自然災害が多いのが日本だが、これからの季節は台風や豪雨など水の災害も増えていくシーズンだ。そんななかもしこんなシーンに遭遇してしまったらどうすればいいだろうか?
水没しているハイブリッド車やEVのなかに人が閉じ込められていた場合だ。
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電気と水、イメージだけでいえばかなり危険な雰囲気もあるが、いったい正しい対処とはいかなるものなのか? 国沢さんに聞きました。
文:国沢光宏/写真:Shutterstock.com
ベストカー2018年5月26日号
■水没したEVやハイブリッド車で感電する可能性は非常に低い
最近「高電圧電池を搭載している電気自動車やハイブリッド車が事故や水没した時は感電するので迂闊に近寄らないようにとJAFや消防署が言っている」という話を聞く。
ネットで検索すると危険だから近寄るなと、3年前に茨城県常総市で起きた鬼怒川の氾濫事故の直後、多くのメディアや組織が書いてます。
問題ないと言ってるの、私の記事くらいだ。その後は話題にならないが重要な情報だと思う。考えてほしい。
目の前の潰れたハイブリッド車や電気自動車に人がいて、その付近のクルマから出火し延焼しそうになっている場合を。
「危険だから漏電対応機材を持つチームを待て!」と言ってるのと同じ。
はたまた「目の前に水没しかけている電気自動車やハイブリッド車がいても、専門装備を持つチームを呼ばなくちゃダメだ!」。
目の前に救助を求める人がいても、EVやハイブリッドだからといって見逃すわけにはいかない(写真はイメージ)
見殺しにすることを推奨しているのだ。実際、水没車を助けようと思った際「電気自動車だから危険だ!」と叫ぶ人がいたら、飛び込めまい。
猛烈に無責任な話である。結論から書くとハイブリッド車ならエンジンを稼働させるために積んでいるガソリンのほうが数千倍危険。
自動車メーカーの取り扱い説明書に事故時は触れるなと書いてあるのに、国沢光宏は無責任だ! という声も出るだろうが、あえて書いておく。
東日本大震災の津波などハイブリッド車が水没したケースは世界中にある。しかし、メーカーには感電したという情報は入っていない。
メーカーからすれば「もしかしたら知らないケースがあるかもしれない」という観点で「大丈夫です」と言わない。調べてみたら本当に報告ないらしい。
■中国などでEVが燃えている件はいったい!?
ここまで読んで「先日アメリカで発生したテスラ・モデルXの事故はバッテリーが燃えたじゃないか」と思うはず。
テスラの事故、詳細はわかっておらず真相は不明だが、たしかにそういったウワサもある。そのほか、フィスカーというアメリカの電気自動車が水没して燃えたり、中国の電気自動車も燃えたりしてます。
私は以前から、日本の自動車メーカーと、新興自動車メーカーとの安全意識はケタが三つくらい違う、と書いてきた。
そもそも日本車の場合、仮に漏電したなら、精密かつ大きな容量持つブレーカーが瞬時に作動し、まったく電気は漏れない。
さらに電池にクギが刺さっても漏電しないようになってます。話は違うけれど、燃料電池車の水素タンクはアメリカで小銃弾を受けた時の試験までしている。入念である。
自動車メーカーが取り扱い説明書で漏電の危険性を明記してあるのは、ある意味「責任回避」のためだと考えていいだろう。
百歩譲って、もし電気自動車やハイブリッド車が事故や水没していたら、最初だけ「ちょん」と触ってみればよい。ビリッと来なければ、私なら瞬時も迷うことなく助けます。
ただ文中にある新興勢力の電気自動車の場合、微妙な判断が必要。そもそも情報をまったく出してくれないため、どうなっているかもわからないです。
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