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「日本ってすごくね?」 トヨタ・日産・ホンダがスポーツカー続々投入! まだ日本は「スポーツカー大国」と言えるのか

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「日本ってすごくね?」 トヨタ・日産・ホンダがスポーツカー続々投入! まだ日本は「スポーツカー大国」と言えるのか

■GRスープラにMT追加! Z、タイプR、GRカローラなどなど、日本はまだまだスポーツカー大国なの?

 一時期は絶滅寸前ともいわれた国産スポーツカーですが、近年は再び賑わいを見せています。
 
 しかし、その背景には、自動車メーカーの苦悩も見え隠れしています。果たして、日本はいまでも「スポーツカー大国」といえるのでしょうか。

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 世界における日本車のイメージといえば「壊れにくい」「燃費性能が高い」「コストパフォーマンスがよい」といったものが定番です。

 裏を返せば、「官能的」「スポーティ」「ハイパフォーマンス」といった言葉とは縁遠いクルマ、という印象が根強いのも事実です。

 一方、近年そんな日本車のイメージが変わりつつあります。

 例えば、トヨタからリリースされた「GRヤリス」や「GRカローラ」は、欧州ホットハッチに勝るとも劣らないハイパフォーマンスカーに仕上げられているほか、日産からまもなく発売される7代目新型「フェアレディZ」にも世界中から注目が集められています。

 さらには、ホンダからも新型「シビックタイプR」の発表・発売が控えているほか、トヨタ「GRスープラ」には待望のMT仕様が追加される見込みです。

 各社のこうした動きを見ると「日本はスポーツカー大国なのでは?」と感じる人も多いかもしれません。

 実際、1980年代から1990年代は前述したクルマの「先祖」たちを中心に、国産メーカーのスポーツカーがまさに百花繚乱の様相を呈していました。

 その後、厳格化された排出ガス規制などの影響から、ほとんど絶滅したといっても過言ではない国産スポーツカーでしたが、2012年にはトヨタとスバルから「86/BRZ」が発売されたことで、わずかにその息を吹き返しました。

 そして現在、国産スポーツカーに対する注目が高まっているのは前述したとおりです。

 このまま、またあの「栄光の時代」がやってくることを期待する人も多いかもしれません。しかし、実際には各社は苦心を重ねてスポーツカーを出しているというのが実情のようです。

 例えば、GRヤリスやGRカローラ、あるいはシビック タイプRには、それぞれベース車として「ヤリス」「カローラ」「シビック」が存在していますが、これらはいずれもグローバルでベストセラーカーとなっているモデルです。

 ベース車に比べて、エンジンや足回りなどに大きく手が加えられたとしても、それ以外の部分ではベース車と共通しているものも少なくありません。

「大量生産することで製品ひとつあたりのコストを下げる」という工業製品の原則を適用することで、ハイパフォーマンスモデルであっても、なんとか手の届く価格帯に押さえているといえます。

 逆にいえば、もしプラットフォームやエンジンなどを完全に専用品で仕上げた新型スポーツカーを開発したなら、ユーザーが支払う金額は1000万円どころではない金額になってしまうことでしょう。

 同様に、86やスープラも、BRZや「Z4」と多くの部分を共有することによって、コストを削減しています。

 2012年に86が復活した際、久しぶりの国産コンパクトFRスポーツカーの登場に多くのファンが胸を踊らせた一方で、世界最大級の自動車メーカーであるトヨタをもってしても、単独でスポーツカーを作れない時代になってしまったことを危惧する人も少なくありませんでした。

 新型フェアレディZに関しても、日産の苦心が見て取れます。

 先代のフェアレディZの型式は「Z34」であったため、順当に行けば新型フェアレディZの型式は「Z35」になるのが自然です。しかし、実際には新型フェアレディZの型式は旧型と同様「Z34」のままとなっています。

 その背景には、新型プラットフォームの開発に掛かるコストや、各市場で新たに型式指定を受けるためのコストを削減するという事情があるようです。

 つまり、便宜上「新型」と呼ばれているフェアレディZですが、実際には型式変更をともなわないため、「マイナーチェンジ」であるというのが正確です。

■スポーツカーの存続は自動車メーカーの強い意志

 こうした「野暮」な話は、せっかくにぎわいを見せているスポーツカー市場に水を刺すものかもしれません。

 ただし、筆者としてはこうした各自動車メーカーの取り組みを否定しているわけではなく、むしろ称賛すべきものだと考えています。

 近年、自動車メーカーの経営陣が、個人的なエピソードや感情を交えて、スポーツカーの楽しさや必要性を語る事例が見られます。ただ、世界有数の大企業であり、日本経済の根幹を支える存在でもある自動車メーカーのトップが、本当の意味で「個人的感情」からスポーツカーの開発を指示していたとしたら、それはそれで大問題です。

 実際には、スポーツカーがブランドイメージの向上に貢献する度合いや、各市場のニーズなどが考慮された上で、経済合理性が認められたことから、これらのスポーツカーが登場しています。

 よりざっくばらんにいえば、かつてのように各自動車メーカーが単独でスポーツカーの開発をすることが難しくなった昨今、様々な「裏ワザ」を駆使して、なんとかスポーツカーを提供しているのが実情です。

 たしかに、86とBRZやスープラとZ4がまったく異なる別のスポーツカーであったなら、ユーザーはもっと盛り上がるかもしれません。新型フェアレディZがプラットフォームから刷新されたほうが、より高いパフォーマンスが得られるかもしれません。しかし、実際にはそういった選択肢を採用した時点でこれらのクルマが市場に披露されることはなかったでしょう。

 つまり、各自動車メーカーは自社ブランドのアイデンティティが薄れても、スポーツカーの存続を優先させたわけです。そこには経営陣のリップサービスなどではなく、企業としての強い姿勢を感じることができます。 

※ ※ ※

 このようにして、ふたたび盛り上がりを見せつつある国産スポーツカー市場ですが実際には非常にもろい薄氷の上に立っています。

 今後、世界中で環境規制や騒音規制が厳格化されていくことを考えると、大排気量のガソリンエンジンを搭載し、爆音をとどろかせるスポーツカーは、もはや販売することすらできなくなることは明らかです。

 逆に各自動車メーカーには、そうした時代が来る前にスポーツカーを提供しようという思惑もあるといえそうです。

 そんな状況であっても、なんとか手の届く範囲の価格で、いくつかのスポーツカーを検討できる日本は、やはりスポーツカー大国といってよいのかもしれません。

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