現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 【ゴルフのアプローチ 05】2代目ゴルフは初代から正常進化して、「それらしさ」を際立たせていた

ここから本文です

【ゴルフのアプローチ 05】2代目ゴルフは初代から正常進化して、「それらしさ」を際立たせていた

掲載 更新
【ゴルフのアプローチ 05】2代目ゴルフは初代から正常進化して、「それらしさ」を際立たせていた

1974年にデビュー以来、コンパクトFF車のベンチマークであり続けるフォルクスワーゲン ゴルフ。日本でも間もなく8代目となる新型が発表されるが、その前に初代から現行型までのゴルフを振り返ってみたい。今回は2代目ゴルフの登場について語ろう。

初代の評価をさらに高めていった2代目
1974年に誕生したフォルクスワーゲン ゴルフは、9年を経た1983年に2代目へとモデルチェンジした。ひとことで言って正常進化型のモデルチェンジだったが、初代で高い評価を受けたゴルフの地位を、より確固たるものにするのに成功する。サイズは、初代に比べて全長で170mm、全幅で55mm大きくなり、全長3985×全幅1665×全高1415mmとなった。これによって、居住性が改善され、乗員スペースだけでなく荷室も拡大された。

●【くるま問答】ガソリンの給油口、はて? 右か左か、車内からでも一発で見分ける方法教えます(2020.01.21)

ゴルフ2は全面新設計だったが、設計方式は従来と基本的に変わらなかった。エンジンは通常モデルでは、従来が1.1Lと1.5Lだったのが、1.3Lと1.6Lへと拡大された。加えて、今までGTIに搭載されていた1.8Lをデチューンしたものも選べるようになった。ディーゼルには先代の後期以来、1.6Lのターボ仕様も追加されている。

ゴルフ2の設計方式が変わらなかったのは、変える必要がないからだった。初代モデルが採用した設計方式が、新世代の2ボックスFFハッチバック車としての、世界標準の「完成型」だった。このあとの世界のコンパクトカーというのは、ゴルフと同様の設計で、基本的な設計は変えずにモデルチェンジを続けることになり、その「元祖」的存在のゴルフも、当然それを継承し続けることになる。もちろん、時に応じて細部を進化させるのは当然のことだが。

ゴルフ2は、スタイリングも初代のデザインを継承した。これも変える必要がなかったといえるが、ただ多くのクルマは、中身が変わらなくてもモデルチェンジで新しく見せるのがふつうである。実はゴルフ2も、企画の初期段階では、スタイリングを刷新することも検討された。ところが、とくに経営陣としては「ゴルフらしさ」を保つべきだという考えのほうが支配的だった。

その背景として、ひとつには、初代モデルが大ヒット作となったので、そういう場合キープコンセプトにしがちなのは、世の常である。ただ、ゴルフのケースでは、ドイツだから、フォルクスワーゲンだから、という「ものづくりの哲学」的なものが働いているようだった。

ヨーロッパの北に位置するドイツのものづくりは、質実剛健で知られる。現代消費社会の発祥地アメリカで生まれたような、購買意欲をかきたてるためだけのモデルチェンジみたいなことは、しないのがドイツらしい。実際ドイツ車では、メルセデスやBMW、ポルシェなど、半世紀や1世紀以上も、正常進化型でクルマづくりを続けるブランドが目立つ。

フォルクスワーゲンは「モデルチェンジのためのモデルチェンジはしません」というようなことを、実はさんざん外に向かってもアピールしてきていた。世界一の広告とさえ評されることもある1960年代のビートルのアメリカ向け広告で「フォルクスワーゲンこそがドイツの良品です、外側はずっと変わらなくても中身は常に進化しています」などと訴え続けていた。そのことが2代目ゴルフとは直接関係ないとしても、ビートルで30年以上かたちを変えずにベストセラーとして売り続けてきたフォルクスワーゲンなので、その次のゴルフも、「たった9年」で簡単にかたちを変えたのでは、具合が悪かっただろう。

