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EV、自動運転、空飛ぶクルマ、ロボット型、メカニックデザイナー河森正治さんに聞くモビリティーの未来

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EV、自動運転、空飛ぶクルマ、ロボット型、メカニックデザイナー河森正治さんに聞くモビリティーの未来

EV化によって「100年に1度の変革期」を迎えている自動車業界。未来の乗り物はどうなっていくのか、メカデザイナーの河森正治さんに聞いた。

合体変形!? ワクワクするモビリティーに期待!!

14年ぶりにフルモデルチェンジをはたしたルノー「カングー」の変わらぬ魅力と実用性

メカニックデザイナー・アニメーション監督・演出家
河森正治さん
アニメ『超時空要塞マクロス』に登場するロボット「バルキリー」をデザインし、戦闘機が人型に変形するメカニズムが評価された。『創聖のアクエリオン』では原作・監督・脚本も手がけた。大阪・関西万博では、河森さんプロデュースのパビリオンが展示される。

河森さんのトレンド予測2024

EVも自動運転も街のインフラごと進化させるのが必須!
トヨタのウーブン・シティは、その第一歩に。


トヨタが建設中の実証実験都市で、実験する内容は自動運転技術などクルマに関することだけでなく、物流や食など多岐にわたる。早ければ2024年に第1期エリアがオープンし、360人が生活する予定だ。

〝環境配慮型〟〝エンタメ型〟二極化して進化する!!

 自動車業界は今、資源や環境の問題によって大きな変革を迫られている。未来のモビリティーがどうなるのか、自動車関係者でも見通すのは難しい。そこで『アーカックス』のコラボモデルをデザインした河森正治さんに、業界人とは異なる視点で予測してもらった。

「今後、モビリティーは二極分化していくでしょう。ひとつは環境や生態系への負荷が少なく省エネルギーな乗り物。もうひとつは自分が運転して楽しむエンタメとしての乗り物です。楽しむためのモビリティーは、EV化されたスポーツカーはもちろん、関西万博での運用も予定されている〝空飛ぶクルマ〟が、法整備は置いておいて次々にデビューするかもしれません。右の搭乗型ロボット『アーカックス』も、そのひとつ。ですが、あくまでエンタメ利用なので当然、移動手段にはならないでしょう」

 我々が利用するメインの移動の手段は〝小型でエネルギー消費が抑えられたもの〟になる、と河森さんは予測する。

「自動運転技術が採用されれば、老若男女問わず、安全に移動できるように。普段は、個人所有のコンパクトなモビリティーで移動。旅行などの中・長距離はカーシェアリングしているEVを使うといったように、環境に配慮したことを前提としたモビリティーを使い分けるといった具合です」

 実用性ばかりが重視され、クルマ好きな人には少し寂しく感じるが、河森さんはユニークな提案をしてくれた。

「走る場所や環境に応じて合体変形してもいいのではないでしょうか。高速道路を走る時は車高が下がり、荒れ地を走る時は変形して車高を上げて走りやすくする。近距離用のマイクロモビリティーが、中距離移動用のシャーシと合体するのもおもしろいと思うんですよね」

 合体変形は日本のお家芸。そんな未来のモビリティーを楽しみにしてもよさそうだが、問題もあると河森さんは指摘する。

「日本の自動車市場が世界から置いていかれているのが気になりますね。2019年の上海モーターショーに行ったら、出展しているメーカーの半分は知らない企業。勢いがあった1980年代の東京モーターショーよりもはるかに規模が大きくショックを受けました。それに2023年のモビリティショーに行った友人から〝一番人気があったのは『アーカックス』だ〟と言われました。それはどうなのか……。もっと自動車メーカーも見せ方をひと工夫してほしい」

 そのために日本全体でモビリティーを盛り上げていく必要がある。

「ホンダとゼネラルモーターズが、2026年から都内で自動運転タクシーの実証実験を始めると発表しましたが、サンフランシスコではもう公道で実用されています。ただでさえ坂が多くて自動運転が難しそうな街なのに何台もの自動運転カーが走っていました。日本では実証実験をするために多くの手続きを踏まないとできません。国の後押しも必要ですよね」

 自動車を取り巻く環境が大きく変わったことをしっかり把握する必要も出てきた。

「昔はクルマに集中して開発をすればよかったのですが、今は〝社会の中でどの位置にモビリティーがあるのか〟再定義の必要があると思う。生態系やまちづくりを含めてトータルでデザインしていく必要があります。トヨタのウーブン・シティはそれらをふまえてつくられていると期待します」

 さらに自動車メーカーにはこんな注文も忘れなかった。

「以前からスポーツカーがEVになったら、オープンカーを出してほしいと言い続けてきました。EVによってもっと風を感じることができるはずなのに、なぜ出さないのか。メーカーがやらないということはユーザーが望んでいないということ?クルマに対する興味をもっと盛り上げていきたいと思っていますね」

「上海モーターショー」は激アツだが……

2023年に開催された上海モーターショーには、自動車関連企業が1000社以上出展。一方、モビリティーショーは約450社……。ポストEVを勝ち取り、巻き返しを期待したい。

モビリティーショーで見つけた!デビューを期待したいモビリティー

スポーツカー復権を予感!!

日産『Hyper Force』をはじめ、各社がスポーツカーを出展した。が、「インパクトは『アーカックス』のほうが強かった」と、河森さん。

空飛ぶクルマはエンタメ用途?

河森さんがエンタメ系のモビリティーとして期待する多数のローターを搭載した電動ヘリコプター。災害や物流にも対応できそう。

コンパクトなEVに活路が?

「道路が狭い日本にはコンパクトな電動バイクが最適」と河森さん。合体や可変をして、長距離移動もできるようになることを期待。

ポストEVとなる!? 可変ロボット

ツバメインダストリ『アーカックス』

4億円

2023年9月から5台限定で販売を開始した搭乗操作型ロボット。全可動部を操作できる「ロボットモード」と腕を折りたたんで移動に特化した「ビークルモード」に変形することができる。

河森デザインの特装モデル!!

河森さんが描いた『アーカックス』の特装モデルのデザインイメージ。製品化に向けてプロジェクトが始動した。

取材・文/金子長武
写真/AFP/アフロ、CFoto/アフロ、ロイター/アフロ、つのだよしお/アフロ

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