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速さなら「MT」より「AT」が常識! 2ペダルでジムカーナに挑む4人の声とその愛車

掲載 更新 20
速さなら「MT」より「AT」が常識! 2ペダルでジムカーナに挑む4人の声とその愛車

MTだけがモータースポーツじゃない じつはF1だって2ペダル

 ドライバーの意のままにギアがセレクトできて、エンジンの駆動がダイレクトにタイヤへと伝わるマニュアルミッション。スポーツドライビング愛好家にとっては、いまも昔も、マニュアルミッションが花形であることは間違いナイ。昨今においては、スポーツカーブームの背景もあり、5速MTや6速MTを搭載したスポーツカーが注目されることも珍しい光景ではない。

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 しかしながら、F1もスーパーGTもそうであるように、最新のレーシングカーは2ペダルが当たり前という時代。GRスープラだっていまのところマニュアルミッションの設定はない。全グレードが2ペダルだ。

 なぜ、最新のレーシングカーやスポーツカーが2ペダルなのか? 答えはカンタン。各自動車メーカーのトランスミッション技術の目覚ましい革新によって生み出される、次世代トランスミッションが、従来のHパターンのクラッチ式手動変速よりもあらゆる点において優れているからだ。すなわち、足でクラッチペダルを踏んで、手でカチャカチャとシフトレバーを操作するよりも、安全で確実で速いという領域にすでに突入していると言えよう。

 もはや、ご存知のとおり、35GT-RやNSXだって3ペダルMTの設定はないし、軽自動車だって、スズキがアルトターボRSに「5AGS」を採用するなどスーパーカーやスポーツカーにこそ2ペダル化が積極的に進められている。サーキットに目を向けても同じく、2ペダル率はどんどん増えているし、ジムカーナなどの参加型モータースポーツで賑わいを見せているオートマクラスなどもその一例だ。

 そこで気になるのが、2ペダルで楽しめる競技車両にはどんなクルマが使われていて、それぞれの車両にはどんな改造が施されているのかという点。ここでは、去る6月21日に開催された、オサムファクトリー主催のジムカーナ練習会(場所は、大阪の舞洲スポーツアイランド)に出場していた、4台の2ペダル車両にスポットを当てて、それぞれのマシンの改造ポイント、ドライバーのリアルな声をお届けしていこう。

JAF地方戦TJマイカージムカーナチャンピオンカー

◆オーナー:CJX430Rさん◆車両:AUCJXF ゴルフ7R(R)/2014年式

 昨年、2019年 JAF地方戦TJマイカージムカーナ でインポートカークラスにおいて、オートマのゴルフ7Rを駆って見事シリーズチャンピオンに輝いたCJX430Rさん。オーナーは、シルビア、RX-7、GT-Rなどを乗り継いできたスポーツカーフリーク。ゴルフ7Rに買い換える前は、CP9AランサーVのフルチューン仕様を所有。

「ゴルフは手を入れないで乗るつもりでしたが、ランサーに比べて加速もハンドリングも物足らず結局イジることになりました。いまでは、(2ペダルでも)ジムカーナやサーキットでもそこそこ速く走れますし、市街地でも不快感なく(私だけか?w)、ワインディングも気持ちよく走れるベース性能の良さが気に入っています。一般道でもドライビングプレジャーが高く、限界性能はフルチューンのランサーに近づけるのがクルマづくりのテーマです」とはオーナー。これからは、昨年の地方戦からのステップアップで、JAFミドル戦での表彰台を目指したいとのこと。

<CJX430R選手からメッセージ>「4年ほど前からジムカーナ走行会には出ていましたが、昨年から知人に誘われてTJジムカーナに参戦するようになり、シリーズチャンピオンになっちゃいました。ジムカーナはサーキットのスポーツ走行とは異なり、絶対的なスピードは低いですが、全開加速やブレーキングからのターンなど日常では得られない部分や、思い通りのコーナリングができたときの達成感がとても快感です。ジムカーナは敷居が低いので気軽に参加できますし、モータースポーツ全体のボトムアップのためにもぜひご参加いただきたいです。今日はオートマクラスで2位でした。いつものTJジムカーナよりも高速設定だったので、高速コースもこなせるような練習をしていきたいと思っています」。