もちろん、当時「キープコンセプト」に対して批判もあったが、この2代目が成功し、その後も正常進化を続けることで、ゴルフの伝統が確立されることになる。

スタイリングは、そういったことから、かなり意図的に初代のデザインを継承しており、特徴的な丸型ライトのフロントマスクなどのディティールなどが、あえて採用されている。太いCピラーもゴルフの特徴である。忠実に初代のデザインを反復し、ひと目でゴルフとわかるスタイリングになっている。

ただ、全体のデザインのタッチは、初代とはかなり違うものになったのも事実だった。その理由は、今回はジウジアーロではなく、完全に社内でデザインされたことが大きい。フォルクスワーゲンのデザイン部門は、1974年に初代ゴルフが発売される頃に大きく強化されていた。デザイン部門トップの元DKWのヘルベルト・シェーファーはドイツ人であり、出来上がったゴルフ2は、イタリア的なシャープな美しさのある初代と違い、硬質で重厚感のあるドイツ的デザインになった。初代のように即興的にデザインされたのではなく、社内のデザイン部門と車体設計部門が連携して、十分な時間をかけてデザインされたようである。

また、初代よりも全体的にふっくらとしたという印象もある。それは風洞を活用して空力を重視したためであり、ボディ前後を絞り込んだり、角を丸くしたりしているので、ふくらんだような造形に見える。フロントグラスも空気抵抗軽減のために寝かされている。Cd値は、先代の0.42から0.34へと大きく向上している。(文:武田 隆)

[ アルバム : ゴルフのアプローチ 05 はオリジナルサイトでご覧ください ]

