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ルノー カングー2代目は全長180mm長く、260kgの重量増。それでも継承した初代の良さとは【10年ひと昔の新車】

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ルノー カングー2代目は全長180mm長く、260kgの重量増。それでも継承した初代の良さとは【10年ひと昔の新車】

世界で250万台のセールスを記録した初代カングーが、2009年9月にフルモデルチェンジ。2代目となって日本に上陸した。並外れた積載性と飾らない実用性で人気を呼んでいたカングーだが、2代目ではどう変わったのか。ここでは国内での試乗テストの模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2009年11月号より)

ボディサイズは拡大され、わずかにパワーアップ
小型車をベースとして、リアに大きな箱を背負うような独特なスタイルを持つのが、フランスで「フルゴネット」と呼ばれる商用バンの特徴。1997年に「完全専用デザインのフルゴネット」としてデビューした初代カングーは、その使い勝手の良さで本国はもとより世界中で人気を集め、累計で250万台を販売する人気モデルとなった。日本でも2002年の導入以降、毎年1000台を超える販売を続け、ルノーのベストセラーモデルの座を不動のものにしている。

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欧州ではすでに2007年に新型となる2代目カングーが登場しているが、日本でもついに上陸を果たし、9月11日から販売が開始された。

先代から大きく変わったのは、まずはそのスリーサイズだ。プラットフォームがクリオ(ルーテシア)ベースからセニックベースへと格上げされ、全長で180mm、全幅155mm、全高20mmそれぞれ拡大。結果、4215mm×1830mm×1830mmと、堂々たるボディに成長している。

搭載エンジンは1.6L直4DOHCのみで、最高出力は先代の1.6Lエンジンと比較してプラス10psの105psを発生。最大トルクは148Nmと、こちらは先代と変わらない。トランスミッションは4速ATのほか5速MTも選択可能だ。

ミニバンのような強い存在感をまとう
試乗会場に並べられた新型を遠目に見ると、両側リアスライドドアや観音式ダブルバックドアなどのディテールや、愛らしいフロントフェイスなどは先代のイメージを踏襲し、誰しもひと目でカングーだということがわかるエクステリアとなっている。

ただクルマに近づくにつれそのボリューム感が増していき、先代では「背の高い小型車」というイメージだったのが、新型はミドルサイズのミニバン、という印象が強くなる。これは日本の法規に合わせフロント左に着けられた野暮ったいミラーの影響も大きい。

室内を見渡すと、これはもう明らかに進化したのが一目瞭然だ。先代では、インテリアの質感にはある程度目をつむる必要があったが、それが払拭されてデザインも乗用車然となっている。また室内高の高さを活かしたオーバーヘッドコンソールボックスなど、カングーの特長でもあった多彩な収納スペースは、使いやすさが向上されて新型に引き継がれている。

直進の安定性は高く、路面凹凸のいなしも上手い
着座位置がかなり高めになったフロントシートに座り、キーを回してスタート。このシートの出来がまた秀逸だ。タッチは柔らかいのにコシがあり、座り心地とサポート性を両立する。

搭載エンジンの出力が10ps向上しているとは言え最大トルク値は変わらず、車両重量は先代比で260kgも増加しているため、その加速は終始おっとりとしている。搭載される4速ATの制御も、エコな時代を象徴するかのごとく、すぐに上の段にシフトしていくので、もどかしいほどではないが力強さもまったくない。

では新型カングーの走りがつまらなくなったのかと言えば、そうではない所がまた面白い。直進の安定性は抜群に高く、また路面凹凸のいなしも上手で、嫌な余韻を残さない。サイズが拡大されプラットフォームも進化したが、ここは初代のテイストと同じように感じた。

遮音性も向上したため、一度巡航速度に達してしまえば高速走行は快適の一言だ。先代では空荷の際に若干のリア突き上げ感を伴ったが、新型は1人で運転するときも乗り心地に変化は少ない。

ワインディング路でも1830mmという背の高さを感じさせることなく、安定したコーナリングを実現している。絶対速度自体はもちろん決して速くはないが、グラッとすることなく、しっとりとしたロール感とともにリズミカルなドライビングを楽しむことさえできる。

サイズ拡大による快適性・積載性の向上、室内質感の大幅アップ。オートエアコン、クルーズコントロールなど快適装備も標準採用する。これだけ進化した新型カングーだが、価格は先代比でわずか6万8000円高の229万8000円(4速AT)。ルノージャポンの心意気がひしひしと伝わってくる価格設定と言えよう。

正直、あまりのボディサイズ拡大に、最初は「カングーらしさがスポイルされてしまったのでは・・・」と不安を覚えたが、外観デザインだけでなく走りのテイストも、きちんと初代の良さを継承している。その点、安心していい。(文:Motor Magazine編集部/写真:小平 寛)

ルノー カングー 1.6 主要諸元
●全長×全幅×全高:4215×1830×1830mm
●ホイールベース:2700mm
●車両重量:1460kg
●エンジン:直4DOHC
●排気量:1598cc
●最高出力:78kW(105ps)/5750rpm
●最大トルク:148Nm/3750rpm
●トランスミッション:4速AT
●駆動方式:FF
●車両価格:229万8000円(2009年当時)

[ アルバム : 2代目ルノー カングー はオリジナルサイトでご覧ください ]

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みんなのコメント

2件
  • 2代目カングーのモデル末期にシトロエンのヴェルランゴが出たので、需要がヴェルのほうに分散している感じもするが…
    車両価格も当時は安かったんだな~現行のヴェルはもうちょっと高いし、新カングーも値上げしてくるだろう。
  • ルノーエクスプレスを日本版カングーで出せば爆売れすると思うんだけど
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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