【おもな改造ポイント】◆エアロ:(F)ガレージベリー (W)石川エンジニアリング◆ラッピング:ハセプロカーボンシート◆タイヤ:(F)ディレッツァZIII 235/40-18(R)VALINO GREEVA 235/40-18◆ホイール:(F)ワークエモーションT7R 8.5J×18in inset45(R)レイズ RE30 8.0J×18in inset50/15mmスペーサー◆足まわり:車高調 ビルシュタインB16、ピロアッパー グランドコントロール、サスリンク&ブッシュ POWERFREX BLKシリーズ、強化スタビ アイバッハ、サブフレームマウント&ロワーエンジンマウント CTS TURBO、その他 リジカラ iSWEEP◆吸気系:CTS TURBO◆排気系:REMUS◆ブレーキ:(F)D2 6POTブレーキ、パッド MX72PLUSワンオフ(R)ディクセルHS、ステンメッシュライン(F)D2 (R)COX◆補強:Fタワーバー フォブシュランク、ロアアームバー&センターフロアブレスバー iSWEEP◆CPU系:CPU&DSG UNITORONIC stage2◆点火系:プラズマダイレクト オカダプロジェクト、プラグ HKS◆冷却系:大容量オイルパン FREEZY、オイルクーラー RACING LINE◆その他チューニング:軽量クランクプーリーキット、オイルキャッチタンク CTS TURBO◆シート:レカロ TS-G、4点シートベルト サベルト◆メーター:ブリッツ タッチブレイン 、プロテクタ エアモニ

ジムカーナATクラス最強マシン?

◆オーナー:樋口智哉さん(大阪府)◆車両:CZ4A ランサー(GSR SST)/2008年式

 ランサーという競技でのブランドの高さしかり、クルマの戦闘力からも実績からも、ジムカーナのオートマクラスでは“最強”と言われているマシンで参戦している樋口さん。驚きなのは、隅々まで改造されていると思いきや、車両スペックはなんと、ほぼノーマルのまま。

 樋口さんのランサーは、足とブレーキ以外はいじらないことをテーマに、ジムカーナ仕様に仕立てている。

「ランサーはジムカーナATクラス最強の車両として導入しました。オートマなので普段使いにもとても便利ですし、ATクラス以外でも十分に戦える戦闘力があるので、とてもお買い得でした。ほとんどイジっていないので、全国津々浦々のミツビシディーラーでメンテできることもメリットです」と話す樋口さん。今後の目標は、よりレベルの高いジムカーナの公式戦に参戦することだという。

<樋口選手からメッセージ>「普段使いのクルマで遊べるのでジムカーナは手軽に始められる競技です。(ボクみたいに)ほとんどイジってないオートマ車でも気長に練習すればチューンしたマニュアル車よりも抜いて(速いタイムを出して)優勝することもできます。ぜひ、お手持ちのオートマ車で一緒に走りましょう! クルマは磨いて愛でるより走ってナンボです」。

【おもな改造ポイント】◆タイヤ:練習用◆ホイール:ノーマル◆足まわり:スーパーオーリンズ◆ブレーキ:itzz◆エンジン:ノーマル◆駆動系:ノーマル◆内装:ノーマル(4点シートベルトのみ)

5AGSのアルトターボRSをさらなる高みへと誘う

◆オーナー:下里太介さん(京都府)◆車両:HA36S アルトターボRS/2015年式

 スズキの新しいトランスミッションである「5AGS」を装備した、アルトターボRSをいち早く競技の世界に持ち込み、いまもなお前人未到の挑戦を続けている下里さん。その2ペダルの「5AGS」で、この日はマニュアルミッション勢も多くエントリーしていた軽カーのクラスにおいて、ほかのライバルを圧倒し、見事にクラス優勝を遂げた。すなわち、一番速かった軽自動車が2ペダルのアルトターボRSだったという結果だった。

 普段は奥様のお買い物カーだという下里さんのアルトターボRS。2ペダルの利便性を活かし、街乗りから競技まで、しかも、競技ではMT車を負かすという、じつに幅の広いセッティングが施されていることがポイント。従来のオートマチック車ではなし得なかった、伝達ロスのない100馬力オーバーがつくれるのが5AGSの最大の魅力。2ペダルだと舐めてかかると、まさに、痛い目にあう戦闘力の高い一台なのである。

