AMGのホットハッチは“選べる”
text:Kazuhide Ueno(上野和秀)
【画像】AMGのコンパクト A 35、A 45 S、CLA 45 Sを比べる【実車 詳細写真】 全89枚
photo:Keisuke Maeda(前田恵介)
最近のメルセデス・ベンツはラインナップの充実に重きが置かれている。
それはAMGレンジにも及び、これまで「63」を設定したモデルに「53」「43」を加え、コンパクト系の「45」には「35」が追加されるなど、バリエーションの拡充が行われている。
AMGのコンパクトであるA 45は、2013年に176系Aクラスをベースに登場し、搭載される2L直4ターボエンジンは360ps発揮し、これまでにない超怒級のホットハッチとして人気を集めた。
Aクラスは2018年に現行のW177系に進化し、こちらでもA 45が設定されたが、昨年夏に体制が大きく変わる。
A 45に加えチューニングを高めて421psを発揮する「A 45 S 4マティック+」と、306psの「A 35 4マティック」という3モデル体制とされたのである。
日本市場にはその両端となるA 35とA 45 Sが導入されることになった。
A 35ってどんなクルマ?
新たに追加されたA 35 4マティックはどのポジションに位置するのか検証してみよう。
ボディはいずれもAクラスをベースとするが、A 45 S(A 45も含む)は全幅が50mm広がるが、A 35はベースモデルと同じ1800mm幅となる。
足回りを固めたことから車高は1410mmと10mm下げられた。
なお、A 35に搭載されるエンジンはA 45と同じ排気量だが、型式名で見ると別物となる。
A 45はハンドビルドでアッセンブルするためM139型と命名されるが、A 35では同じ排気量ながらA 250で使用されているM260型エンジンのチューニングを高めて搭載される点が異なる。
組み合わせられるギアボックスは、A 45 Sが8速AMGスピードシフトDCTとなるのに対し、A 35は7速AMGスピードシフトDCT。
このほかA 45 Sでは強化ブレーキ・システムと19インチ・ホイールが組み込まれるが、A 35のカタログ・モデルではカラード・キャリパーと18インチ・ホイールになるなど、微妙な装備差がある。
加速データで比べると……
A 35とA 45 Sをパフォーマンスで比較してみよう。
左がA 35、右はA 45 Sで、ここでは欧州発表値で記した。
0-100km/h加速:4.7秒/3.9秒
0-400km/h加速:13.2秒/12.1秒
0-1000m加速:24.3秒/22.1秒
最高速度:250km/h/250km/h(リミッター作動)
さすがに115ps差があるだけに動力性能はA 45 Sの後塵を拝する。
しかし、0-100km/h加速をライバルたちと比較すると、310psのゴルフRに0.1秒遅れをとるが、306psのBMW M135と290psのアウディS3には0.1秒差を付けている。
エディション1 走りの評価
A 45に初めて乗った時は街中でのチョイ乗りだったこともあり、乗りやすいことから本当に360ps(当時)もあるの? という印象があった。
その後しかるべきところで乗った時にはそのパワーとやや未完成なマニアックなハンドリングに感銘を覚えた記憶がある。
A 35に乗って走り出してすぐ気付くのは、普通のAクラスと変わらない扱い易さだ。何ら気遣うことなく普通に乗れるのである。
しかしそこから右足に力を込めれば、たちまち流れを容易くリードでき、タウンユースで負けることはほとんど無いだろう。
ベースモデルのA 180に較べると車体各部の補強によって剛性が高められたことにより、サスペンションがちゃんと機能しているため乗り心地も良い。
ステアリングもリニアで正確で、思うままに操ることができる。公道で乗っている分にはA 45 Sとの115ps差ははっきりとは感じられなかった。
しかしドライブ・モードをコンフォートからスポーツ・プラスに切り替えると様相は一変する。
エンジンはより活発になり、シフトポイントも高まり、エグゾースト・サウンドも高まり走る気にさせてくれる。またシフトダウン時はブリッピングも入りダイナミックなドライビングが楽しめるが、A 45に較べるとマイルドといえる。
A 35は「買い」か?
A 35の本体価格は634万円(以下すべて税込)。トップモデルのA 45 Sは798万円と164万円高だが、A 35にナビは備わらず、A 45 Sには標準で付くだけに実質的には140万円ほどの差となる。
今回試乗したのは特別仕様の「エディション1」で、数多くのオプションが組み込まれているため価格は750万円とA 45 Sに迫る。
しかしナビゲーション・パッケージ、AMGパフォーマンス・パッケージ、19インチAMGマルチスポーク・アルミホイールなどの価格差以上の装備を誇り、大型のフロント・スプリッターやハイグロスブラック仕上げの大きなリアウイングがその存在をアピールする。
客観的に見れば充分以上のパフォーマンスと装備を備えるA 35で申し分ないように思えるが、趣味のクルマとして捉えると「極めたい」という願望が頭をもたげてくる。
ハンドビルドのエンジンと421psというパワー、それを支える作り込まれたシャシー、ブレーキ性能を手にしたくなるのは当然の流れといえる。
306psのA 35で良しとするか、頂点を極めるA 45 Sを選ぶかは、最終的に自身の価値観に基づく判断になろうが、どちらを選んでも走りを存分に楽しめよう。筆者のチョイスとしては若い頃なら無条件にA 45 Sを選んだだろうが、歳を重ね様々なクルマを乗り継いだ今となっては、ややマイルドだが踏めば速いA 35でいいかなと考えている。
AMG A 35 4マティック・エディション1 スペック
価格:750万円
全長:4455mm
全幅:1800mm
全高:1410mm
最高速度:-
0-100km/h加速:-
燃費:12.2km/L(WLTCモード)
CO2排出量:-
車両重量:1570kg
パワートレイン:直列4気筒1991ccターボ
使用燃料:ガソリン
最高出力:306ps/5800-6100rpm
最大トルク:40.8kg-m/3000-4000rpm
ギアボックス:7速DCT
乗車定員:5名
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みんなのコメント
ブガッティも真っ青だな
それと同程度の価格でAMGが手に入るというのはかなり魅力的。
Aクラス自体がサイズ的にだいぶ大きくなったこともあり、以前ほどサイズ的なネガがなくなっているので、次の乗り換えはAクラスのAMGにしようかと本気で検討中。
魅力的なのはもちろんA45ですが、私の経済力ではA35までが妥当なところですね…お金持ちが羨ましい。。。
ただ、試乗したなかでの一番の不満は、ペダルが吊り下げなことですね。。。
いままで所有した車が全て当たり前のようにオルガンだったので、違和感というか、やはり吊り下げはちょっと嫌だな…と。