現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 【クラシック オブ ザ デイ】20世紀最後に生まれたカルトモデル BMW M3 CSLはスポーティなBMWドライビングの頂点だった

ここから本文です

【クラシック オブ ザ デイ】20世紀最後に生まれたカルトモデル BMW M3 CSLはスポーティなBMWドライビングの頂点だった

掲載 更新 8
【クラシック オブ ザ デイ】20世紀最後に生まれたカルトモデル BMW M3 CSLはスポーティなBMWドライビングの頂点だった

BMW M3 CSL:NA直6エンジンは、BMWのスポーティな走りの代名詞であり、BMW M3 CSL(E46)はその筆頭だった。今日は、このクルマが“Classic of the Day”だ。

「E46」シリーズの「BMW M3 CSL」は、外観は標準的な「M3」とほとんど変わらない。その一方で、このホットなチューニングを施したスポーツカーをレーストラックに放つと、ツッフェンハウゼンのスポーツカー(ポルシェのこと)を食ってしまう。

【クラシック オブ ザ デイ】幻のBMW M3コンパクト(E36)物語 最速のコンパクトカーを目指したが生産には至らなかった

「CSL」は「Coupé Sport Leichtbau(クーペ スポーツ ライトウェイト)」の略だ。台数は1,400台弱と推測されている。

BMWは150kgの軽量化を実現し、伝説的な名声を獲得した

すでにホットだった「M3」をこのコーナリングアーティストに変身させるために、BMWのエンジニアはいくつかのアイデアを思いついた。まず、軽量化を図った。ルーフ、エプロン、ドアパネル、センターコンソールはカーボン製。「CSL」のバケットシートはGRP製、リアウィンドウは極薄ガラス製、テールゲートは繊維強化プラスチック製である。

エグゾーストシステムは通常の「M3」よりも肉薄で、テールパイプの重量は5.5kg軽い。全体として、「M3 CSL」は、すでに軽い兄弟車の「M3」よりも、さらに150kg(!)も軽量化されたのだった。

エンジンマネージメントが変更され、カムシャフトとエキゾーストマニホールドが交換され、バルブがより長く開き、エキゾーストバルブが最適化された。その結果、最高出力は343馬力から360馬力に向上した。「CSL」にはCFRP製エアボックスが装備され、6,000回転を超えると開放され、ツーリングカーのようにレブリミットまでBMWの雄叫びを上げることができる。

再チューンされたシャシーとシーケンシャルギアボックスにより、「BMW M3 CSL」は理想のラインを追求する精密機械となった。

M3 CSLは特別な旅のための車だ

保育園とホームセンターを往復する日常的なドライブには、このスーパー3シリーズは向いていない。そのためにはステアリングが鋭すぎるし、ターンインの挙動も鋭すぎるし、トラクションも豊かすぎる。シフトアップ時にはシフトショックが発生し、シフトダウン時にはダブルクラッチのサルボが発生する。これは熱心なスポーツドライバーには病みつきになるが、経験の浅い若いドライバーの神経を逆なですることになるかもしれない。

大林浩平: たしか昨年のことだったと思うが、M3 CSLの新車のような一台が発見され、4,700万円のプライスタグがつけられたというニュースを聞いた。と言うことは、今なら5,000万円オーバーかもしれないが、そもそも2003年に日本でつけられた正規物の価格は1,150万円と1,000万円オーバーのM3だったが、それが今や5倍。20年で5倍かぁ、とちょっとため息が出る。

ちなみに2003年とはどんな年だったかというと、ホンダ エレメントやスズキ ツインが発表され、プリウスが2代目にフルモデルチェンジとなった年であった。世相的には、小泉首相が靖国神社を参拝したり、武蔵丸が引退したり、六本木ヒルズが開業し、阪神タイガースが18年ぶりにセリーグで優勝している。ということは、今年はタイガース、20年ぶりに優勝するのか!?(残念ながら2003年、日本一になったのはダイエーであった・・・)。

