現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > どうするマツダ?【池田直渡の5分でわかるクルマ経済】

ここから本文です

どうするマツダ?【池田直渡の5分でわかるクルマ経済】

掲載 118
どうするマツダ?【池田直渡の5分でわかるクルマ経済】

車種別・最新情報 [2023.01.06 UP]


どうするマツダ?【池田直渡の5分でわかるクルマ経済】
文●池田直渡 写真●マツダ

自動運転、AI…モビリティの「今」と最新中古車情報を一挙解説


 若かりし頃、当時勤務していた出版社の社長に「マツダの問題は売れる時も売れない時も、想定外だってことなんだよ」と言われて、ああ、なるほどと思ったことがある。初代ロードスターがヒットしていた時だった。


 マツダ自身も、そう数は売れないと思っていたロードスターがヒットした代わりに、絶対に売れなくてはならないファミリアネオが大コケしていたのだから、まあ言われても仕方がない状態だったと思う。


 今は、もうそんなことはない……のならいいが、実はまだそういう想定外は払拭できていない。


 ここ数年進めてきたマツダの戦略は、車種群をラージとスモールに分けて、2つのプラットフォームで全てのクルマをカバーする方針だ。それは中期経営計画でも度々発表されてきている。


 ところがそれが上手く行っていない。問題は「売れない」ことではなく、「売れている」ことだ。現在マツダの屋台骨を支えているのはCX-5である。数年前までは全台数の1/4を占めていたCX-5は今や1/3にまでその勢力を拡大している。


 「いや、売れているのならいいではないか」と思うかも知れないが、CX-5のプラットフォームは初代SKYACTIVの改良版であり、ラージとスモールの第7世代プラットフォームではない。しかしながら、実際に売れて、企業利益に貢献しているので、順次代7世代の技術を取り込んで、改良が続いており、年次改良が施されるごとにその完成度を高めている。


 しかも、当時のマツダの戦略価格を反映して、価格も安い。商品が良くて安いのだからヒットして当たり前。マツダにとってもありがたいことは言うまでもないが、一方で頭痛の種でもある。それはどういうことか?


※CX-5は2012年の初代モデルから第6世代
 マツダは第6世代で、一括企画・コモンアーキテクチャー・混流生産を大々的に取り入れて、コストを抑えながら商品価値を高めた。さらに戦略価格で商品を送り出して、V字回復をやってのけた。


 この成功から次のステージに進む時のキーワードが「高付加価値販売」、マツダが言う「良品適価」である。 戦略的価格→良品適価によって、第7世代商品は第6世代商品より全体に価格が上がった。もちろんマツダ自慢のCO-PILOTや、ADAS(高度運転支援機能)の充実、コネクテッドなど、お金のかかる開発がどんどん増えているので、その分は値上げせざるを得ないのだが、そうやって新しい標準価格のヒエラルキーを見ると、CX-5だけが異質に見えてくる。CX-5と比べるとCX-30が割高に見えてしまう。


 ラージとスモールの2ラインで進める予定にそぐわない。だからマツダはCX-60の廉価バージョンをCX-5から乗り換えやすい価格でリリースした。よく見ると、HEVを含む電動価モデルはそういう値付けにはなっていない。安いのは純内燃機関のグレードだけだ。マツダは中期経営計画の中で、2030年にはグローバルで電動化100%を表明しており、つまり遅くとも2030年までに、これら純内燃機関グレードはカタログから消えることを意味している。


 つまり、CX-5からCX-60への乗り換えを済ませたら、その乗り換え用戦略価格グレードがなくなるということになる。さて、そう上手くいくだろうか?


 マツダ内部の色々な人に聞いてみても、なかなかはっきりしたことを言わないが、現在考えられる選択肢は3つある。第一はすでに述べた様に、CX-60の廉価モデルで顧客をラージ側で上手く吸収させて、CX-5をフェードアウトさせる戦略。


 第二は、北米で発売している、スモールプラットフォームベースのCX-50のナローボディバージョンを、日本を含む他の地域でも発売し、スモール側で上手く吸収してCX-5をフェードアウトさせる方法。第一の戦略と第二の戦略はミックスして行われる可能性もある。


 そして第三の方法は、プラットフォームを3ラインにして、あらたにミドルプラットフォームを立ち上げることだ。しかしながら、プラットフォームを1つ増やすというのは大変なことで、もちろんそう簡単な話ではない。けれども、それがマツダのグローバル販売の1/3を占めるとなれば、コンセプトがどうのと言っている場合ではない。企業の存続関わることもありうる話だからだ。


 今、マツダに対する筆者の最大関心事は、CX-5をどうするのかである。これまでマツダが取り組んできた様々な改革をよく知っている身としては「CX-60を買ってあげてください」という気持ちは重々あるのだけれど、今のCX-5の出来を見ると、そりゃ魅力的だよなぁという気持ちにならざるを得ない。


 さて、マツダは果たして、売れるのも売れないのも想定外という状況からどうやって抜け出すのだろうか?

