BYDのBEV大型バスは日本へも導入済み
通常、新モデルへ試乗するには、開発がスタートしたという情報を聞いてから数年は待つことになる。カモフラージュされたプロトタイプの写真がリークし、それを忘れた頃に正式発表のイベントが開かれる。
【画像】日本でも2023年から販売開始 BYD アット3 欧州で競合するBEVと写真で比較 全131枚
ステアリングホイールを実際に握れるのは、早くてもさらに半年ほど先。英国の一般道で仕上がりを確かめられるのは、そこから数か月後というのが一般的だ。
だが、中国からやってきたBYD アット3(アットスリー)は違った。筆者がステアリングホイールを直接握ることができたのは、初めて実車を見てから14時間後。英国へ正式に導入されるという情報を得てから、13時間後という早さだった。
恐らく、彼らのスピード感なら既に完成車両が輸送船へ積まれているはず。英国へ向けて出港済みかもしれない。
BYDというメーカーは、まだ聞き慣れないかもしれないが、中国の野心溢れる自動車メーカー。バッテリーEV(BEV)用のバッテリー製造で、ご存知の読者もいらっしゃるだろう。
彼らは、英国の工場でBEVのバスも製造している。実は2022年前半には、世界最大のBEV製造メーカーへ躍進した。日本市場へも参入済みで、大型バスは都市部でたまに見かける。2023年には、本格的に乗用車の販売もスタートするそうだ。
ドアを開くと達成した水準の高さに驚く
欧州市場へは、3種類のBEVを導入する予定にある。上級志向の「ハン」と呼ばれるサルーンと、四輪駆動で517psのフルサイズSUV「タン」、そして今回試乗したエントリーモデルとなる、主力モデルのアット3だ。
中国の新興メーカーだと、高を括らない方がいい。クルマを理解している人ほど、歴史の浅いブランドが達成した水準の高さに、ドアを開いた瞬間から驚くはず。
デザインは視覚的に楽しいだけでなく、長時間いても居心地が良い。ダッシュボード中央の12.8インチ・モニターは、縦へも横へも好きなように角度を変えられる。ナビの案内時は横向き、スポティファイを楽しむ時は縦向きの方が、確かに使いやすい。
ドアパネルには、グリップ部分と一体のノブが備わる。ドアポケット部分へ目線を降ろすと、数本のワイヤーがギターの弦のように低音用スピーカー側から張られている。子供にいたずらされそうだが。
この意欲的なアット3は、BYDが開発したeプラットフォーム3.0という基礎構造をベースとしている。量産車としては初採用で、背負うものはいつも以上に大きい。
ただし、実際に運転できたとはいえ、今回は閑散とした空港周辺の道路を4.5kmほど走らせたに過ぎない。メーカー側のスタッフが監視し、スピードも制限された状態で。
実際の動的能力を体感するには至らなかったが、少なくとも非常に自然で滑らかなことは確認できた。これは、ポジティブな印象だといって良いだろう。
バッテリーは60.5kWh 航続距離は420km
停止状態からの加速は充分に活発で、ステアリングホイールは反応が素早いものの、感触は薄かった。サスペンションは負荷が掛かると硬さを感じるものの、路面の不正をなだめることはできていた。
ドライバーズカーと呼べるたぐいではない。最高出力も203psと、BEVでは控えめな方だ。とはいえ、低い速度域での扱いやすさを重視する、都市部のユーザーには充分な訴求力を備えていると感じた。
駆動用バッテリーの容量は60.5kWhで、航続距離はWLTP値で420kmが主張される。急速充電能力は88kWまで対応する。フォルクスワーゲンやキアといった、BEVで先行するメーカーとも渡り合える内容といえる。
車内は広々としていて、荷室は440Lの大きさがある。ファミリー層の需要にも応えられる。
BYD独自開発だというインフォテインメント・システムは、タッチモニターの表示が鮮明で、メニュー画面はグラフィカルで好印象。ソフトウェア自体も直感的な設計で、操作しやすい。
運転中でも頻繁に操作したくなる機能に対しては、実際に押せるハードボタンも残されている。BYDの判断は賢明だ。
第一印象は間違いなく悪くない。約6万人といわれる従業員を抱える巨大メーカーが、これほど迅速に確信を持って行動へ移すことに、関心せずにはいられない。
激しい競争を戦えるだけの実力は備える
アット3の完成度を知って少々残念だったのが、上級サルーンのハンに右ハンドル車が設定されないという事実。SUVのタンも同様だという。
Cセグメントに属するBEVハッチバックはトレンドに乗ったモデルといえ、販売台数を稼ぐことはできるだろう。それと同時に、利益率の高いハイエンドモデルがブランド・イメージを牽引してくれるとも思うのだが。
とはいえ、アット3がBYDの新時代を切り拓くことは間違いない。最新世代のハードウェアを採用し、技術力や機能性、動力性能といった点では、既存モデルへ並ぶ実力は備えているようだ。
重要な鍵となるのが販売価格だ。BYD側は、過度に安く設定すると搭載された技術的な価値を下げる可能性がある、と話していた。かといって高すぎれば、新ブランドへ興味を抱いた層の気持ちを遠ざけてしまうだろう。
スペック的には、ライバルと比べても引けを取らない内容を得ている。一風変わったスタイリングは、個性的でもある。各メーカーからBEVが揃うなかで、激しい競争を戦えるだけの実力は秘めていると考えていい。
具体的な評価は、実際の英国仕様車を公道で運転してから与えたい。次の試乗がとても楽しみになったことは事実だ。
BYD アット3(欧州仕様)のスペック
英国価格:未定
全長:4455mm
全幅:1875mm
全高:1615mm
最高速度:161km/h
0-100km/h加速:7.3秒
航続距離:420km
電費:−
CO2排出量:−
車両重量:1680kg
パワートレイン:電気モーター
バッテリー:64.5kWh
急速充電能力:88kW
最高出力:203ps
最大トルク:31.6kg-m
ギアボックス:−
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みんなのコメント
AUTO CAR JAPANもこのような危険な車を積極的に勧めているわけだ。
恐らく中国推しで経済的なメリットがあるのだろう。
こんなメディアなんてもういらない。