ロールス・ロイスの新型「ゴースト」に小川フミオが試乗した。驚きのハンドリング性能とは?
11年ぶりのフルモデルチェンジ
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ロールス・ロイスが、「後席も運転席もどちらもいい」と、うたう高級サルーン「ゴースト」に試乗した。2020年11月の日光が舞台。いろは坂をはじめ、屈曲路の多いコースを「ゴーストでのドライブにぴったり」と、日本法人が言うだけあって、予想以上に楽しいクルマだった。
初代の登場が2009年で、11年ぶりのフルモデルチェンジとなった。6748ccV型12気筒ガソリンターボ・エンジンに、全輪駆動システムを組み合わせる。さらに、“空飛ぶじゅうたん”のような乗り心地を目指した新開発のフロント・サスペンションや、数かずのドライバー・アシスタンス・システムなど、痛快、快適、安心といった、さまざまな形容詞が似合うのだ。
今回の試乗のハブは、「ザ・リッツカールトン日光」。2020年7月にオープンしたばかりで、はやくも旅好きのデスティネーションになっているラグジュアリーホテルだ。
今回の試乗会には、『GQ JAPAN』 の鈴木正文編集長に同行した。ロールス・ロイス「シルバーセラフ」をかつて所有し、英国の高級車でもういっぽうの雄であるベントレーを、つねに1台は所有する鈴木編集長。運転しても楽しいとうたわれる新型ゴーストをどう評価するかも、私にとっておおいなる関心事だった。
ogawa“脱・贅沢”なロールス
試乗車は「アークティックホワイト」と呼ばれる白の車体色に、同名の白主体の内装だ。シートには「テーラード・パープル」という紫のステッチが入る。ダッシュボードは「オープンポア/オブシディアン/アユース」なるパネルがアクセントとなっている。“スポーティ”というより“華麗”という言葉が似合う。
ちなみにオープンポアとは、木目を活かした塗装のこと。オブシディアンは黒曜石。そしてアユースはアフリカなどに生える大木の一種である。オープンポア仕上げを使いつつ黒曜石を思わせる黒色で仕上げたアユース材、という意味になる。これが、上記ホワイトの内装と美しいコントラストを実現している。
あたらしいゴーストのデザインコンセプトは英語だと「Post Opulent」。オピュレントとは(非常に)裕福な、豪華な、という形容詞だ。日本法人は“脱・贅沢”と訳す。見せかけの、つまりは、これ見よがしなぜいたくさを排除した、とロールス・ロイスでは解説している。
なので、ダッシュボードはあまりキラキラしていない。そういえばボディスタイルも、キャビンを低めにして、どちらかというと、ほっそりと見える。
アルミニウムのスペースフレームシャシーに、571psのV型12気筒ガソリンターボ・エンジンを搭載する。先述したとおり、850Nmの大トルクを最大限効率よく使うため4輪を駆動し、さらにコーナリングはクイックに、高速ではより高い安定性を、と後輪操舵システムまでそなえる。
「もっとも技術的に進歩したロールス・ロイス」。メーカーじしんがそう定義するだけあって、さまざまな技術がふんだんに投入されている。
路面をカメラで読み取る「フラッグベアラー」システム、それに連動して瞬時にダンピングを調節するエアサスペンションシステム、ナビゲーションの地図を参考に道に合わせて適切にシフトアップあるいはシフトダウンをおこなう「サテライトエイデッド・トランスミッション」といったぐあいだ。
スポーティなドライビングも楽しめる!