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

FA20エンジン搭載車へHKSからの答え! 純正比45%軽量の右側1本出しマフラー「 Hi Power SPEC-L2 Single ZN6/ZC6 FA20」が新登場
FA20エンジン搭載車へHKSからの答え! 純正比45%軽量の右側1本出しマフラー「 Hi Power SPEC-L2 Single ZN6/ZC6 FA20」が新登場
くるまのニュース
ライバルはBMWやアウディ! ニオEL8へ試乗 航続距離は充分 653psでも足が柔らかすぎる?
ライバルはBMWやアウディ! ニオEL8へ試乗 航続距離は充分 653psでも足が柔らかすぎる?
AUTOCAR JAPAN
マセラティのモータースポーツ史にオマージュを捧げる日本限定の『MC20チェロ』が発表。2モデル計4台を製造
マセラティのモータースポーツ史にオマージュを捧げる日本限定の『MC20チェロ』が発表。2モデル計4台を製造
AUTOSPORT web
BMW、中排気量アドベンチャーのコンセプトモデル『Concept F450GS』を発表。市販モデルは2025年に公開予定
BMW、中排気量アドベンチャーのコンセプトモデル『Concept F450GS』を発表。市販モデルは2025年に公開予定
AUTOSPORT web
新王者ジェイク・ヒルは名門WSR残留でタイトル防衛へ。2025年BTCC競技規則の改訂詳細も発表
新王者ジェイク・ヒルは名門WSR残留でタイトル防衛へ。2025年BTCC競技規則の改訂詳細も発表
AUTOSPORT web
アルピーヌF1、2026年からメルセデスのパワーユニット&ギヤボックスを使用決定
アルピーヌF1、2026年からメルセデスのパワーユニット&ギヤボックスを使用決定
motorsport.com 日本版
ハミルトンの不振の一因はリヤタイヤのグリップ不足か。メルセデスが調査にあたるも、問題の発生源は未だ不明
ハミルトンの不振の一因はリヤタイヤのグリップ不足か。メルセデスが調査にあたるも、問題の発生源は未だ不明
AUTOSPORT web
100年以上の時を経て復活した「筆記体ロゴ」がカッコいい! トライアンフの人気7モデルに設定された「限定コレクション」の魅力とは?
100年以上の時を経て復活した「筆記体ロゴ」がカッコいい! トライアンフの人気7モデルに設定された「限定コレクション」の魅力とは?
VAGUE
全長5m超え!? 「アルファード」より長いFRクーペがスゴい! 超クラシカルなルックスでも中身は意外なスポーツカー! 「ラ・セード」どんなモデル?
全長5m超え!? 「アルファード」より長いFRクーペがスゴい! 超クラシカルなルックスでも中身は意外なスポーツカー! 「ラ・セード」どんなモデル?
くるまのニュース
BYD、530馬力の電動SUV「シーライオン」欧州導入 LFPバッテリーと新プラットフォーム採用
BYD、530馬力の電動SUV「シーライオン」欧州導入 LFPバッテリーと新プラットフォーム採用
AUTOCAR JAPAN
エンプティランプ点灯後は何キロ走行できる? あなたの車の航続可能距離の確認方法を伝授します! 高速道路上でのガス欠は違反になることも…
エンプティランプ点灯後は何キロ走行できる? あなたの車の航続可能距離の確認方法を伝授します! 高速道路上でのガス欠は違反になることも…
Auto Messe Web
アストンマーティン、テクニカルディレクターのダン・ファロウズ退任を発表。後任は未定
アストンマーティン、テクニカルディレクターのダン・ファロウズ退任を発表。後任は未定
motorsport.com 日本版
BMW、完全刷新の4代目『1シリーズ』導入。斬新な“斜めキドニー”や48Vマイルドハイブリッドも採用
BMW、完全刷新の4代目『1シリーズ』導入。斬新な“斜めキドニー”や48Vマイルドハイブリッドも採用
AUTOSPORT web
スーパーフォーミュラ、観客数が20.9万人でシーズン過去最高を記録
スーパーフォーミュラ、観客数が20.9万人でシーズン過去最高を記録
レスポンス
スポーツカー文化を根付かせようという意思の表れだ!──新型GR86試乗記
スポーツカー文化を根付かせようという意思の表れだ!──新型GR86試乗記
GQ JAPAN
ニッサンFEがテストで計389周走行。GEN3 EVOへの理解を深める「レースが面白いものになるはず」
ニッサンFEがテストで計389周走行。GEN3 EVOへの理解を深める「レースが面白いものになるはず」
AUTOSPORT web
アウディF1チーム、カタールの政府系ファンドに一部株式を売却か。フォルクスワーゲンの業績不振が影響
アウディF1チーム、カタールの政府系ファンドに一部株式を売却か。フォルクスワーゲンの業績不振が影響
AUTOSPORT web
スズキの小型セダン『ディザイア』が新型に、クラスを超えた車格を追求…インドで発表
スズキの小型セダン『ディザイア』が新型に、クラスを超えた車格を追求…インドで発表
レスポンス

みんなのコメント

118件
  • マツダの考える 「良品」、「的価」と、
    ユーザーが考える 「良品」、「的価」が違いすぎる。

    スカイアクティブXのように「この乗り味ならこれくらいが適正価格でしょう」って、感覚にズレがある。
  • なくなるんじゃない、そのうち
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

291.0422.5万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

44.8405.3万円

中古車を検索
CX-5の車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

291.0422.5万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

44.8405.3万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村