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東欧の奇妙なクルマ 21選 共産圏が生んだ名車・珍車・迷車、どれだけ知ってる?

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東欧の奇妙なクルマ 21選 共産圏が生んだ名車・珍車・迷車、どれだけ知ってる?

鉄のカーテンの向こう側で

「トラバント」や「ラーダ」のような話題性のあるクルマは、東欧やロシアにおける自動車史の氷山の一角に過ぎない。

<span>【画像】底なし沼の東欧自動車ブランド【ラーダ、ヴァルトブルクなどを写真でじっくり見る】 全140枚</span>

国営の自動車メーカーは、限られた資金を活用して、小型の乗用車、オフローダー、業務用のバンなど、何百万人ものドライバーにクルマを提供したのである。海外市場を獲得するためにデザインに力を入れる企業もあれば、レースに強い関心を持ち、経験豊富なライバルを打ち負かす企業もあった。

イタリアの遺伝子を受け継いだハッチバックから、実験的なミドエンジン・クーペまで、東欧・ロシアの自動車産業で生まれたヒット作、失敗作、そして奇妙なクルマを紹介しよう。

ザスタバ750(1955年)

旧ユーゴスラビアのザスタバが、イタリアのフィアットとコラボレーションを組んだのは、1954年に1400の製造を開始したときだ。比較的大きくて高価な1400は、旧ユーゴでは買い手が少なかった。そこでザスタバは、当時新発売のフィアット600の製造ライセンスを取得し、現地での販売を開始した。

初期のモデルは、イタリアから輸送された部品を使って製造されていたが、やがて安価でシンプルなクルマを求める現地の需要に応えるため、ゼロから作るようになった。

600はザスタバの管理下で何度か改良されたが、セアトがスペインで生み出した4ドアボディのような極端なものはなかった。このモデルは、最終的には排気量848ccの4気筒エンジンを搭載して32psを発揮し、0-100km/h加速を29.4秒かけて達成した。

一方、オリジナルの21.5psの600は、0-100km/h加速に1分以上かかったという。

タトラ603(1956年)

チェコのタトラは、自動車デザインの歴史にその名を刻むことになった。1956年に発表された603は、現在の基準でも空気力学的に優れたボディと、空冷V8エンジンをキャビンの後ろに搭載したことが特徴的な、長い歴史の中で最も先進的なクルマの1つである。

東欧では、タトラ603は早朝に家の前に停まっていてほしくないようなクルマだった。なぜなら、主に役人が使用していたからだ。タトラは一部を輸出していたため、フィデル・カストロはエアコンを装着した白いモデルを手に入れたと言われている。

スコダ1000MB(1964年)

チェコの自動車メーカー、スコダが1000MBの開発に着手したのは、西欧市場を見据えてのことであった。フォルクスワーゲン・ビートル、ルノー8、フィアット600など、西欧の大衆車にはリアにエンジンを搭載したものが多い。

スコダはフロントエンジン・前輪駆動、フロントエンジン・後輪駆動の試作車を作ってみたが、最終的にはリアエンジン・後輪駆動に落ち着いた。前輪駆動は斬新すぎるし、後輪駆動は老朽化したオクタヴィアに近すぎるという理由で採用されなかった。

1000MBは1969年に生産を終了。その後もスコダは1990年までリアエンジン車を作り続けた。

トラバント601(1964年)

旧東ドイツのトラバントは1964年、それまでの600に代わり、工場労働者でも買えるベーシックな交通手段として601をリリースした。画期的な要素は何もない。先代の2ストローク2気筒エンジンを継承し、ボディはデュロプラスト製を採用した。デザイン的には、洗濯機で縮んだプジョーの404に似ている。

1970年代初頭には601の後継モデルが登場すると予想されていたが、結局、1990年までほとんど変わらずに売られ続けた。しかし、1989年にドイツが統一されると、601の価値とイメージは急落。東ドイツのドライバーたちは、西ドイツ製の速くて近代的なクルマを手に入れた途端、601を街中で捨ててしまった。

その結果、東ドイツ全土に放置されている何千台ものトラバントを廃棄しなければならないという予想外の問題が発生した。ボディが金属製ではないため、スクラップ置き場では引き取ってもらえない。ある会社は、トラバントを食べるバクテリアを開発して、わずか20日でボディを消滅させることに成功した。

ヴァルトブルク353(1966年)

こちらも旧東ドイツのブランドから。デザイン面では、旧型の312に比べて大きく進化したヴァルトブルク353。1960年代後半に流行したスタイリングにぴったりのボクシーなラインを採用している。

