2022年5月27日に発表された新型ステップワゴン。発表、発売まで2万台の受注を目指していたところ1万8000台(その後6月27日時点での受注台数は2万7000台超・販売計画は5000台/月)にとどまり、若干の苦戦中とも取れる売れ行きだ。
そこで今回は新型ステップワゴンの魅力を今一度お伝えしたい!! いいぞ! ステップワゴン! 頑張れ! ステップワゴン!!! 勝手に応援させてもらうぜ!
ノア/ヴォクにも引け取らず!!! もっともっと売れてほしい! ホンダ新型ステップワゴンの魅力に今一度迫る
※本稿は2022年6月のものです
文/伊達軍曹、清水草一、写真/HONDA、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2022年7月10日号
■「なんでもないような日々」の価値を爆上げするデザイン
クリーンでシンプルなボックスシェイプを採用したステップワゴン エアー。だがさりげないメッキモールが全体を引き締めている。イメージカラーの「フィヨルドミスト・パール」もいい色!
さまざま存在する新型ステップワゴンの魅力だが、最大の魅力は「デザイン」だろう。特に「AIR」のシンプルな造形美は称賛に値する。
故・前澤義雄さん(元日産自動車チーフデザイナー)がどうおっしゃるかはわからないが、いわゆる可愛らしさを充分に備えていながらも甘口すぎず、むしろ「クールでシャープな印象」も同時に醸しているエアーの造形は、21世紀の……とまで言うべきかはさておき、少なくとも2020年代の自動車史には金字塔として刻まれるべきものだ。
新型ステップワゴンのプレスリリースには、デザインについてこう書かれている。
「新型ステップ ワゴンは、『#素敵な暮らし』をグランドコンセプトに、お客様の生活スタイルに合わせて、暮らしを豊かにするアイテムとなることを目指して開発されました。(中略)シンプルで誰にでも似合うような自由なフォルムを表現しました。(中略)エクステリアは、お客様のライフスタイルを素敵に引き立てる存在となることを目指しました」
ここで書かれていることは要するに「人生の主役はクルマではありません。主役は “あなたご自身”なのです」ということだ。
クルマという機械、ある部分で社会的なヒエラルキーを明確に示唆する機械製品ではなく、「それに乗る人の毎日」こそを主役ととらえるのであれば、クルマのデザインは“シンプル”にならざるを得ない。
主張の強すぎるギラギラ系デザインは、時に「なんでもないような日々がもたらす幸せ」という、まるで虎舞竜の歌詞のような価値をわかりにくくしてしまうからだ。超獣のようなクルマのデザインとパワーに酔い、高速道路などでオラオラ運転を繰り返している者は、もう一度虎舞竜を聴くべきだろう。
新型ステップワゴン エアーの運転席まわり。ソファのようなメランジ調のシート表皮を採用する
そして新型ステップワゴンエアーはインテリアデザインも秀逸である。歴代のステップワゴンが築いてきた「家族のための大空間」を進化させ、まるで自分ん家にいるような居心地のよさと、新たな使い方が見つかる自由な空間を目指したというインテリアは、確かに世田谷あたりにある住宅のしゃれたリビングルームのよう。まさかこの空間に身を置きながら「オラオラオラ~!」という運転をしたくなるドライバーは、たぶんひとりもいないだろう。
また「水平基調なデザイン」は「シンプルな美しさ」の成立に大きく貢献しているわけだが、それだけでなく「乗る人の視野を安定させることで乗り物酔いを起こしにくくする」ことを目指した結果でもある。
つまり新型ステップワゴンの内外装デザインは「デザインのためのデザイン」ではなく「それに乗る人間のためのデザインである」ということだ。当たり前のことではあるのだが、その当たり前ができていないクルマも多いからこそ、新型ステップワゴン エアーのデザインは光るのだ。
(TEXT/伊達軍曹)
■運転支援システム等々にも抜かりなし。頼りになるぜ!
