もくじ
はじめに
ー クルマはつまらなくなったのだろうか?
41万km走破のランボルギーニ・ムルシエラゴ どう違う? なぜそうなった?
BMW M3スポーツ・エボリューション編
ー 世界が送った「熱視線」 いまは?
ー 軽やかに高回転域へ トルク不足払拭
フォード・シエラRSコスワース編(10月4日公開予定)
ー シエラRSコスワースは「夢のクルマ」
ー 直線加速で圧倒 ただし重心高のネガも
メルセデス・ベンツ190E 2.5-16編(10月5日公開予定)
ー 190E 歴代最高のエンジニアリング
ー スピード/スリル バランスの妙
おわりに
ー 3台の中でどれを選ぶのが得策なのか
はじめに
クルマはつまらなくなったのだろうか?
「ライバルが手強いほど磨かれていく」という、ものづくりにおける黄金の法則がある。そしてそれはクルマに関しても当てはまる……はずだったが、最近はそうとも限らないようだ。
エンスージァストの視点で見ると、ライバルと競い合って生まれたであろうテクノロジーの進化が、実はドライバーの主体性を薄め、純粋に運転という行為から悦びのエッセンスを奪っているという側面もある。
言わんとするところは、AUTOCARの読者諸氏ならお分かりいただけるだろう。
F1スタイルのギアボックスは確かにシューマッハ並みのシフトチェンジを可能にし、ローンチコントロールが装備されていればシグナルダッシュも無敵。スタビリティコントロール・システムは滑りやすい路面でクラッシュして高い修理代を払うリスクを大幅に減らしてくれる。
最近のクルマは速い。とにかく速い。そしてこれからもどんどん速くなり続けるだろう。そのこと自体は否定しない。しかし、本当にその速さを愉しめているひとは、いったいどれくらいいるだろう?
思い出して欲しい、1980年代後半のハイパフォーマンスカーを。電子デバイスなどなくてもちゃんと走れたし、コーナーではドライバーの腕ひとつで、右足とステアリング操作で様々なドリフトを思う存分コントロールできたではないか。
その旧き良き時代、BMWとメルセデス、そして欧州フォードはスポーティなイメージを前面に押し出したコンパクト・サルーンで覇権を争っていた。戦いは一般公道だけでなくサーキットでも繰り広げられた。
当時の切磋琢磨の過程と結末を、われわれは今、実車を通して確認することができる。当時盛り上がっていたグループAカテゴリーのツーリングカー・レースに参戦するために市販された3台のホモロゲーション・モデルは、20年の時を経た今なお光り輝いている。
BMW M3、メルセデス190E 2.5 16、そしてシエラ・コスワース。当時は高額でとても気軽には手を出せなかった栄光のロードレーサーも、今では嬉しいことに手頃な価格に落ち着いている。
ちょっとした思いきりさえあれば、貴方の手がすぐ届くところにあるのだ。
BMW M3スポーツ・エボリューション編
世界が送った「熱視線」 いまは?
年季の入ったエンスージァストなら、初代BMW M3の現役当時の輝きをご存知だろう。AUTOCAR英国版が1987年3月に行ったロードテストでは、当時5点満点だった結論のところに「10点満点だったら9点の評価を下したい」という意味深なコメントとともに「伝説がまたひとつ生まれた」という記述が残されている。
初代M3は1987年にリリースされ、その後、エボリューションI、II、ラバーリアと続き、1990年にスポーツ・エボリューションで締めくくられたが、今回われわれが試乗したのは最後期のスポエボで、かなりレアモデルといえる(もっとも多かった年でも年産62台に過ぎない)。
ちなみに正規の英国仕様はたったの38台で、当時の価格は約900万円だった。今回テストに連れ出した個体は、オーナーのクレイグ・スミスがイタリアから輸入した並行ものである。
取材当日、集合場所に最後に到着したこのM3スポエボは、「これぞM3!」と拍手を送りたくなるような迫力満点のルックスで、パーキングエリアにいた周囲のひとびとの注目を集めていた。
エッジを効かせた直線基調のボディは、デザイナーの手を借りずにエンジニア自らが定規を片手に線を引いてしまったような大胆なシルエットだ。
最近のDセグメント・クーペと比べると明らかに小振りのドアを開けてシートに座る。コックピットは端的に言って窮屈だが、旧き良きスポーツカーとしての雰囲気は満点。
ステアリングホイールとサイドブレーキ、そしてシフトレバーは手触りのよいスエード張りで、質感、見栄えともに最高のフィニッシュを見せる。今から17年前のクルマであるにも関わらず、スポーツカーらしいコックピットの演出力では最新のM3に勝るとも劣らない。
運転してみるとどうだろう?
軽やかに高回転域へ トルク不足払拭
M3スポエボのパワーユニットは、オリジナルM3の2302ccを2467ccにスープアップした4気筒DOHCだ。最高出力は238ps。わたしは当時のM3スポエボのエンジン組み立て職人は、BMWの工場内で最も高給取りではなかったかと想像する。なぜって、20年近い歳月を経で、12万km以上の距離を刻んだレーシングユニット直系エンジンが、今もって信じられないほど乱れなく吹け上がるからである。
ゲトラグ製5段MTのシフトレバーを左手前に引いて1速に入れて走り出す。と、スロットルペダルのミリ単位の動きにエンジンが正確に反応することに驚く。
しかしこのエンジンは2.5ℓの排気量から想像するほど力強くはない。エンジン回転数こそスムーズに上下するが、トルクは全般的に薄い印象だ。少なくとも街乗りでは全回転域でトルキーなシエラRSコスワースや、レスポンスの鋭い190E 2.5ー16と比べるとドラマ性に乏しい。
そんなネガを補って余りあるのが高回転域での伸びの良さだ。レブカウンターの針が5000rpmを超えると力に満ち溢れ、そこからレッドラインの始まる7000rpmまで狂ったように吹け上がる。M3スポエボのDTMレース用エンジンは10,000rpmまで回るというが、ストリート仕様でもその片鱗は感じられる。
思えば、初代M3が登場するまで、これほど魅力的なハンドリングを備えたBMWは存在しなかった。そういう歴史的なモデルを今走らせて抱くのは、昔のロードレーサーに時を超えて再会できたという懐古趣味的な喜びではない。
あくまでも想像に過ぎないが、たとえばE46型M3に20年後に乗っても、これと同じ感動を味わうことはできないだろう。車重が1200kgしかないM3スポエボは、現在のいかなるBMWにも真似のできない繊細なレスポンスと正確なハンドリングを備えている。
そうそう、M3スポエボを走らせる上でひとつだけ注意点がある。とにかくタイヤのグリップの変化に耳をそばだてること、それが肝心だ。
特にフロント・サスペンションは相当に締め上げられているので、十分に暖まっていないタイヤと冷え切った路面、あるいは濡れた路面と高すぎる進入スピードの組み合わせにはくれぐれもご注意を。
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