しかし、ボンネットの中を覗いてみると、当初の宣伝と話が違っていた。353に搭載された2ストローク3気筒エンジンは、当初45psとされていたが、開発コストを抑えるために性能が削られてしまったのだ。

このため、西欧では353を販売することは難しかったが、それでもヴァルトブルクは1968年から1976年の間に少なくとも2万台の右ハンドル車を輸出した。ベネルクス諸国(ベルギー、オランダ、ルクセンブルク)ではタクシーとしても人気があり、西ドイツでも少数が販売された。

その後、ワゴンやピックアップなどのバリエーションが増えていった。353は長い生産期間中に何度か外観が変更されたが、その2ストロークエンジンはベルリンの壁よりも長く使われ続けた。1989年に最後の2ストローク車を製造したのはヴァルトブルクだった。

ZAZ 966(1966年)

ウクライナのZAZ 965は、あまりにも欠陥が多かったため、何十年にもわたって少しずつ改良を重ねるのではなく、一から後継モデルを設計することにしたと言われている。その結果、1966年に誕生したのが966である。快適で広々としており、冷却性能も改善されていた。

966はリアエンジンの2ドアセダンで、NSUプリンツやシボレー・コルヴェアを彷彿とさせるデザインでショールームに登場した。1971年には968に進化しているが、このデザインこそZAZが求めていたものであった。968は1994年までマイナーチェンジを繰り返しながら生産が続けられた。V4エンジンを搭載して量産された最後のクルマとして、(ひそかに)記憶されている。

ダチア1300(1969年)

1960年代、ルーマニア政府は現地で作れる西洋車を探していた。アルファ・ロメオ、オースチン、そしてフィアットなどの提案を検討した結果、ルノー12が選ばれた。

初期のモデルは、フランスから輸送された部品を使って作られていたため、12との違いはほとんどなかったが、ルーマニアのダチア工場ではすぐに1300を一から作り始めた。後に、2ドア、4ドアのピックアップとクーペを含むフルファミリーのモデルとなった。

最後の12由来のモデルが製造されたのは2004年。初代ローガンに取って代わられたのである。1300は、1999年にルノーがダチアを買収する道のりの出発点だった。現在では、2017年には10年前の約3倍となる65万5228台を販売し、成功した大衆ブランドとなっている。

(注)写真はダチア1310

ラーダ2101(1970年)

ラーダ初の市販車、2101は1970年にデビューした。定評のあるフィアット124をベースにしていたが、ロシアの道路事情に対応するため、設計に何点か変更を加えている。エンジンを新型にし、ボディパネルを厚くしてサビに強くしたほか、サスペンションパーツを改良するなどしたのである。

2101は一夜にしてロシアの国民車となった。生産が終了したのは1988年。フィアットが124を廃止した後のことである。ラーダは2105と2107と呼ばれる改良型のモデルに置き換え、2010年代初頭まで生産を続けた。2012年には、最後の124ベースのモデル、2104エステートを製造した。

スコダ110R(1970年)

スコダは1000MBをクーペ化したが、Bピラーがないことによる剛性不足の問題もあり、販売は低調だった。しかし、1970年には110Rを発売し、クーペ市場に再挑戦したのである。

110セダンをベースに、ファストバックのようなルーフラインを採用して、よりスポーティな外観とした。当時の自動車評論家たちは、このクルマを親しみを込めて「共産主義のポルシェ」と呼んだ。中にはフックス(Fuchs)のホイールを模したハブキャップ装着モデルもあった。1980年までに約5万7000台が生産された。

110Rは、レースを念頭に置いて開発されたダイナミックなクーペ、130RSを生み出したことで有名である。この130RSは、1981年の欧州ツーリングカー選手権で、BMWやアルファ・ロメオといった名だたるメーカーを抑えてマニュファクチャラーズタイトルを獲得している。

ザスタバ・スカーラ(1971年)

1971年、フィアットとザスタバのコラボレーションはさらに進み、4ドア・セダンの128の生産が開始された。同年後半には、シムカ1100にインスパイアされたザスタバ固有のハッチバックモデルが発売されるなど、シリーズが拡大。このモデルは101と呼ばれていたが、さまざまな市場でさまざまな車名(スカーラなど)が使われた。

128の派生モデルは2008年まで生産された。2008年に開催されたベオグラード・モーターショーでは、ザスタバが最新モデルを展示し、少なからず注目を集めている。スカーラの最終進化形は、アルミニウム製ラジエーター、強化された駆動部品、モダンな見た目のインストゥルメント・クラスターを備えていた。

