先日行われたル・マン24時間のサルト・サーキット内のNASCARブースで、サプライズで発表された小林可夢偉のNASCARカップ・シリーズのスポット参戦。ル・マン後に行われたスーパーフォーミュラ(SF)の富士公式テストの場で、改めてNASCAR参戦の現状を可夢偉に聞いた。
TOYOTA GAZOO RacingのWECチーム代表であり、ドライバーとしても参戦している小林可夢偉。これまで世界各国のさまざまなレースに参戦してきた可夢偉だが、また新たな挑戦をすることになった。アメリカを代表するストックカー・レースカテゴリーNASCARの、しかもトップカテゴリーであるカップ・シリーズにスポット参戦することになったのだ。
NASCARのカップ・シリーズにはトヨタ、シボレー、フォード3社がマニュファクチャラーとして参戦しており、可夢偉はもちろん、トヨタ・カムリのNext-Gen車両で参戦することになる。
「テストを含めて、これから3回くらいアメリカに行きます。シート合わせをして、一度レースを見に行って、そこでチームがどのように動いているのをみて、あとはテストと、シミュレーターはTRD USAにあるものに乗ります。レースまでにひと通り全部やりますね」と、8月13日にインディアナポリスのロードコースで開催される『ベライゾン200・アット・ザ・ブリックヤード』に向けて準備を進める可夢偉。
「気持ちとしてはもう、デビューというか正直、何もわかっていないので、行き当たりばったりは部分はあります。でも、NASCAR畑出身ではない人がレースをしても結果を残せるようにやりたいですね。今までキミ(・ライコネン)とかジェンソン(・バトン)が出ていますけど、いい時もあれば悪い時もあるみたいな感じで、(スポーツカー/GTカーを主戦場とし、IMSA参戦時のウェイン・テイラー・レーシングでは可夢偉のチームメイトだった)ジョーダン・テイラーがデビュー戦から予選で2番手に行っていたりするので、どちらかと言うとGT寄りのクルマなのかなと。でも、どちらかと言うと僕の方がオールラウンダー的なところがあるので、うまくクルマに合わせて、何か爪痕を残せればなと思っています」と抱負を語る可夢偉。
最初のオファーは「トヨタ以外」から。小林可夢偉が明かすNASCAR参戦決定の裏側と、抱く“野望”
トラック・シリーズやエクスフィニティ・シリーズなどの下部シリーズを経ずに、いきなりNASCARの最高峰カテゴリーにデビューするというのは日本人ドライバーとしてはもちろん初めてであり、日本人ではなくてもかなり異例なことなのは間違いない。IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権へのキャデラックからのエントリーなど、これまでの可夢偉のアメリカでのレース参戦の実績が実を結んだようだ。
「いきなり最高峰クラスのカップシリーズでデビューするというのもないですからね。普通はその下のカテゴリーから上がっていくというのがNASCARのカテゴリーなので、そういう意味では、今までアメリカでレースをしてきたのが意味があったなと思います」
「僕がIMSAで走っていた時の所属チーム、アクション・エクスプレス・レーシングのチームオーナーが、(NASCARのCEO兼会長の)ジム・フランスさんなので。(NASCARで参戦するチーム)23XI Racingはオースティンのロードで勝っていた(ライコネン、バトンらも出場した3月末のエコパーク・オートモービル・グランプリで優勝したテイラー・リディック)チームですから(6月末の時点で43チーム中、13位)、トヨタ勢の中ではロードでいいチームだと思います」
ちなみに、23XI Racingのチームオーナーは、NBAバスケットボールの神様、マイケル・ジョーダン。そのジョーダンには、「会っていないです。僕はあんまり詳しくないんですけど、サーキットには来ないんじゃないですかね」と、可夢偉もあまり気にしていない様子。
今回はスポット参戦ながらも、今後オーバルを含めたNASCARへのシリーズ参戦などに期待は高まるが、「まだそういうレベルではないです。とりあえず1戦やってみてですね」と可夢偉。
「僕にとって未知のレースですけど、しっかり結果を残すことによって、その先にもつながるんじゃないかなと思っています」と、今後の期待を述べた。
8月13日に開催される、可夢偉のNASCARデビュー戦、NASCARカップ・シリーズ2023『ブリックヤード200』は、先日、GAORA SPORTSで生中継することが発表された。
レーシングドライバーとして、そしてチーム代表として日本のモータースポーツをさまざまな形で盛り上げている小林可夢偉。先駆者、可夢偉のアメリカでの新しい挑戦はどんな可能性を見せてくれるのだろうか。
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