「あくまで人間中心」で広義のデザインが行われた新型ステップワゴンは、当然ながらパッケージングや快適装備などにも抜かりはない。
2列目キャプテンシートの内寄せ時ロングスライド量は780mm。運転席側の内寄せスライド量は75mmで、助手席側は75~115mm
2列目キャプテンシートは、前後ロングスライドだけでなく左右にもスライドできる構造で、3列目は着座位置を高くするとともに、前方のシートとヘッドレスト形状を工夫することで開放的な視界を実現。
さらにシートクッションの厚みを増すことで、3列目であっても快適な座り心地を実現している。
そして10.2インチのデジタルグラフィックメーターは瞬間的な認知と直感的な操作が可能で、パワーテールゲートには開く角度を任意に設定可能なメモリー機能を追加(※エアーには設定なし)。
これは、スーパーマーケットの狭い駐車場などで抜群の使い勝手を炸裂させるだろう。
パワーユニットは1.5L直噴VTECターボと2モーターハイブリッドシステム「e:HEV」の2種。e:HEVはエレクトリックギアセレクターを「B」にした際のアクセルオフ時の減速度がより強くなり、下り坂でのブレーキ操作を軽減。
1.5L、VTECではエキゾーストポートやタービンなどの改良によってターボの応答性を向上させ、先代以上の「爽快な加速」を楽しむことができる。
そしてもちろん最新の「ホンダセンシング」は全車標準装備で、アダプティブクルーズコントロールは全タイプで渋滞追従機能付きに進化。
渋滞運転支援機能であるトラフィックジャムアシストも追加されている。
さらに言えば、新型ステップワゴンにおいては「スパーダのデザインもグッとよくなった」というのも大きなトピックであろう。
こちらがステップワゴン スパーダ。ダーククローム仕上げのシャープなメッキパーツなどにより「上質でありながら品格あるたたずまい」としているが、カスタム系でありがちな「オラオラ顔」ではない点に好感が持てる
先代のスパーダも決して悪くはなかったかもしれないが、「ちょっとマイルドヤンキーっぽい」と評したくなるデザインではあった。
だが新型スパーダは「力強さ」と「おしゃれ」の間にあるギリギリのゾーンを狙ったデザインで、そしてその試みは見事に成功した。エクステリアはプラチナ調クロームメッキ加飾により、インテリアはスエード調表皮とプライムスムースのコンビシートなどによって上質感を演出しているわけだが、多くの国産車が「上質感を追求しようとするとオヤジっぽくなるか、またはヤンキーっぽくなる」という落とし穴にハマるのを尻目に、新型スパーダは「いわゆるカスタムだが、決して田舎の元ヤンっぽくはない」というゾーンに着地したのだ。
これも現行型N-WGNカスタムと並び、2020年代の自動車史に刻むべき傑作デザインである。
(TEXT/伊達軍曹)
■支払総額は約336万円から ぜひとも買って応援したい!
2021年12月にティザー広告が始まった新型ステップワゴンだったが、ご承知のとおり5月27日、いよいよ実戦に投入された(=販売が始まった)。
最上級グレードに相当する「e:HEV スパーダ プレミアムライン」はメッキパーツがプラチナクローム仕立てに
販売目標台数は月間5000台。ギラギラ帝国軍の主力兵器であるT社「N」と「V」の月販目標台数が合わせて1万3500台なので、いささか弱気なような気もするが、帝国軍と我が共和国軍の勢力差を考えれば、まぁ「妥当な数字」と言えるだろう。
この数字をおおむね死守できれば、ニッポンの風景が変わるはず。
逆に「月に3ケタ台しか売れない……」みたいな状況になってしまったら、シンプル共和国の崩壊とギラギラ帝国の侵略が完成してしまうため、ここはまさに踏ん張りどころである。
日本全国で月に5000台ということは、人口比で考えると東京都で毎月550台、島根県で毎月26台が売れればなんとかなる計算。決して楽勝ではないかもしれないが、各位の奮闘により、なんとか戦線を維持したい。
狙うべきグレードは好みや予算、使用環境などに応じて「人それぞれ」としか言いようがないが、客観的に考えるとすれば、家族で静かな幸せを噛み締めたい人には「e:HEVエアー」が、ある程度のイケイケ成分も欲しい人には1.5L、VTECターボ+力強いデザインの「スパーダ」がお薦めということになるだろう。
またスパーダのエクステリアのダーククロームメッキパーツを「プラチナクローム仕立て」にバージョンアップ(?)させたうえで、専用デザインの17インチホイールやスエード調表皮&プライムスムースのコンビシートなどを採用した「e:HEVスパーダ プレミアムライン」も、ゴージャス志向の強い方にはお薦めとなる。
エアー(左)とスパーダ(右)のどちらを選んだとしても、最終的な結論としてはシアワセになれるはず!
本稿においてはイチ推しとしたい「e:HEVエアー(FF)」の車両本体価格は338万2500円。普通に必要な装備類はおおむねすべて標準装備されているため、とりたててオプション装備をたくさん付ける必要はない。
ただ「マルチビューカメラシステム」はやはり欲しいところで、カーナビもなんだかんだで純正のやつが付いているほうがカッコいいため「11.4インチHonda CONNECTナビ」を付けるとすると、諸費用コミの支払総額は約398万円。安くはないが、最新世代のしゃれたミニバンの値段としては「そんなもんでしょう」といったところだ。
e:HEVではなく1.5L、VTECターボの「エアー」を選んだ場合の総額は、先ほどのe:HEVエアーと同じオプション装備を選んだとして約367万円。
ただ、「純正ナビはいらない! スマホのナビアプリでいいや!」とするなら、約336万円でイケるはずだ。
どの路線で行くかは好みと信念次第だが、最安レベルでは乗り出し約336万円で手に入る新型ホンダ ステップワゴン。
その販売が堅調に推移することを、筆者は心の底から願っている。ギラギラ帝国の侵略を防ぐため、がんばれステップワゴン、僕らの新型ステップワゴン!!
