ホンダ/日産合併? 衝撃ニュース
text:Kenji Momota(桃田健史)
【画像】ホンダ/日産 もし合併したら? 気になる後継モデル【5選】 全149枚
「ホンダと日産が合併」という、文字。英国の有力経済紙フィナンシャルタイムズの記事に、驚いた自動車業界関係者は数知れない。
これは実現しなかった話だが、日本政府から両社に打診があったことは明らかだと、同紙では複数の関係者の証言をもとに取材を進めたという。
2019年末に話が持ち上がり、2020年に入って両社内での協議があったが、この議題が取締役会にかかることはなかったという。
この報道の真偽について、ホンダ、日産、さらに日本政府からはコメントは出ていない。
この日本政府とは、いったいどの部署なのか?
霞が関の中央省庁で自動車産業と直接的な繋がりがあるのは、大きく2系統ある。
1つは、国土交通省だ。自動車局では型式認定、リコール、排気ガス規制など技術面での法解釈、また道路などインフラについてあ道路局が担当する。
もう1つが、経済産業省の製造産業局・自動車課だ。米中日間の貿易交渉から、EVなど電動化や自動運転などの実証試験など、経済面で対応する。
今回の話は、最終的には国土交通省、経済産業省と連携するにしても、安倍政権ですっかりお馴染みとなった、官邸主導の動きだったのだろうか?
事の真相は、時期を見て明らかになるのかもしれないが……。
自動車メーカーの2トップ体制狙い?
それにしても、なぜ2019年末というタイミングで、政府側がホンダ/日産の合併の可能性が模索したのか?
経済産業省では長年に渡り、「日本経済は自動車産業による一本足打法」という表現を使ってきた。同省の資料によると、関東圏で各種産業の生産高で見ると、過去20年間程で自動車産業以外の産業の衰退が明白であり、自動車産業の一本足状態が年を追うごとに目立ってきている。
一方で、世界の自動車産業界は、ドイツのダイムラーが多用したことで一般名詞化した、CASE(コネクテッド/自動運転/シェアリングなどの新サービス/電動化)の大波が押し寄せている。
豊田章男トヨタ社長の常套句となった「100年に1度の大変革期」という状況にある。
その上で、日本自動車産業界は、トヨタ1強体制が目立つようになる一方で、日産はゴーン問題を発端とした大規模な経営立て直しが迫れている。
また、ホンダは事業の一部で米GMとの技術連携はあるものの、事業全体では長年に渡り、一匹オオカミ体制を貫いてきた。
そんなナンバー2どうしを合併させ、トヨタを含めた2トップ体制で日本経済の足元固めをする、という発想が生まれても不思議ではない。
とはいえ、ルノー日産三菱にホンダが加わるアライアンスは、やはり無理があろう。
でも、仮に合併していたら……。
マスマーケットは兄弟車だらけになる
合併が実現していた場合、ホンダとルノー日産三菱アライアンスの間で、思い切った「選択と集中」が行われたことだろう。
車種で考えると、SUVの兄弟車が一気に増えたはずだ。
ルノー日産三菱アライアンスでは、これまでのプラットフォーム(車体)の共通化を超え、上屋(うわや)を含めたモデル共通性を推進することが決まっている。
「エクストレイル」「ローグ」「アウトランダー」に加えて、ホンダの「CR-V」が事実上、同じクルマになったかもしれない。
「キックス」「ローグスポーツ」、そして「ヴェゼル」という発想もアリだろう。
「シビック」「アコード」など、C/Dセグメントではホンダ主導となる可能性が高かったはずだ。
軽自動車については、販売台数が多いがコスト高の「Nボックス」などNシリーズを刷新し、「eK」「ルークス」と共に岡山県水島生産となり、ホンダは日本国内生産体制を大幅に絞り込んだかもしれない。
EVについても、中大型車でのGM協業準備を停止し、小型車でのホンダ独自体制を改め、日産とともに中国CATLとの関係を強化して、共通プラットフォームによる兄弟車化の路線を歩んだかもしれない。
高級車でも、インフィニティとアキュラの車両および部品共用性が一気に高まったはずだ。
では、NSXとGT-Rはどうなっただろうか?
ハイエンドは個別 高額化する?
では、NSXとGT-Rはどうなっただろうか?
スーパーGTのレギュレーションように車体を共通化した量産車になってしまっただろうか?
この点については、そうはならなかった可能性が高いとみる。
理由は、近年顕著になってきた世界的な超高級ブランドの成功だ。いわゆる、スーパーカーやスーパーSUVといった、3000万円級以上の価格帯で勝負しようとすれば、単純な兄弟車では熱狂的なユーザーは離れていってしまうはずだ。
特にGT-Rの場合、R32、R33、R34の骨董品的価格で取り引きされるほど、ヘリテージ(歴史)に対する価値観が定着しており、そこから枝分かれして、それがNSXとなれば、ホンダと日産の双方にとってネガティブ要因になってしまうはずだ。
次期NSXも、次期GT-Rも、十分な開発コストと開発期間をかけて、欲しい人が即決して買うクルマとして登場することが、両社にとって収益が上がり、またホンダと日産それぞれのブランドイメージを引き上げることになる。
以上、あくまでも合弁が決まっていた場合の可能性を羅列したが、今後、ホンダと日産の合弁話が再発しないとは言い切れない。
ウィズコロナ、そしてアフターコロナの時代の自動車産業を姿は極めて予想しづらい。
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