ちなみにどうでもいいことだが、2003年には渦中の広末涼子が自称モデルでデザイナーの岡沢高宏さんと結婚している、ということは、キャンドル ジュンは二人目の旦那さんだったわけだが、岡沢氏との結婚はあっという間に終わっているのが特徴でもある。そんないろいろあった2003年に、総生産台数1,400台の中から150台ほどが正規輸入されたのがM3 CSLであった。本国にはMTとSMGというオートマチックトランスミッションの二つがあったが、日本に輸入されたのは後者の方だけで、なぜかMTモデルは導入されなかった。この部分だけはちょっとナゾなのだが、先進と高性能を前面に押し出したいという戦略だったのかもしれない。

さて、そんなM3 CSLだが、いざ乗ってみれば普通のM3とは一味も二味も異なる乗り味を持つのだという。どこがそんなに違うのかと言えば、一言でいえば軽さからくる乗り味の違いだそうで、CSL場合、有名なルーフをはじめとする各所のCFRPパーツ以外にもリアガラスが薄かったり、リアシートが安宿の座椅子のようにペラペラになっていたりと、開発者の執念が感じられる軽量化が施されている。

そんなこともあり、M3 CSLを所有している方の多くは「これだけは売らない」という台詞が常套句で実際、複数所有する車の中でも、「これだけ」は長年所有するというケースがほとんどなのだそうだ。

そうなってくると問題になるのはSMGという6速AMTで、この部分がトラブルの原因になることが多いと言われているが、実は壊れることで有名な(?)トランスミッションはSMGの方で、M3 CSLにはSMGIIという改良型が搭載されており、SMGIほどトラブルを起こすことはないらしい。とはいってもやはりMTで乗りたい、と思うエンスージャストも多いのは当たり前で、SMGを普通のMTに換装する方もいたと聞く。そうまでしても乗りたいと思わせるM3 CSLの軽さは特別なものらしく、なんでもバイクに乗っているようなひらひら感さえ味わえるらしい。

なお、フロントバンパーも含めてスポイラー部分もルーフパネル同様にCFRP製。これだけ大きいパーツだときっと高いはず、と調べてみたらざっと70万円であった。パーツも今や探すのも困難だし、コンビニエンスストアの入り口やガソリンスタンドではくれぐれもご注意ください。とは言ってみたものの、M3 CSLの日本における中古車市場での在庫はゼロ。同じ年代のCSLでないM3やCSL風のモディファイを施した「なんちゃってCSL」はあるものの、本物のCSLは在庫がなかった。やっぱりそれほどまでに、一度手に入れたオーナーは手放さないモデルであるということだろう。