(TEXT/伊達軍曹)
●ホンダ 新型ステップワゴン 主要諸元(※カッコ内はトヨタ ノアの数値)
・全長:エアー 4800mm/スパーダ 4830mm(4695mm)
・全幅:1750mm(1730mm)
・全高:1840~1855mm(1895~1925mm)
・最低地上高:145~150mm(125~140mm)
・室内長:2845mm(2805mm)
・室内幅:1545mm(1470mm)
・室内高:1410~1425mm(1405mm)
・ホイールベース:2890mm(2850mm)
・最小回転半径:エアー&スパーダ 5.4m/スパーダ プレミアムライン5.7m(5.5m)
【ガソリン1.5L直4VTECターボ】
・最高出力:150ps/5500rpm
・最大トルク:20.7kgm/1600~5000rpm
【e:HEV】
・2L直4i-VTEC 最高出力:145ps/6200rpm
・2L直4i-VTEC 最大トルク:17.8kgm/3500rpm
・モーター最高出力:184ps/5000~6000rpm
・モーター最大トルク:32.1kgm/0~2000rpm
【番外コラム】下町のデザイン評論家・MJブロンディはこう思う! ステップワゴンは白ワンピの美少女である!
毒々しいクルマだらけの世の中に突如現われた清楚なステップワゴン エアー。それはまさに「白ワンピの美少女」の如し!
今やミニバンのエクステリアデザインは「悪魔の毒々モンスター」的であることがアタリマエになった。悪魔の毒々モンスターがアタリマエであり標準状態なので、もはや感覚がマヒし、周囲が全員悪魔の毒々モンスターでも、なんとも思わなくなっている。
だが逆に、もしもそこにポツンと白いワンピース姿の美少女がたたずんでいたら……あなたはどう思うだろう?
おそらく目は血走り鼻血が噴き出し、「うおおおおお! 天使様~~~~!」とコーフンするに違いない。
新型ホンダ ステップワゴンは、悪魔の毒々モンスターがアタリマエとなったミニバンの世界に突如として現われた、白ワンピの美少女天使だ。昔の感覚だと、「この冷蔵庫のどこが美少女天使なんだ!」となるのだが、今では広瀬すずに見える。
つまり、それほどまでにニッポンのミニバン界の風景は荒んでおり、誰もが心の中では平和を願っているのだ!
いや、実際のミニバン市場では7割の人が「悪魔の毒々モンスター」を選ぶわけだが、我々クルマ好き(≒非戦闘員)は、世の中が平和になって白ワンピの美少女が安心して夜道を歩ける世界が戻ってくることを願っている。
だからこそ、白ワンピな新型ホンダ ステップワゴンが大いにバカ売れして、悪魔の毒々モンスター勢力に報いることを願っているのだ!
(TEXT/下町のデザイン評論家・MJブロンディこと清水草一)
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
国民ブチギレ! 政府「ガソリン価格“10円”あがります」 12月と1月の2段階で家計の負担増! 「ガソリンの暫定税率」廃止も実現は先… 政府のイジメに国民はウンザリか
18年ぶり復活のトヨタ新型「クラウンエステート」は3月発売? 価格は? 全長5m級「ワゴンSUV」ついに? 広い室内空間で“車中泊”も可能? 約1年越しの登場に期待高まる
[箱根駅伝 復路]に先頭でやってきたのは黒LBX お騒がせの[白センチュリー]全区間完走
駐車券なしゲートなし“性善説”で大丈夫? 「ナンバープレートで管理する駐車場」が増える“意外な理由”とは
全長5mの“和製スーパーカー”「新型ビースト」誕生! パワフルな「V型12気筒エンジン」搭載モデルはランボルギーニ「ディアブロ」ベース!? “日本の夢と誇り”で創り上げたバリュープログレスの「旗艦モデル」とは!
国民ブチギレ! 政府「ガソリン価格“10円”あがります」 12月と1月の2段階で家計の負担増! 「ガソリンの暫定税率」廃止も実現は先… 政府のイジメに国民はウンザリか
「赤ちゃんが乗っています」知るか! 実はただの「幸せな人生アピール」ではない!? 街中のクルマで見かける“謎のステッカー”が「本当に伝えたい」意外な内容とは
駐車券なしゲートなし“性善説”で大丈夫? 「ナンバープレートで管理する駐車場」が増える“意外な理由”とは
2024年の日本国内のEV販売は完全に失速! 2025年に明るい材料はあるのか?
【次期マツダCX-5予想】2025年後半頃に登場、大きさ変わらず人気のディーゼル廃止でフルハイブリッドがメインか?
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント
ゴテゴテのエアロはいらないから外観はシンプルに、中身はスパーダを求めてたのだが、さすがホンダ…そう言う設定がない。🤭
装備が欲しければスパーダかプレミアムラインを買えってことか?
ホンダはちゃんとマーケティングしたのだろうか?
マイナーチェンジで、そういうグレードが出たとしてもその頃にはそっぽ向かれてるかもね~。