、昼食まで1時間半ほどここに留まるので30分の充電をおこなった。
この時のオドメーターの距離は8327km、充電後は74%、293km走行可能まで復活したので、本日の走行には充分と判断した。
午後はいよいよイベントがスタートし、御母衣湖沿いの国道156号線を北上するツーリングの後、白川郷の広い駐車中場でコンクール・デレガンスの審査をおこなった。
因みに356クラブのコンクール・デレガンスは、間違いなく日本で1番厳しい審査をおこなっていると思う。
伝統的にUSの356レジストリーや、ペブルビーチのレベルにあわせているからで、このような高い見識はぜひ日本の単一メイクスのクラブのイベントには欲しいものだ。
この日のメインイベントは、高山グリーンホテルで開催されるディナーパーティである。
2年に1回の356ホリディでは、大半のメンバーがおしゃれにブラックタイで参加していた。遊びも、このくらいの徹底が大切なのである。
旅程を通じてEV問題の核心に触れる
宿泊先の高山グリーンホテルに事前に充電器の状況を確認すると、常磐ホテルのJTBのケースとまったく同様で、3kWhの充電器が2基設置されているが、今年の2月以降、充電カードが使えなくなりお客さまがワレットの認証で苦労してる、とのことであった。
そこで、当社と同じような4桁の暗証番号の方法をお知らせし、それに変更したと連絡をもらって安心していたが、実際に行ってみると理解されておらず、その場で支配人がワレットの入力を始めた。
しかし、なかなかアクセスできず、わたしは一旦部屋に引き上げ、アクセスが完了したのはパーティの前の年次総会の始まる直前であった。
この2日間で期せずして、今のEV問題の核心に触れた感がしたのである。
翌朝、充電量を確認すると8時29分の時点で、57%/224km走行残から、14時間26分の充電で、98%/389km残まで復活した。
この時のオドメーターは8412kmを指していた。
3kWの充電器ではこんなものだと思うが、夜のうちに帰りのための充電が完了しているのは安心である。
ホテルの駐車場ではコンクールで優勝した最初期1951年のスプリット・ウインドウの356と並んで写真撮影をした。
並べてみてあらためて驚くのはそのサイズの違いである。
なんと356が可愛くチャーミングに見えることかと大いに感動した。
そして、タイカンも356から続く伝統の仕上げの良さを見せてくれていることにも感動したのである。
この後、古川祭りと古い街並みで名高い飛騨古川まで、豪快に山峡のワインディングを駆け抜け、古川市の好意で市内中心部の祭り広場に356群をとめ、高山とは一味違う飛騨古川の白壁土蔵街を散策した。
抹茶のお点前や飛騨牛のお弁当などを楽しみ、13時には解散となった。
古川からの帰路は、やはり安房峠を抜け松本を経由して中央道に入り、甲府に到着したのは17時ちょうどであった。
この時のオドメーターの距離は8636km、バッテリー残量は51%、走行可能距離217kmであった。
トータルの走行距離は576kmで、この間に急速充電2回、3kWhの普通充電が1回であり、合計の推定充電量は79.18kWhとなった。
したがって7.27km/kWhとなり、普段よりかなり良好な燃費となったのである。
この旅では、やはり充電インフラの充実が急務であると実感した。クルマ自体は絶好調であるのに、と思う。
実は、更なる問題を次の旅行で体験したのだが、それは次回に。
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みんなのコメント
これは最大のメリットですね。
ホテルに泊まってる間にガソリン補給は出来ません。
そしてガソリンスタンドまで行かなければ給油も出来ません。
いつも充電量を気にしながらのドライブになってますが、そこは慣れてないだけですね。
ナビやスマホを使って予め充電出来る場所さえ把握していればそんなに恐々とする必要はありません。
インフラが整うのと頭を切り換えられるか?だと思います。