■ガソリン車のAWDシステムには現時点で考えられる最新最良のテクノロジー
トヨタのクロスオーバーSUV「RAV4」がフルモデルチェンジを機に、日本市場に復活です。ラインナップを2.0Lガソリンエンジン車と2.5Lハイブリッド。それぞれにFFと4WDを設定しています。どこかコンピュータグラフィックスのようなポリゴン絵を思わせるルックスは先進的な印象ですが、最新のSUVらしく4WDシステムも凝ったものとなっているのは注目点でしょう。
トヨタRAV4が日本に復活。若向けの派手なデザインだが走りや機能の完成度は高い
ハイブリッドはフロントをエンジンとモーターのハイブリッドで駆動、リアをモーターだけで駆動する「E-Four」と呼ばれる電動4WDとなっています。従来の「E-Four」は後輪の駆動力が控えめな印象もありましたが、クロカン性能にもこだわり後輪駆動モーターの駆動力を高め、前後輪トルク配分を100:0から20:80まで変更可能な新制御を採用しています。
おそらく日本では、システム最高出力163kW(222馬力)のハイブリッドが主役として捉えられるでしょうが、4WDシステムとしてみると2.0Lガソリンエンジン車が採用している「ダイナミックトルクベクタリングAWD」は見逃せません。
RAV4で初採用された、トヨタが新開発した4WDシステムは「世界初」といえる、じつに複雑な駆動トルク制御を可能としています。まず電子制御4WDの基本といえる前後トルク配分は当然のように可能。そこに加えて、後輪トルクを左右独立で制御する「トルクベクタリング機構」も備えています。左右のトルク配分は0:100~100:0と幅広く、オンロードでのニュートラルなハンドリングも期待できるトルク配分システムです。
これは後輪のディファレンシャルにカップリングを組み込むことで実現した機能ですが、前後と後輪左右のトルク配分をコントロールするという機構自体はけっして新しいものではありません。日産スカイラインGT-R V-SPECに採用された「アテーサE-TS PRO」、日産ジュークの「インテリジェント 4×4(トルクベクトル付)」、三菱ランサー・エボリューションの「ACD」と「AYC」など、採用例はいくつも挙げられます。
では、どこが世界初なのかといえば、前後左右のトルク配分を制御できる4WDシステムとして、『前後ラチェットシフト式ドグクラッチで切断するディスコネクト機構を採用した点が世界初』なのです。これは4WDとFFを切り替えるという意味ではありません。トヨタの言葉を借りれば『4WD走行が不要と判断した時には、後輪に動力を伝達させる駆動系を切り離して燃費向上を図る』ことが斬新なのです。
つまりプロペラシャフトを切り離すことで、その抵抗による燃費悪化を防ごうというものです。似たようなアイデアはレンジローバーイヴォークの「アクティブドライブライン」に採用されているものですが、イヴォークには後輪のトルク配分機構は備わりません。
国産車で駆動メカニズムにおいて「世界初採用」という言葉を見るのは久しぶりに感じますが、まさしく新型RAV4のガソリンエンジン車に採用された4WDシステムは理想を追求した最新最良のメカニズムを持っているのです。
文:山本晋也
自動車コミュニケータ・コラムニスト
画像・動画:トヨタ自動車
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