1970年にヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したモデルのルーツをたどると、これらは小さいながらも重要な変化だった。

ポルスキ・フィアット126p(1973年)

フィアットは、さらなる収益を求めて淡々と東欧に進出していった。ポーランドで125pの生産を開始し、ラーダに124の基本設計を提供し、ザスタバに128を作らせた後、ポーランドのFabryka Samochodow Malolitrazowych(FSM)に126の製造ライセンスを売却したのである。

1973年に生産が開始された126(ポーランド語で「小さなもの」を意味する「Maluch」と呼ばれている)は、その低価格とシンプルなデザインが評価され、ポーランドで最も人気のあるクルマの1つとなった。FSMが100万台の生産を達成するまでには、10年もかからなかった。

西欧ではチンクエチェントが1991年から126に取って代わったが、ポーランドでの生産は2000年まで続いた。生産された460万台の126のうち、約330万台に「Made in Poland」のラベルが貼られている。

ラーダ・ニーヴァ(1977年)

「ランドローバーのシャシーにルノー5を載せたようなクルマ」というのが、ラーダ・ニーヴァのデザイナーに与えられたガイドラインだった。その使命は果たされた。ウズベキスタンの砂漠で徹底的にテストされたニーヴァは、安価に作れてメンテナンスも簡単な、日常的に運転できるオフローダーとして1977年にロシアで発売された。

ラーダはジープのようなオープントップの試作車をテストしていたが、シベリアの冬を走るという厳しい現実を考慮して、賢明にもクローズドルーフを選んだのである。

ニーヴァは、世界中のすべてを見、すべてを経験した。ラーダはこのモデルを世界の四隅に輸出(一時的にはカナダにも輸出)し、さらには南極のキングジョージ島にも送った。現在もロシアを中心に比較的よく売れているが、2023年末に生産を終了する予定だ。

オルトシット(1981年)

オルトシットは、2ドアのシトロエン・ヴィザのように見える。実際、ヴィザだったかもしれない。ルーマニア政府から小型で手頃なクルマの開発を依頼されたシトロエンは、1970年代初頭にフィアットと共同でアミ8の後継モデルとして開発した「Y」というプロジェクトの設計図を提案。しかし、プジョーはシトロエンを買収した際にYをキャンセルし、コスト削減のためにアミの後継モデルに104のシャシーを使うことを主張した。

Yは、ルーマニアで思いがけず光り輝く機会を得た。ベースモデルには652ccのフラットツインが搭載されていたが、オルトシットはヴィザとパーツを共有していなかった。高価なモデルには、GSAのフラット4エンジンが搭載された。シトロエンは、このルーマニア製モデルを「アクセル」の名で一部の欧州市場で販売したが、期待を大きく裏切る結果となっている。

ニコライ・チャウシェスク政権が崩壊した翌年の1990年、シトロエンはルーマニア政府とのパートナーシップを解消する。しかし、生産は1995年まで続けられた。

ダチア・スポーツ(1983年)

ダチアは12をすぐにフルモデルチェンジしてファミリー化した。セダンとワゴンに加え、1970年代半ばには2ドアと4ドアのピックアップが登場。中でも、ルノーが作らなかった最も興味深いモデルは、1983年に発売されたスポーツである。

12をクーペにすることは、15/17の現地生産ライセンスをルノーから得るよりも簡単だったと思われる。自社デザインの2ドアは、付け焼き刃で開発された低予算モデルに見られるような、かなり不格好なプロポーションをしている。生産されたスポーツの中で最もパワフルなのは1410で、1.4Lエンジンで65psを発揮した。

ラーダ・スプートニク/サマーラ(1984年)

ラーダ・サマーラは、本国ロシアではスプートニクと呼ばれていた。地球の軌道上で3週間過ごした後に電池切れとなり、不本意ながら地球に戻ってきた同名の人工衛星(大気圏に突入して消滅)と比べても、はるかに良い結果となった。なんと、ロシアで販売チャートのトップに躍り出たのである。

スプートニク/サマーラは、ラーダが初めてフィアットの意見を取り入れずに開発したことでも知られている(フィアットは、ラーダが前輪駆動モデルを作ることを嫌ったと言われている)。その代わり、ポルシェの協力を得て、人気の高いフォルクスワーゲン・ゴルフをはじめとするさまざまなモデルをベンチマークして、国際的な販売を目指したボクシーなハッチバックを設計したのだ。

ロシアでは2012年まで生産された。西欧でも販売されたものの、試乗した人からは「平凡すぎる」と言われ続けた。

ユーゴ(1985年)

