この記事をまとめると
■似たような車種で維持費を比較
発売直後のド新車が中古車屋に並んでる……ってなぜ? 転売以外にも理由があった「すぐ手放すオーナー」の事情
■輸入車は国産車に比べて維持費が高いと言われている
■輸入車は金額で比べると国産車の1.5~2倍くらいコストが掛かる
輸入車は本当に維持費が高い?
「輸入車は国産車と違って維持にカネがかかる」というのは、多くの人がなんとなくイメージしているところだろう。
だが本当にそうなのだろうか?
いやもちろん、ランチア・デルタHFインテグラーレの中古車を買った場合と新車のトヨタ・カローラを買った場合の維持費用では天と地ほどの差がある。
だが、”いまどき”の新車同士で比較するのであれば、最近はあまり差がなかったりもするのではないか? もちろん輸入車のほうが高額ではあるはずだが、イメージほどの差はないのではないか?
……ということで、ヒマなのでちょっとシミュレーションしてみることにしよう。
シミュレーション対象とする車種はなんでもいいのだが、「まず隗より始めよ」ということで、国産車のほうは筆者の私物である「スバル・レヴォーグSTIスポーツR」にしてみる。対する輸入新車のほうは、レヴォーグのSTIスポーツRと同格かどうかは知らないが、なんとなく近いジャンルではある「BMW318iツーリング Mスポーツ」にしてみようか。
両者の車両価格はレヴォーグが502万7000円で3シリーズツーリングが672万円だが、今回は購入費用ではなく「維持費」がテーマなので、そこはサクッと無視する。
納車後、まず維持において大切なのは「保証」である。初度登録から3年間は無償の新車保証がレヴォーグにもBMWにも適用されるが、日本自動車工業会が行った「2023年度乗用車市場動向調査」によれば、近年の乗用車の平均保有期間は7.2年とのこと。できればプラス4年の延長保証は付けたいところである。
そしてレヴォーグと3シリーズツーリングそれぞれに、計7年間となる保証を付ける際の費用は下記のとおりだ。 ●スバル・レヴォーグSTIスポーツR:6万9300円 ●BMW318iツーリング Mスポーツ:22万8100~27万2800円 ……冒頭付近で「いまどきの新車同士で比較するなら、最近はあまり差がなかったりもするのではないか?」と申し上げたが、いきなり「輸入車のほうが15万円以上高い」という結果が出てしまった。
ちなみにBMWの延長保証料に「22万8100~27万2800円」という開きがあるのは、6~7年目も保証する「再延長プラン」の金額が、申し込み時の走行距離によって異なるからだ。
似たような車格ならそこまで高くない!?
まぁいずれにせよ「ガイシャの維持費ってやっぱり高いのかも?」ということを軽く頭に入れつつ、次に行こう。いわゆる「メンテナンスパック」についてである。
3年間の新車保証および延長保証により、エンジンやトランスミッション、ステアリング機構などの機関部分は「仮に壊れたとしても大丈夫!」という状態になるわけだが、クルマというのはそのほかにもいろいろと定期的な点検やエンジンオイル交換などをしてやらなければならない。そういった諸々がお得なセットになっているのがいわゆるメンテナンスパックで、ほとんどの新車購入者はこれを選択しているはずだ。
スバルの場合、メンテナンスパックは「点検パック」という名称で、BMWでは「BMWサービス・インクルーシブ」という名称で呼ばれている。
それぞれをレヴォーグと3シリーズツーリングに適用させる場合のコストは以下のとおりだ。 ●スバル・レヴォーグSTIスポーツR:14万2285円
上記の価格は点検パックの「ロング5」で、かつ「スタンダードコース アイサイト専用エンジンオイル交換タイプ+初回車検オプション」という長い名称の商品を選択した場合。内容は要するに約6カ月ごとの定期点検とオイル交換(フィルター交換は12カ月ごと)、初回車検時のフロントワイパーラバー交換である(※これはかなりざっくりした説明なので、詳しくはスバル公式サイトをご覧ください)。
●BMW318iツーリング Mスポーツ:10万7800円~16万2800円
こちらはBMW サービス・インクルーシブの2年延長パッケージ(スタンダード・パッケージ)を選択した場合のプライス。BMW サービス・インクルーシブの場合、新車購入から3年間は全モデルに標準付帯され、2年間の延長パッケージ分が有償となる。 そして3シリーズツーリングの場合、2年延長する際の走行距離が6万km以下であれば10万7800円で、8万kmだと13万9700円、10万kmだと16万2800円になる。
内容的には、定期点検やオイル&フィルター交換などがパックになっているのはスバルの点検パックとおおむね同様。だが、BMW サービス・インクルーシブは「タイヤパンク補償」と「キー補償」、そして「BMWエマージェンシー・サービス」が付帯している点が、スバル以上に充実しているだろうか。それでいて費用はスバルとおおむね同水準か、走行距離によっては4万円ほど安くなる。
では、現時点までに判明した金額を一度まとめておこう。 ●スバル・レヴォーグSTIスポーツR
→21万1585円(延長保証6万9300円+点検パック14万2285円)
●BMW318iツーリング Mスポーツ(※年間8000kmペースで走行と仮定)
→33万5900円(延長保証22万8100円+BMWサービス・インクルーシブ延長パッケージ10万7800円) 「BMWのほうが1.6倍ほど高い」ということだが、まぁだいたいそんなモンだろうとは予想していた。このほか車検時に部品交換が必要となる場合は、その部品代と工賃が別途必要となるが、その値段も「(おおむねだが)輸入車のほうが1.5倍ぐらい高い」というのが一般的な線となろう。
もちろん輸入車の部品には、意味不明なまでに高額なモノもある。
たとえば、まさに3シリーズツーリングに乗っている筆者の知人が、過日「デイタイム・ランニング・ライト」をちょこっとだけ修理する必要に迫られたのだが(一部が消えているだけでも車検に通らないらしい)、その際にディーラーから告げられたのは「アッセンブリー交換で●●万円になります」という衝撃のプライスだった。
絶句する知人に同情したのか、それとも「さすがにこの部品代はないよな……」とディーラーマン自身も思ったからかは不明だが、いずれにせよディーラーマンは「……とはいえヤフオクで売ってる安い部品を使って直すこともできますので、今回はそれで直しておきますね」ということにはなったそうだ。
そのような「意味不明なまでに高額な部品代」にまれに襲撃されるリスクがあるのが輸入車であり、つまらないマイナートラブルも若干多いのかもしれない。だが基本的には「国産新車の1.5倍から、せいぜい2倍ぐらい」の維持コストでなんとかなるというのが、昨今の実情であるように思う。つまり、「たしかに高いけど、『めっちゃ高い』というほどではない」という結論だ。
そして各種の税金は排気量と重量および環境性能次第であるため、クルマの国籍とは関係ない。ちなみに燃費は、レヴォーグのSTIスポーツRよりもBMW 320dツーリングのほうが断然良好であるはずだ。
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