■モデルライフの最後に登場した魅力的な限定車を振り返る
何代にもわたってフルモデルチェンジを繰り返して、長い歴史を刻んできたクルマがある一方で、かつてどんなに人気があっても、時代の変化によって消滅してしまったクルマも数多く存在します。
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消滅する理由はさまざまありますが、最終的には自動車メーカーがフルモデルチェンジしても需要がないと判断したことで、消滅に至るというケースが多いのではないでしょうか。
そうして消滅してしまったクルマには大きく分けて2パターンあり、生産終了を公表せずに突如オーダーストップする場合と、明確に生産終了を予告する場合があります。
後者では最後を飾る特別仕様車や限定車が販売されることもあって、とくに高性能車ではシリーズの集大成となるような限定車が販売されることも珍しくありません。
そこで、有終の美を飾ったハイスペックで魅力的な限定車を、3車種ピックアップして紹介します。
●日産「スカイラインGT-R M・spec Nur/V・spec II Nur」
1980年代から1990年代に誕生した高性能車が近年、世界で人気となり、中古車が新車価格を大きく上回るほどの高額で取り引きされている状況です。
なかでも代表的なモデルといえば、日産「スカイライン GT-R」シリーズが挙げられます。
1969年に誕生した初代(ハコスカ)と、1973年に発売された2代目(ケンメリ)については、もはやクラシックカーの領域であり、希少性から数千万円クラスで取り引きされています。
また、1989年にデビューした「R32型」以降の第2世代も高額ですが、とくに2002年8月に生産を終えた「R34型 スカイラインGT-R」で、同年1月24日に発表された最後の限定車「スカイライン GT-R M・spec Nur/V・spec II Nur」は今も注目されており、シリーズ屈指のプレ値で販売されています。
なお、2モデル合わせて1000台限定で2月26日から発売予定でしたが、発表当日に完売したと1月29日に日産からアナウンスされました。
M・spec Nurは本革シートの採用や乗り心地を重視した足まわりのセッティングなど、コンフォートな仕様で、V・spec II Nurはカーボンボンネットを採用するなどレーシーな仕様です。
また、特別装備として、フルスケール300km/hの専用スピードメーター、立体成形の専用グレードネームエンブレムの採用と、さらに特別塗装色「ミレニアムジェイド」を限定車専用色として追加設定していました。
M・spec Nur/V・spec II Nurに搭載されたエンジンは、ニュルブルクリンク24時間耐久レースや国内のスーパー耐久レースなどに使われた「RB26DETT型 N1仕様」をベースに、ピストンやコンロッドに重量バランスの均一化を図った高精度バランス品が組み込まれ、見た目でもゴールド塗装のシリンダーヘッドカバーが採用されるなど、特別なエンジンであることを主張。
販売内訳はM・spec Nurが250台で価格(消費税含まず)は630万円、V・spec II Nurが750台で610万円でした。
ちなみに、現在中古車で販売されている同限定車の多くは「価格応談」となっていますが、3000万円以上は間違いないでしょう。
●マツダ「RX-7 スピリットR」
マツダは1991年に、パワフルなロータリーエンジンを搭載したピュアスポーツカーのアンフィニ「RX-7」を発売しました。
古典的なスポーツカーの要素を取り入れつつも最新のデザインコンセプトを融合した流麗なスタイリングのボディに、最高出力255馬力のロータリーターボを搭載し、優れた足まわりと相まって一躍人気となりました。
その後、改良を重ねて進化していきましたが、排出ガス規制の強化もあって、フルモデルチェンジすることなく2002年に生産を終了。その直前となる2002年4月に限定モデルの「スピリットR」シリーズが登場しました。
スピリットRシリーズには3タイプあり、2シーターで5速MT仕様の「タイプA」、4シーターで5速MT仕様の「タイプB」、4シーターで4速AT仕様の「タイプC」が設定され、共通の装備としてBBS製17インチホイール、レッド塗装のブレーキキャリパー、専用のソフト塗装インテリアパネル、専用メーターなどを採用。
さらにタイプAは、2シーター化とともにレカロ製専用フルバケットシートを搭載して車重は約10kg軽量化され、ドリルドタイプの大径4輪ベンチレーテッドディスクブレーキ、高剛性ステンレスメッシュブレーキホースを装備して制動性能を強化したことで、シリーズの集大成というべき走行性能を実現。
なお、エンジンはタイプAとタイプBが最高出力280馬力仕様で、タイプCは255馬力仕様です。
スピリットRシリーズは3タイプ合計で1500台が販売され、いうまでもなく、今では貴重な存在としてプレ値必至となっています。
●三菱「ランサーエボリューション ファイナルエディション」
世界ラリー選手権(WRC)で勝つために開発された三菱「ランサーGSR エボリューション」は、1992年に初代が誕生しました。
実際のWRCでは最大のライバルであるスバル「インプレッサWRX STi」と激戦を繰り広げ、進化を続けていきましたが、第4世代である「ランサーエボリューションX」をもって、2015年に販売を終了。
販売終了を宣言した同年4月に、最終モデルとして限定車の「ランサーエボリューション ファイナルエディション」が発表されました。
ベースは「GSR」の5MT車で、エンジンは新たにナトリウム封入エキゾーストバルブを採用して、歴代ランサーエボリューションで最高となる313馬力を発揮。
また、従来はメーカーオプション設定のハイパフォーマンスパッケージを標準装備し、ビルシュタイン製前後単筒式ショックアブソーバー、アイバッハ製前後コイルスプリング、ブレンボ製2ピースタイプフロント大径ベンチレーテッドディスクブレーキ、ハイグリップタイヤが組み込まれました。
ほかにも、リアトランクリッドに「Final Edition」のエンブレムと、フロアコンソールにシリアルナンバープレートが取り付けられ、マルチインフォメーションディスプレイのオープニング画面では「Final Edition」を表示するなど、プレミアム感を高めています。
ランサーエボリューション ファイナルエディションは2015年4月10日から限定1000台で先行予約が開始されましたが、8月20日に三菱から完売がアナウンスされました。
なお、当時の価格は429万8400円(消費税8%込)でした。
※ ※ ※
高性能モデルなどの限定車が即完売し、デリバリーが始まるとすぐにプレミアム価格で転売されるケースが近年はよく見られるようになってしまいました。
こうした転売問題はクルマに限ったことではありませんが、メーカーもいろいろと対策は講じています。
本来、受注した台数はすべてつくるのが理想ですが、生産終了がアナウンスされたモデルの場合は生産のキャパシティが限られているため、結局は台数限定と変わらず、転売対策は難しい状況です。
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