<下里選手からメッセージ>「今年になって初めて、クローズドコースとなる、舞洲スポーツランドで開催されたオサムファクトリーさんのジムカーナ練習会に参加させていただきました。私の今回の主旨は、久しぶりの競技ということで、リハビリと新製品のテストです。大事な新製品のテストだったのですが、評価中にも関わらず間違った操作をしてしまい、クラッチにトラブルが発生。午前中はほぼ走れませんでした。1本目はイケイケドンドンで攻めたのですが、スタンディングスタートを失敗して10秒のペナルティ。2本目はパーシャルアクセルでコントローラブルな運転を意識し、堅実なドライブになりましたが、クラス1位になれました。軽カーの2ペダルでも全車両91台中16番手まで食い込めたのが大きな収穫となりました」。

【おもな改造ポイント】◆エアロ:(W)KCテクニカRSスポイラー、軽量ボンネット R’s、シュピーゲルワイドフェンダー◆タイヤ:ヴィツァー テンペストエンツォ F/R165/55-15in◆ホイール:レイズ CE28 クラブレーサー F/R6.0J×15in◆足まわり:車高調 テイン、スプリング サスペンションプラス◆吸気系:ワンオフインテークパイプ Jワークス、エアクリーナー GroppeM ラムエアシステム◆排気系:メインマフラー&フロントパイプ KCテクニカ、タービンアウトレットキャタライザー&センターパイプ R’s◆ブレーキ:ベルディア SPEC-SS、ステンメッシュブレーキホース PLOT◆駆動系:LSD KCテクニカ OS技研 LSD◆補強系:ミラクルクロスバー、ストラットタワーバー&メンバーブレース&フレームブレースリアほか オクヤマ、ロワアームバー クスコ、リジカラ スプーン◆エンジン:タービン KCテクニカ、大容量インジェクター R’s、インタークーラー モンスタースポーツ◆CPU系:R’s ECU書き換え 現車セッティング、ブーストコントローラー HKS EVC5、スロコン ピボット◆冷却系:オイルクーラー HPI、オリジナルミドルテンプサーモ◆シート:レカロ SP-GT ll

オートマのゴルフで戦う女性公式戦スラローマー

◆オーナー:砂田光恵さん(大阪府)◆車両:1KCCZ ゴルフ(GTI)/2013年式

 男性顔負けの走りで、JAF地方選手権のジムカーナ競技で好成績を連発する有名女性スラローマーの砂田さん。ゴルフは初めて愛車に迎え入れたスポーツカーで、毎日の足としても使っていることから、実用性を損なわない範囲で競技車両に仕立てている。

 砂田さんがゴルフに惹かれたのは、実用車として十分な積載性能があることはもちろん、輸入車ならではの国産車にはないハンドリングとブレーキ性能、そして、なんと言ってもマニュアルミッションよりも優秀な2ペダルの『DSG*』がポイントだったとか。※DSG=ツインクラッチ式の2ペダルセミオートマ。DSGはフォルクスワーゲンがつけた名称。

「エンジンはスペック以上に速いですよ。ボディはノーマルのままでも強化されていますし、EPSも優秀なので雨の日の競技でも悪天候に強いです。欲しいパーツが日本国内になくても世界中を探せばどこかで開発されていたりするのは、ゴルフ(輸入車)ならではですね。社外パーツとしては珍しい、オートマ用のLSDもありました」。

<砂田選手からメッセージ>「目標は、ジムカーナ近畿地方選手権(ATクラス)のチャンピオンになることです。いつかゴルフがJAF登録車になることを信じて、全日本選手権も走ってみたいと思います。ゴルフではジムカーナ車両を製作されているショップもありません。実績がないなか試行錯誤しながら楽しんでいます。モータースポーツではまず選ばれることが少ないオートマ車ですが……。けれど、オートマの輸入車でも国産車相手に十分に戦えますので、みなさんも愛車の性能チェックを兼ねてジムカーナに参加されてみてはいかがでしょうか? オートマの輸入車に乗っている方で、モータースポーツに興味のある方はぜひ一緒にジムカーナをやりましょう!!」。

【おもな改造ポイント】◆タイヤ:アドバンネオバ  F/R225/45-17in◆ホイール:ノーマル(ロナール、BBS)◆足まわり:エナペタル(特注)◆ブレーキ:itzz◆駆動系:LSD クワイフ(ヘリカル)◆シート:スパルコ◆ベルト:シートベルトHPI◆その他:サイドブレーキレバー延長、牽引ストラップ COX

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みんなのコメント

20件
  • シフトチェンジ時の息継ぎがないからね
  • MTの良さは好きなギアをランダムに選べるところだから。
    シーケンシャルにしか選べないATではこれは無理。
    結局は個人の好みだけどさw
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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