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

ジャガーEタイプ S1(2) スタイリングにもメカニズムにも魅了! 人生へ大きな影響を与えた1台
ジャガーEタイプ S1(2) スタイリングにもメカニズムにも魅了! 人生へ大きな影響を与えた1台
AUTOCAR JAPAN
もの凄く「絵になる」クルマ ジャガーEタイプ S1(1) そのすべてへ夢中になった15歳
もの凄く「絵になる」クルマ ジャガーEタイプ S1(1) そのすべてへ夢中になった15歳
AUTOCAR JAPAN
日本の「ペダル踏み間違い防止技術」世界のスタンダードに! 事故抑制のため国際論議を主導
日本の「ペダル踏み間違い防止技術」世界のスタンダードに! 事故抑制のため国際論議を主導
乗りものニュース
90年前の“博物館級”のオートバイがオークションに登場 “2輪界のロールス・ロイス” 1936年製ブラフ・シューペリアがカッコ良すぎる
90年前の“博物館級”のオートバイがオークションに登場 “2輪界のロールス・ロイス” 1936年製ブラフ・シューペリアがカッコ良すぎる
VAGUE
HRC渡辺社長、フェルスタッペンの4連覇を祝福「ホンダ/HRCとしてサポートし続けてこられたことを誇りに思う」
HRC渡辺社長、フェルスタッペンの4連覇を祝福「ホンダ/HRCとしてサポートし続けてこられたことを誇りに思う」
motorsport.com 日本版
斬新「日本の“フェラーリ”」に大反響! 「約700馬力のV8スゴイ」「日本なのに左ハンしかないんかい」「めちゃ高ッ」の声! 同じクルマが存在しない「J50」がスゴイ!
斬新「日本の“フェラーリ”」に大反響! 「約700馬力のV8スゴイ」「日本なのに左ハンしかないんかい」「めちゃ高ッ」の声! 同じクルマが存在しない「J50」がスゴイ!
くるまのニュース
本拠地の欧州で「メルセデス・ベンツのタクシー仕様」シェア急降下! なぜ? 「“ベンツのタクシー”に乗れたらラッキー」な時代が到来するのか
本拠地の欧州で「メルセデス・ベンツのタクシー仕様」シェア急降下! なぜ? 「“ベンツのタクシー”に乗れたらラッキー」な時代が到来するのか
VAGUE
「銀の皿」に「レジ横のガム&タバコ販売」に1000円以下のメニューと「ザ昭和」がたまらない! トラック野郎を癒し続ける「采女食堂」はぜひ立ち寄るべし【懐かしのドライブイン探訪その5】
「銀の皿」に「レジ横のガム&タバコ販売」に1000円以下のメニューと「ザ昭和」がたまらない! トラック野郎を癒し続ける「采女食堂」はぜひ立ち寄るべし【懐かしのドライブイン探訪その5】
WEB CARTOP
ラッセルが今季3度目のPP獲得。ガスリーと角田裕毅がQ3で健闘見せる【予選レポート/F1第22戦】
ラッセルが今季3度目のPP獲得。ガスリーと角田裕毅がQ3で健闘見せる【予選レポート/F1第22戦】
AUTOSPORT web
F1ラスベガスGPで追い上げ2位のハミルトン「予選がしっかりできれいれば、楽勝だったろうに」
F1ラスベガスGPで追い上げ2位のハミルトン「予選がしっかりできれいれば、楽勝だったろうに」
motorsport.com 日本版
中央道「長大トンネル」の手前にスマートIC開設へ 中山道の観光名所もすぐ近く!
中央道「長大トンネル」の手前にスマートIC開設へ 中山道の観光名所もすぐ近く!
乗りものニュース
ペレス、チームメイトのフェルスタッペンとは対照的に10位が精一杯「レッドブルは最高のチーム。来年は良いマシンが作れるはず」|ラスベガスGP
ペレス、チームメイトのフェルスタッペンとは対照的に10位が精一杯「レッドブルは最高のチーム。来年は良いマシンが作れるはず」|ラスベガスGP
motorsport.com 日本版
「ん、ここ工事してなくない?」 高速道路の車線規制“ムダに長い”場合がある理由とは?
「ん、ここ工事してなくない?」 高速道路の車線規制“ムダに長い”場合がある理由とは?
乗りものニュース
日本専用の新型「“MR”スポーツカー」初公開! 旧車デザイン×「ネットゥーノ」エンジン採用! 600馬力超えの「チェロSE」登場
日本専用の新型「“MR”スポーツカー」初公開! 旧車デザイン×「ネットゥーノ」エンジン採用! 600馬力超えの「チェロSE」登場
くるまのニュース
ピエール・ガスリー、予選3番手から無念マシントラブル脱落に「顔面平手打ちされたみたい」残り2戦にポテンシャルは確信|F1ラスベガスGP
ピエール・ガスリー、予選3番手から無念マシントラブル脱落に「顔面平手打ちされたみたい」残り2戦にポテンシャルは確信|F1ラスベガスGP
motorsport.com 日本版
モーターマガジンMovie 週間視聴回数BEST5 プラス1(2024年11月17日~11月23日)
モーターマガジンMovie 週間視聴回数BEST5 プラス1(2024年11月17日~11月23日)
Webモーターマガジン
F1マシンを脇に歌舞伎……来春鈴鹿のグリッドでも! 日本GPアンバサダーに就任した市川團十郎「息子と歌舞伎の扮装で踊る計画を」
F1マシンを脇に歌舞伎……来春鈴鹿のグリッドでも! 日本GPアンバサダーに就任した市川團十郎「息子と歌舞伎の扮装で踊る計画を」
motorsport.com 日本版
運営ブチギレ!? 一般車が「検問突破」何があった? 国際イベントでありえない"蛮行"発生! ラリージャパン3日目の出来事とは
運営ブチギレ!? 一般車が「検問突破」何があった? 国際イベントでありえない"蛮行"発生! ラリージャパン3日目の出来事とは
くるまのニュース

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

691.2792.8万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

18.0804.0万円

中古車を検索
ゴルフ Rの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

691.2792.8万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

18.0804.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村