米国人が「ユーゴ(Yugo)」と呼んでいるクルマは、1977年にザスタバ・コーラル(写真)として誕生した。フィアット127を進化させて箱型のデザインにしたものだ。東欧車に好意的なユーザーが多い地元の市場や一部の輸出市場向けに開発されたが、顧客対象に米国は含まれていなかった。

そんな中、1968年にスバル・オブ・アメリカを設立した実業家マルコム・ブルックリンは、コーラルに可能性を見出す。1980年代に欧州のエコノミーカーの代替として輸入していたスバル360に相当するものと考えていたのだ。

しかし、時代は変わり、狩人は狩られる側へと転じる。コーラルは日本のエコノミーカーと競争することになったのだ。ブルックリンは米国仕様車の開発に協力し、「ユーゴ」と名付けて1985年に輸入を開始。しかし、成功は長くは続かなかった。

品質問題に悩まされ、米国ではジョークのネタにされてしまったのだ。1992年、ユーゴ・アメリカが破産申請をしたことで、販売は終了した。

ダチアMD87(1987年)

1410スポーツを超えるべく、ダチアはフィアットX1/9のような低価格スポーツカーに果敢に挑戦した。1987年には、ルノー12から派生したミドシップエンジンのMD87というプロトタイプが開発された。詳細は不明だが、当時の写真を見ると、トヨタMR2とランチア007を融合させたようなデザインになっている。

MD87の進化形であるMD87エボは、ポップなヘッドライトを備えた流線型のフロントエンドを採用することで、より空力的な性能を追求した。ダチアは両モデルを1台ずつ製造したが、いずれも1980年代後半以降は姿を消している。2台に何があったのかは不明。

スコダ・ファヴォリット(1987年)

スコダの新時代の幕開けとなったのが、このファヴォリットである。ベルトーネスタイルのボディに、輸出向けに開発されたフロントエンジン・前輪駆動のアーキテクチャーが隠されている。

しかも、西欧の自動車メーカーからライセンスを取得して作ったのではなく、自社で設計したのが大きな特徴だ。ファヴォリットは、鉄のカーテンの向こう側で作られたクルマというイメージを払拭し、スコダが世界で戦える力を持っていることを示した。

ラインナップは、4ドア・ハッチバック、ワゴン、ピックアップの3種類。クーペやセダン、ホットハッチなどのバリエーションも実験的に作られたが、生産のゴーサインは得られなかった。

ヴァルトブルグ1.3(1988年)

トラバント601と同様に、ヴァルトブルグ353も賞味期限を超えて生き続けた。このモデルもまた、フォルクスワーゲンから水冷エンジンを供給されている。

2代目ゴルフの一部に搭載された58psの1.3L 4気筒エンジンは、1991年4月まで353の寿命を延ばした。4ストロークモデルは、エンジンの大型化に合わせてフロントエンドをよりモダンにしたことが特徴だ。

トラバント1.1(1990年)

東ドイツ政府は、技術者や幹部がトラバント601の近代化を要求しても、ことごとくそれを却下した。提示された案のなかには、2ストロークエンジンをヴァンケルエンジンに変更するというものもあった。しかし、1980年代になってようやく政府が折れた。フォルクスワーゲン・ポロの1.1L 4気筒エンジンを搭載した最新モデルの開発が認められたのである。

新エンジンの搭載に伴い、グリルをはじめとする外観や内装の変更が行われた。トラバントは「1.1」と名付け、1990年から1991年にかけて生産。しかし、あまりにも小さく、時期も遅すぎた。トラバントは、自身を生み出した共産主義政府と同じように、すでに運命づけられていたのである。

ラーダ111ターザン2(1999年)

ラーダのSUV、ターザン2(Tarzan-2)は、最初はありふれたステーションワゴンの111として生まれた。セパレートフレームを採用し、不朽の名車であるニーヴァから4輪駆動部分を拝借し、頑丈なオフロードタイヤを装着している。

その結果、トヨタRAV4とスズキ・ジムニーを丸呑みにできるようなスペースを備えた、頑丈でどこにでも行けるワゴンが誕生したのである。

ラーダは生産台数を公表していないが、ほとんどの専門家は1000台以下しか製造されなかったと考えている。2021年が静かに幕を閉じようとしている今、ターザン2はまるで存在しないかのように無名のままだ。

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  • 【車名当てクイズ】この名車、迷車、珍車、ご存じですか?

    でこの車が出たら、8割がた分からない
  • 一枚目が癖になった…
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