「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前の国産車は環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は「ホンダ アコード(8代目)」だ。
ホンダ アコード(8代目:2008年)
初代アコードが誕生したのは、1976年。実に8代にわたって続いているロングセラーモデルだ。今回のフルモデルチェンジで注目すべき点は、これまでのモデルとはガラリと趣向が変わったこと。つまり、アコードというクルマの在り方と作り方が大きく方向転換したといえる。
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新型アコードに起きた大きな出来事。それはふたつある。ひとつ目は、セダンとワゴン改め「ツアラー」が、同じ考え方に基づいて作られたという変化だ。これまでのワゴンはラゲッジスペースを重視していた。だが、アコードを選ぶ人が求めているものは、ボディ形状を問わずスタイリッシュな外観と高い運動性能であるという結論から、どちらも同じベクトルで開発が進められた。
ふたつ目は、これまでよりも市場における守備範囲が広がったこと。つまり、欧州で言うところのDセグメントよりも少し上のクラスのクルマとも競合するクルマに洗練されたというわけだ。これはアッパーミドルサイズのセダンへの人気が高くなりつつある市場への対応策であると同時に、世界中のライバルと比肩する、いやそれ以上のクルマを作ろう!というホンダ意気込みの表れといえるだろう。
新型アコードの全幅は、レジェンド&インスパイアの1845mmに迫る1840mmと、けっこう大柄。しかし、そのおかげで広々とした、ゆとりある室内空間が生まれたのは言うまでもない。見た目はもちろん、直接手で触れる部分の感触にもこだわって作られているインテリアも好印象だ。
パワートレーンは、2.4Lのi-VTEC+5速ATのFFのみに絞られた。さらに出足の重さを感じさせないよう、ローギアードなセッティングがなされているので、カッタルさとは無縁。高速域では、スピードメーターが表示する数値ほど「速さ」を感じない。真っ直ぐ走るクルージング性能が磨き込まれているからこそ実感できる「ゆとり」がある。また、目からウロコだったのがコーナリング性能。ロールの始まりが自然で、終始しなやか。スポーティ=硬いではないという考え方が見て取れる。
また、ハイテン材を多用し、遮音材も軽量化。車両重量の増加は先代比でセダンが+60kg、ワゴンは+10kgに抑えられている。インナーフレーム構造やルーフ閉断面連続結合構造といった先進技術が生み出した高剛性ボディも、走りに貢献していることは間違いない。
「変化」と「洗練」の両立、という難題をクリアした新型アコードは、1クラス上のクルマになったという確証をもたらしてくれた。
■ホンダ アコードセダン 24iL 主要諸元
●全長×全幅×全高:4730×1840×1440mm(4750×1840×1470)
●ホイールベース:2705mm
●車両重量:1520kg(1590)
●エンジン種類:直4 DOHC<i-VTEC>
●排気量:2354cc
●最高出力:151kW<206ps>/7000rpm
●最大トルク:232Nm<23.7kgm>/4300rpm
●トランスミッション:5速AT<パドルシフト付き>
●駆動方式:横置きFF
●10・15モード燃費:11.2km/L(11.0)
●タイヤ:225/50R17
●当時の車両価格<税込み>:380万円(410万円)
(カッコ内はツアラー 24iL)
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卒業したっけ。