BMW最小の4ドアクーペ「2シリーズ・グランクーペ」に小川フミオが試乗した。コンパクトだからこその魅力とは?
スタイリッシュな仕上げ
ひとりでのドライブが好きなひとはどれだけいるだろう? 20代の頃みたいにステアリング・ホイールを握って、遠くまで出かけてみたい……なんて思っている筆者と同世代である50~60歳代の人はけっこういると思う。BMWの新型モデル「M235i xDriveグランクーペ」は、彼らにとって理想的なパートナーになりそうだ。
なにしろ、パーソナルな雰囲気がある4ドアクーペだし、操縦を楽しめるキャラクターである。昨今はセダンでもクーペのようにキャビンを造型するのがトレンドだ。そこにあって、より強くクーペ的な雰囲気を打ち出したのが、BMWのグランクーペ・スタイルだ。
これまでに、4シリーズ、6シリーズ、8シリーズで、グランクーペを展開してきたBMW。“ライフスタイル・カー”に偶数をあてるBMWのコードにのっとって、今回の2シリーズもまた、スタイリッシュな仕上げだ。
今流行りのSUVには、SUVの良さがある。ゴツいスタイルには、“モノ”好きな心をくすぐる魅力があることは認める。でも、自分ひとりで楽しみたい(ときどき家族とも)なんてひとだったら、4ドアクーペはぴったりのコンセプトではないか。
2シリーズ・グランクーペの後席は、やや低めの天井だからヘッドルームは限られる。とはいえ、175cmの人がふたり乗れるスペースはある。広くはないものの、ファミリーカーとして使えないことはない。見かけよりは実用的だ。このあたりは、上手なパッケージングである。
“重厚”ではなく“軽快”
でもなんていっても、真骨頂はドライバビリティの高さにある。
日本では、2019年10月に発表され、納車は今年の4月からスタート。103kW(140ps)の最高出力と220Nmの最大トルクを持つ1.5リッター直列3気筒ガソリンターボ・エンジンに前輪駆動を組み合わせた「218iグランクーペ」が装備ちがいで3グレード。
くわえて、225kW(306ps)と450Nmを発揮するパワフルな2.0リッター直列4気筒ガソリンターボ・エンジンに全輪駆動システムを組み合わせた「M235i xDriveグランクーペ」が、選べる。今回乗ったのは、このクルマだ。
“重厚”ではなく“軽快”という言葉が似合う。アクセルペダルを少し踏んだだけでもボディは即座に反応して、気持ちよく動く。これはBMW車を操縦するときの醍醐味だ。
私は今年2月、ポルトガルでおこなわれた国際試乗会で乗ったとき、運転してすぐに、かつての3シリーズを連想した。3代目までに顕著だったコンパクトで鋭敏な3シリーズのよさが、いま、2シリーズグランクーペによみがえった、と、感じたのだ。
今回、東京で乗ったときも、運転の楽しさに感心した。エンジン回転は通常のコンフォートモードでは1500rpmあたりを使って走る設定だ。それでも十分にパワーが感じられる。アクセルペダルの踏みこみに対し、加速の反応も速い。
とはいえ、このエンジンは上の回転域までまわして走るところに真価がある。2500rpmを超えるとぐんぐんとトルクが沸いてでる感覚が味わえるのにくわえ、あえて、“ポンッ”といきおいよくアクセルペダルを踏むと、”クオンッ”と吸気音が大きく響く設定だ。
胸のすくような中低音と、わずかなバイブレーションとともに、最高出力を発生する5000rpmを超えても、なお、スムーズに回転が上がっていくのは、さすがエンジンメーカーでならしたBMW。これもむかし、3シリーズでいたく感激した点なのを思い出した。
”コンパクト”といっても、全長は4535mmある。でも、“ひらりひらり”と、表現したくなるようなレーンチェンジを体験させてくれる。
太めのグリップを持つステアリング・ホイールを切り込んだとき、ボディの動きは速い。右足でアクセルペダルを、両手で太めのグリップのステアリング・ホイールを操作しながら、小さなコーナーが連続する道を走り抜けるシチュエーションを味わったら、ぜったいに、このクルマのとりこになるだろう。
価格は665万円
インテリアの造型コンセプトは、たとえばスポーツカーの「Z4」にちかい。ヘッド・レストレイント一体型のいわゆるハイバックシートの表皮は、スポーツカーのような人工スエード張りだ。座り心地がいいうえに、からだが滑らず、たいへん具合がよい。
インテリアの各所にはブルーのステッチが入っていて、室内に入ると、それだけで気分がたかまってくる。このクルマでのロングドライブは、絶対に楽しいはずだ。
価格は665万円。3気筒の218iグランクーペが369万円からで、こちらも、1.5リッターといえども、よく走る。でも、太いトルクをもちながら、よくまわるエンジンというM235i xDriveグランクーペでだけに許された楽しみは捨てがたい。
文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.)
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みんなのコメント
驚いたような顔つき
汚い処理のテールランプ
反対回転のタコメーター コレは、要らんな。
デザインも良くないしメーターとか最悪
唯一の救いはグリルかな?