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「コールドプレイ」メンバーの素敵過ぎるポルシェライフ!!

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「コールドプレイ」メンバーの素敵過ぎるポルシェライフ!!

■「コールドプレイ」のガイ・ベリーマンのもうひとつの顔

 空前絶後の人気を誇るロックバンド「コールドプレイ」の一員として約四半世紀にわたってベースを担当し、数百万人のファンを持つガイ・ベリーマン。

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 そんな彼は音楽ビジネスの最前線で活躍する一方、別の方面でも情熱を燃やし続けてきた。クラシック・スポーツカーのコレクターとしてもレストアラーとしてもリスペクトされる存在になり、最近では『The Road Rat』という人気の高い雑誌のクリエイティブ・ディレクターも務めているのだ。

 実のところ、クルマ熱は彼を形成する要素のひとつで、生涯にわたって影響を与えてきた。1980年代にスコットランドで過ごした子ども時代、父親がしまい込んでいたトライアンフ「TR3A」のスタイルは在りし日のデザインとエンジニアリングを思い起こさせるもので、幼いガイはTRのホイールの陰に隠れて、クモの巣や不思議な部品に囲まれたもうひとつの世界に夢中になっていたという。ここで種がまかれたのだ。

 コールドプレイの活動が本格化するまで、ガイはユニバーシティ・カレッジ・ロンドンで機械工学の勉強をしていた。コッツウォルズにある自宅ガレージを訪問した際に彼が説明してくれたのは、このことが自動車の世界に対する関わり方や考え方の根幹になっているということだ。

「僕のクルマへの興味は基本的に、その後ろの技術やコンセプトにあるんだ。僕のコレクションしているクルマはすべて、表面の下になにか特筆すべきものを持っている。『形態は機能に従う』という思想を深く信じているし、そのことが様々な分野にわたって僕の役に立っている。工業デザインでもファッションでもクルマでも、この合言葉に従っていれば、本当に純粋なものにたどり着けると思うよ」

●人の手で描かれたクルマは本当にピュアで美しい!

 クルマについては、ガイの好みは旧車に強く向いていて、20世紀なかばのヨーロッパのエキゾチックなクルマたちの豊富なコレクションからも、そのことは分かる。「1950年代から60年代のデザイン言語には、人の手で描かれたおかげで、とても美しく彫刻的なクオリティの高さがあったと思う。60年代の自動車のデザインには本当の華麗さと魂が宿っていて、とてもピュアなカタチを実現していたんだ」

 しかしこのテーマに対するガイの情熱は、単なる美学をはるかに超えている。現代のコレクターの大半と彼が違うのは、42歳にして自分のクルマのレストアに積極的に取り組んでいていること。自宅には大規模なワークショップを確保して、そこには様々なレストア状況のプロジェクトカーが転がっているのだ。

「実際にクルマをバラしたり組み立てなおしたりすることに興味があるのは、明らかに僕の機械工学を学んでいた過去と関係があるね。学ぶこと、分解することに惹かれる。つまり、人生のなかで僕ができるクリエイティブなことのなかには、対象を観察して分解することも含まれるんだよ。精神的にも、物理的にも。僕の脳はそうなっている」

 ガイのレストアの特徴は、細部に至るまで敬虔といえるほどの関心を抱きながら、クルマの過去を深く掘り下げていくことにある。何年もかけて失われた歴史を明らかにし、前のオーナーたちにコンタクトを取り、アーカイブを掘り下げてきた。

「クルマが工場から出荷された時の状態を忠実に再現するために、かなりの時間をかけている。復元するのは材料や仕上げや色、時にはパネルやドアの内側といった目に見えない箇所までね。バラしてる途中で見つかった物は保管するか、クルマを元に戻すときに再生するようにしているよ」

■クラシックカーを運転する時は、笑顔しか出てこない!

