ハッチバックとの差 どこにあるか
text:Kazuhiro Nanyo(南陽一浩)
【画像】これだけ違う 新型2008/DS 3クロスバック/新型208【プラットフォーム共有】 全94枚
photo:Keisuke Maeda(前田恵介)
発進して1つ目の曲がり角でステアリングを切り始めた途端、その軽さに驚かされた。
プジョーお得意のiコクピットによる小径ぶりも手伝って、微低速域ではいくらなんでもオーバーアシスト気味に感じられたものだが、慣れとは怖いもの。
しばらく住宅街でストップ&ゴーと小回りを繰り返していると、4.3m強というBセグとして決して小さくないボディが、最小限の操作でスイスイ取り回せることに快適さすら覚えるようになる。
ところが第三京浜にのるために合流加速して、多摩川の上で緩い左右S字の切り返しに差しかかると、速度感応式のステアリングそして足回りがビタっと安定した手応えを返してきて、先ほど住宅街で感じたのとは違う種類の快適さに、再び驚かされた。
たしかに地続きのステアリングフィールなのだが、前者がお茶の子さいさいの感覚とすれば、後者はどしっと前車軸が路面を捉えているがゆえの頼もしさ。
ほとんど二重人格的といっていい絶妙の味つけに、秋口から日本導入が始まった2世代目プジョー2008(SUV 2008)のキャラクターが表れている。
VWポロとTクロス、ヤリスとヤリス・クロスなど、FFベースのすべてのクロスオーバーSUVがそうであるのと同様、2008はCMPプラットフォームを共有しつつ先行するハッチバック・モデルの208に多くを負うている。
ボディサイズ/内装の違い
全長4305×全幅1770×全高1550mmという外寸は、ハッチバックの208より210mm長く、25mm幅広く、105mm高い。ちなみに初代2008に比べても全長は145mm長く、全幅は30mm広がったが、車高は20mm低くなった。
最低地上高も208の145mmに対し、新型2008は205mmと、60mm高い。
にもかかわらず、いざ2008のコクピットに身体を預けてみると、視点はなるほど、確かに高くなってSUVらしさはあるが、着座感と伸ばした足とフロアの距離感は意外なほどハッチバックに似ている。
スポーツカーライクな切り立ったダッシュボードの造形による包まれ感が、208と同様なのは当然だが、フル液晶のメーターパネルで、スクリーンを2枚にして手前側に針や数値を映し出すことで実現した、ヘッドアップ・インストルメントパネルの3Dホログラム的表示も同じくだ。
要は2008はSUVらしい視界の高さと広がり感は、10cm以上も高くなった車高で稼いだのではなく、7cmほど大きくなったタイヤ外径と、サスペンションアームのボディ取り付け位置を低めたことによる。
ようはフロアを少し高めても、重心位置はなるべく持ち上げないで、高く座らせたように思わせる演出がなされているのだ。
SUVっぽいネガ 見当たらない?
かくして重心は多少上がっても、CMPプラットフォームの剛性感や、プジョーらしい活発さは、新型2008でも失われていない。
むしろトレッドやホイールベースの適切な拡大によって、異なるグッドバランスの1台に仕上がった、そう唸らせる。
乗り心地は、猫足というには固めだがハッチバックよりストローク量はあるし、パタパタする「ドライさ」ではなく、適度に湿り気あるしなやかさと敏捷さは味わえる。
試乗したアリュールでも130ps仕様の直3 1.2Lターボを積むので、ハッチバックの100ps仕様よりパワフルなはずだが、車重も増している分、大きなアドバンテージにはなっていない。
にも関わらず、SUVらしからぬ小気味よさを支えているのは、パワートレインのクオリティとシャシーの妙としかいいようがない。
ダウンサイジング・ターボのお手本のような、ピュアテックの軽快で力強い回転フィール、そこに滑らかだが繋がりも適度にダイレクトな、アイシン製8速ATのマナーもあって、高速道路でもワインディングでも、臍を噛むようなことはない。
DS 3クロスバックとの棲み分けとは
ただし、同じパリ郊外のポワシー工場で組み立てられるCMPプラットフォームの兄弟車で、価格帯もより高級なDS 3クロスバックとはっきりとした差が感じられる点がある。
それは2008は非アコースティックガラスゆえ、とくに高速道路での静粛性ではDSが優っている。
おそらく遮音材の使い方も異なっているだろうし、スポーツ・モードでエグゾーストノートの侵入音も2008の方が大きいと感じる。そこは、価格帯とキャラクターの違いなのだ。
加えて高速巡航時、ADASの作動ぶりが安定していて、Bセグの1台としては長距離行が楽で心地よいのは、特筆事項だ。
たしかに前走車をセンサーが「食った」時の減速制御が強い感じはあるが、レベル2ゆえ警告も兼ねていると思えば納得いく。そもそも、そうした場面で軽くアクセルを踏んでドライバー操作に移行することで、減速Gを相殺するような自然なオーバーライドが秀逸でさえある。
スモールSUVにして、かくも良質のドライバーズカーであり続けている点が、プジョーらしさだ。
トッピングに頼らぬスモールSUV
しかもエントリーグレードのアリュールでも、上級グレードのGTラインと比べて、日常走行に関わる標準装備から省かれているのは、駐車時などの死角を減らす「アクティブ・ブラインドスポットモニター・システム」や、氷雪路や砂泥の路面で駆動力を最適化する「アドバンスト・グリップコントロール」、あとはフォグやインテリジェント・ハイビームぐらい。
内装の質感の高さの割に、輸入車のSUVで300万円を何とか切っている。
「素にして上質」というフレンチ・スモールの古典的系譜、その今ドキの発現と思えば、納得いく1台ではないだろうか。
新型SUV 2008 スペック
プジョーSUV 2008アリュール スペック
価格:299万円
全長:4305mm
全幅:1770mm
全高:1550mm
最高速度:-
0-100km/h加速:-
燃費:17.1km/L(WLTCモード)
CO2排出量:-g/km
車両重量:1270kg
パワートレイン:1199cc直列3気筒ターボ
使用燃料:ガソリン
最高出力:130ps/5500rpm
最大トルク:23.5kg-m/1750rpm
ギアボックス:8速オートマティック
乗車定員:5名
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みんなのコメント
プラス100万円なのにチープさ際立つDS3は論外だが。