はたして、こんなにスポーティなドライビングが出来るロールスロイスは初めて、というモデルだった。発進加速からして、車重は2490kgあるのに、いっさいのもたつきなし。加速もいきおいがよい。
加速がいいだけでない。操縦性にもすぐれる。ステアリング・ホイールを切ったときの車体の動き、コーナリング中の姿勢、それにブレーキング。すべての点において、破綻のないバランスのよさをみせる。
いろは坂では先行するポルシェ「911」に追いついてしまい、道を譲られたこともある。大型の「パンテオン・グリル」を持ったゴーストの姿が、リアビューミラーのなかでどんどん大きくなってきたら、それは焦るだろう。
ほかの交通のことを考えると、ゴーストがいくら楽しいとはいえ、節度をもった運転を心がけるべき、と、反省させられた場面である。スポーティなドライビングを充分に味わわせてくれた。
大きな車体であるが、走り、曲がり、止まるといった一連の操作はナチュラルなので、たいへん気持がいい。ドライブに飽きることがない。同時に、快適性を求める高速巡航も、(こちらは期待どおり)ゴーストは満足させてくれる。
鈴木編集長は、中禅寺湖畔から丸沼まで約30kmの屈曲路を走らせて、直線とカーブが繰り返し現れる区間では、制動力の高さと、加速の反応のよさと、それにあらゆる場面での車体の姿勢制御のよさに、笑顔を見せていた。
途中の小さなカーブが連続する区間では追いかけてきた日本製のオープン・スポーツカーを大きく引き離したのも、痛快である。折り返し点で、遅れて追いついたそのクルマの若きドライバーをして、「信じられない」と言わしめた俊敏さだった。
ようするに、ドライバーの腕前を存分に発揮できるのが、あたらしいゴーストなのだ。全長5545mm、全高1570mmのボディの大型セダンが、スポーツカーなみの速度でワインディングロードを疾走するなんて、傍からみたら、信じられない光景かもしれない。
ドライバーは、しかし、いたって冷静。他の乗員も、ドライバーの腕さえたしかなら、カーブでだって快適な気分で、音楽を楽しんでいられる。
「高級車で大事なことのひとつは、乗り心地のよさであると思います」と、言う、鈴木編集長にとっても、満足のいく仕上がりとのことだ。
高速でもボディの動きは安定していて、姿勢はフラット。うまくセッティングされた電子制御を得たサスペンション・システムはしっかり働いてくれる。後席もじゅうぶんに空間的余裕があり、平日はショーファードリブン(運転手つき)で使え、休日は自分で楽しめるクルマ、というのがゴーストの機能のふれこみなのである。
完全にショファーに運転をまかせたいひとなら、さきごろ本国で発表されたエクステンデッドホイールベース(標準の3295mmより170mm長い)仕様という手もある。選択肢をいくつも用意するのが、プレミアムブランドなのだ。
内装は、表面的な贅沢さを排したと説明されるだけあって、クロームやウッドパネルの量で勝負、というところはない。それでも、ぶ厚いクッションのシート、星がキラキラと輝く天井、自動で開閉する後席ドア、と、ほかにはないもてなし感覚にあふれている。居心地がいい。
”伝統”も新しくなっていく
中禅寺湖畔は、英国とのつきあいが古い土地だ。代表的なひとりが、サー・アーネスト・メイスン・サトウ(1843年~1929年)。英国大使館の駐日公使を務めたアーネスト・サトウは、1872(明治5)年にこの地を初めて訪れていらい、とりこになったそうだ。
サトウ(サトウは佐藤でなくSatow)が中禅寺湖南岸に、1896年に建てた別荘は、のちに英国大使館別荘になり、2008(平成20)年まで使われたあと、現在は当時の姿に復元され「英国大使館別荘記念公園」として整備されている。
ogawaみやげもの屋で軒を連ねる湖畔から、日光金谷ホテルのほうに向かい、さらにすこし離れると、美しい景色が出現する。舗装も比較的いい状態で手入れされていて、英国からやってきたゴーストを楽しむのにまことにいい気分にさせられた。
クルマには、環境との相性もある、という事実を改めて認識させてくれたゴーストでの日光だった。日本での価格は3590万円。このクルマを堪能できるひとの数は限られてしまうかもしれない。
でも、ロースル・ロイス広報によると、日本で年間100台ほど売れているロールスロイス車のオーナーの平均年齢は、ミニのそれより低いそうだ。驚くことである。アーネスト・サトウの別荘が往時の姿に再建されるいっぽう、ちかくにモダンなザ・リッツカールトン日光が建った。
日光が変わっていくように、ロールス・ロイスという”伝統”も新しくなっていくのだ。
文・小川フミオ
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