Text: Lars Hänsch-Petersen

こんな記事も読まれています

ブリヂストン 新スポーツタイヤ「ポテンザ RE-10D」発売 サーキットでのタイム短縮追求
ブリヂストン 新スポーツタイヤ「ポテンザ RE-10D」発売 サーキットでのタイム短縮追求
グーネット
サーキットも普段使いも!クラシカルなフルバケット「ジータIVクラシック」発表 ブリッド
サーキットも普段使いも!クラシカルなフルバケット「ジータIVクラシック」発表 ブリッド
グーネット
メガーヌ R.S.のように旋回? 新型ルノー・ラファールへ試乗 ドイツ銘柄からの顧客獲得へ期待
メガーヌ R.S.のように旋回? 新型ルノー・ラファールへ試乗 ドイツ銘柄からの顧客獲得へ期待
AUTOCAR JAPAN
竹岡圭さん「XCRスプリントカップ北海道」参戦!三菱&トーヨータイヤがサポート
竹岡圭さん「XCRスプリントカップ北海道」参戦!三菱&トーヨータイヤがサポート
グーネット
シンプルデザインで車内にマッチ タテ・ヨコ回転OKの車載スマホホルダー シズカウィル
シンプルデザインで車内にマッチ タテ・ヨコ回転OKの車載スマホホルダー シズカウィル
グーネット
アウディの充電施設、2か月で600名利用 新料金プランでサービス提供開始 東京・紀尾井町
アウディの充電施設、2か月で600名利用 新料金プランでサービス提供開始 東京・紀尾井町
グーネット
WECの“カスタマー締め出し”にポルシェが警告。10メーカー参戦の2025年、残枠はわずかに『2』か
WECの“カスタマー締め出し”にポルシェが警告。10メーカー参戦の2025年、残枠はわずかに『2』か
AUTOSPORT web
V8×MT×FR採用! 新型「スポーティセダン」初公開! “青感”高めた「豪華内装」が超カッコイイ「CT5-V ブラックウイング ル・モンストルE」アメリカに登場
V8×MT×FR採用! 新型「スポーティセダン」初公開! “青感”高めた「豪華内装」が超カッコイイ「CT5-V ブラックウイング ル・モンストルE」アメリカに登場
くるまのニュース
マクラーレン 初のEVスーパーカー計画、現在の技術では達成困難 「支援」要請
マクラーレン 初のEVスーパーカー計画、現在の技術では達成困難 「支援」要請
AUTOCAR JAPAN
駐車の際の「前向き」「後ろ向き」問題…日本での正解をお教えします! 米国で「前向き」が多いのは防犯上の理由もありました
駐車の際の「前向き」「後ろ向き」問題…日本での正解をお教えします! 米国で「前向き」が多いのは防犯上の理由もありました
Auto Messe Web
ハースが「文句なし」のダブル入賞。ペレスを抜き返したヒュルケンベルグが今季ベスト6位/F1第11戦
ハースが「文句なし」のダブル入賞。ペレスを抜き返したヒュルケンベルグが今季ベスト6位/F1第11戦
AUTOSPORT web
【最長/最深トンネル爆走】 ベントレー新型コンチネンタルGTスピード オープンのGTCも同時発表
【最長/最深トンネル爆走】 ベントレー新型コンチネンタルGTスピード オープンのGTCも同時発表
AUTOCAR JAPAN
『ビースト』という名のスクールバス!? 90名乗車でEV航続241km、米国で納車開始
『ビースト』という名のスクールバス!? 90名乗車でEV航続241km、米国で納車開始
レスポンス
復活するIGTC鈴鹿が『1000km』&控えめなエントリー目標である理由「長距離に慣れているチームがほとんどない」
復活するIGTC鈴鹿が『1000km』&控えめなエントリー目標である理由「長距離に慣れているチームがほとんどない」
AUTOSPORT web
新型「4WDスポーツ車」初公開! レトロな「丸目」に超ハイパワー「V型8気筒エンジン」搭載! “日本専用”の特別なベントレーに衝撃の声!
新型「4WDスポーツ車」初公開! レトロな「丸目」に超ハイパワー「V型8気筒エンジン」搭載! “日本専用”の特別なベントレーに衝撃の声!
くるまのニュース
デコトラの命ともいえる電飾! LEDが台頭するもいまだ電球派もいる理由とは?
デコトラの命ともいえる電飾! LEDが台頭するもいまだ電球派もいる理由とは?
WEB CARTOP
愛車の履歴書──Vol42. 石野真子さん(後編)
愛車の履歴書──Vol42. 石野真子さん(後編)
GQ JAPAN
イクリプスがカーナビ「AVN」のLSシリーズ2024年モデルを発売
イクリプスがカーナビ「AVN」のLSシリーズ2024年モデルを発売
レスポンス

みんなのコメント

8件
  • >ダブルクラッチのサルボが発生する。

    サルボって何だ?
  • どのSMGで問題になるのは油圧ポンプ¥40万くらいだったかな…
    まぁもともとの販売価格から購入者は富裕層、交換費用は大した事ないだろうね
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村