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ドライビングプレジャーを継承しながらモダイナイズされたBMW「523i エクスクルーシブ」の完成度

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ドライビングプレジャーを継承しながらモダイナイズされたBMW「523i エクスクルーシブ」の完成度

 BMWのアッパーミドルクラスセダンとして「5シリーズ」が登場したのは1972年のこと。端正なスタイリングと魅力的な動力性能で、たちまちベストセラーの座を獲得。以来、世界で最も成功しているビジネスセダンの代名詞となった。2023年7月に日本で発表された新型「5シリーズ」は、約7年ぶりのフルチェンジモデルだ。

ガソリンターボ+48Vマイルドハイブリッドに試乗

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 ボディーサイズは全長5060mm、全幅1900mm、全高1480mm、ホイールベース2975mm。これを先代と比較すると、全長が85mm、全幅が30mm、全高が35mm、ホイールベースが20mmも大きい。全長5m超、全幅1.9mというのは、かつての「7シリーズ」よりも大きいぐらいだ。



 スタイリングもフロントのキドニーグリルは垂直方向に拡大され、やや前方に突き出たシャークノーズとロングボンネットが特徴で、ほぼ垂直に配置されたLEDライトはデイライトとウインカーとして機能する。ヘッドライトはBMW流の新しいツインライトを継承している。サイドビューではドアハンドルがボディー側面と面一になり、Cピラーに数字の5をイメージさせるホフマイスター・キンクを備えている。リアデザインはリバースライトがバンパーに内蔵されたのが新しい。



 パワーユニットは、ガソリン/ディーゼル/電気の3種類。電気モーターは「5シリーズ」の歴史の中でも初めての組み合わせだ。EVは別の機会にレポートすることにして、今回はガソリンターボ+48Vマイルドハイブリッドを試乗した。顧客へのデリバリーは今秋から始まる予定だが、それに先がけて日本仕様が上陸した。

 直4、2.0Lターボエンジンはシステムトータル最高出力197PS、システムトータル最大トルク400Nmを達成している。ちなみに先代の「523i」は184PS、290Nmだったので、13PS、110Nmのアップになる。ただし車重もボディーの大型化もあって150kgも重くなり1800kgとなっている。

ドライビングプレジャーを守りつつ進化したストレスのない走行

 試乗したのは「523iエクスクルーシブ」(798万円)。現状でのガソリンエンジンはこの「523iエクスクルーシブ」と「XDrive Mスポーツ」(868万円)が用意されている。パワーユニットはどちらも同じ、直4、2.0Lターボだ。

 ドアを開けて室内に入る。このモデルからドアハンドルがボディーと同一面になった。着座位置はやや低め。Aピラーの傾斜が急角度なので、高めにすると乗降時に頭がドア上縁にあたってしまう。やや低めの着座位置でもボンネットは見えるので、前方の車幅はつかみやすい。



 室内も一新された。運転席の目の前に、12.3インチのインフォメーションディスプレイと14.9インチのコントロールディスプレイが一体となり、湾曲した1枚の板状のパネルになっている。イグニッションをONにすれば、目の前のインフォメーションディスプレイには260km/hまでの速度計と7000回転までのエンジン回転のグラフ状のメーターが浮かび上がってくる。

 ハンドルの形状も変わった。下部の部分が平らになり、変形の六角形に近い型になった。ただし握りが太いのは変わっていない。8速ATのシフトもレバーではなく、ツマミのような形状になった。シフトポジションはR/N/D・Sで、Pはプッシュボタンを採用している。



 さらにインパネ中央からドア部分の照明やディスプレイのデザインと走行性能を変える機能も装備されている。「MY MODES」だ。センターコンソール上のスイッチとディスプレイ画面をタッチすることで設定が変えられる。モードはパーソナル/スポーツ/エフィシエント/エクスプレジブ/リラックス/デジタルアートの6種類。最初の3モードは、ドライビングフィールも変えられる。



 試乗はノーマルモードに相当する「パーソル」でスタート。直4、2.0Lガソリンターボは2000回転からアクセルレスポンスもダイレクトになり、BMWのセダンらしいスポーティーな走りを楽しませてくれる。街中での60km/h走行は7速で1100回転。このスピードで国道のような定速走行だと、燃費は12~15km/Lに届く。一方、高速道路の100km/h走行は、8速1500回転、7速1900回転なので瞬時にトルクが立ち上がり、ストレスのない走行ができる。もちろん燃費も低燃費が期待できる。こうしたツーリングにも新型「5シリーズセダン」は快適に走ってくれる。

 しかし、BMWといえば直列エンジンのレスポンスのよさと、後輪駆動のハンドリングの楽しさだ。0→100km/h加速を試す。Dレンジでスタートする。直4、2.0Lガソリンエンジンはストレスなくシューンという乾いた、軽快なエンジン音で、一気に6000回転まで上昇する。4000回転あたりから若干エンジン音はボリュームを上げるが、耳障りな感じは一切ない。1.8tの4ドアセダンは8秒台前半で走り切った。タイムは最近のEVに比べれば、速くはないが、直4の吹き上がりのよさが小気味よい。ハンドリングはやや軽めの操舵力を保持し、コーナーでは適度な重さでドライバーを楽しませてくれる。

 スポーツモードを選択する。操舵力は全域で重くなり、ホイールスリップテクノロジー統合ブレーキシステム、可変ステアリング、4輪操舵が一体となり、スポーツドライビングを楽しませてくれる。とくにタイトコーナーで、4輪操舵が働き、全長5m、全幅1.9mの4ドアセダンが切り込んでいく動きは自分のドライビングスキルが上がったかのような錯覚すら感じてしまう。新型「5シリーズ」は8世代目になっても初代からのドライビングプレジャーを守りつつ、進化していた。



■ 関連情報
https://www.bmw.co.jp/ja/all-models/5-series/sedan/bmw-5-series-sedan-overview.html

文/石川真禧照 撮影/萩原文博

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