 レストアの手順とディテールへの情熱は、雑誌『The Road Rat』でも原動力になっている。ガイはこのプロジェクトのパートナー、ミッキー・ハーヴェイとジョン・クレイドンと一緒にこの雑誌を立ち上げることで、クルマとともに、紙のメディア、しっかり読ませる記事、そして伝統的なものづくりを称賛しようとしているのだ。

 ガイはこう説明する。「僕らが望んだのは深みのある編集と、しっかりした方法でストーリーを伝えることで、人間的な要素をつねに紹介していくということ。つまり、単なるクルマじゃないんだ。なぜそこにある? 誰がつくった? その裏にある本当の物語は?」

 その完璧な例が第2号に登場して表紙を飾った「マルティニレーシング917ラングヘック」だ。添えられた記事は約8000語にも及び、ツッフェンハウゼンのポルシェ・ミュージアムから提供された初公開のアーカイブ画像と詳細な技術図面とともに掲載されたのだった。

 記事が焦点を当てたのは「917」のレースでの戦闘力ではなく、プロジェクト発足から1969年春のホモロゲーション取得にいたるまでの尋常ならざる道のり、緊張感、政治、そして先見の明のあるエンジニアたちだった。そうしてやっと、917はデビューを果たしたのだ。

 ガイのコレクションには取り組み中のプロジェクトが非常に多いため、どれかが実際にドライブされることは滅多にない。しかしそれは、路上復帰へ向けたガイの献身を過小評価することにはならない。ヨーロッパ全域をツアーで巡る彼は5台ものクラシック・ポルシェを所有していて、それぞれが、ポルシェの豊かな歴史と技術的な完全さに対する彼の見識をうかがわせるものだ。

●ガイの華麗なるコレクション

 ガレージ空間には完璧にレストアされた1967年型の「911S」と、GT仕様に改造された「914/6」、そしてアメリカのポルシェのチューナーでありポルシェショップ「レンネンハウス」の創立者として知られるクレイ・グレーディが所有していた、ほぼオリジナルの「911」が並ぶ。グレーディがレースで勝利した「914レーサー」もガイが所有している。さらに、あまり知られていない1958年のレースカー(356Aスピードスター・ザガート)の図面を元にザガート社が2015年に9台だけ復刻製造した、超レアな「356ザガート」とさえも所有しているほどだ。

「素晴らしいクルマだよ」とガイはいう。「羽のように軽くてとても開放的で、僕にこれまでの人生で最高のロードトリップを味わわせてくれた。友達のa-ha(スウェーデンのバンド)のマグネ・フルホルメンと一緒にミラノのザガートでそれを受け取ってからドライブして、湖を超えてフランスのシャモニーへ。そしてアルプスを降りてニースまで。

 想像できるかぎり最悪の天候のなかを僕らはドライブしたんだ。雷雨はあるし、曲がりくねったアルプスの道で視界は4mくらいまで落ちた。現代のクルマに乗った人たちは進むのは危険だと判断していたけど、僕らは決まった日時までにニースに着かなきゃいけなかったから、明るい黄色のレインコートを着て、クルマの中を水びたしにしながら突き進んだ。毎晩ホテルに着くたび、クルマから水をすくうためのバケツを頼まなきゃいけなかったよ」

 これもまた、リフトアップして徹底的にレストアすることから設計者の意図通りにドライブすることまで、ガイが自分のポリシーに忠実であることの例といえるだろう。

「人々はクルマを十分にドライブしてはいないと思う。それは個人的にも、文化の観点からも残念なことだ。

 内燃機関の時代が本当に終わってしまった時、人々はクラシックカーを歴史的な文脈で見ることができ、もっと評価することができるようになるはず。電動化への動きは日に日に大きくなっているし、デイリードライバーとしては断然『タイカン』が気になっているよ。

 でも、僕がクラシックカーに乗ってストリートを走るときは、笑顔しか出てこない。このクルマたちが歩んできた人生。彼らが語ってくる物語。それは、かけがえのないものなんだ」

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