マツダの「MAZDA6」が、ついに国内でも販売終了となる。海外では一足先に販売終了となっており、数少ない国産セダン&ワゴンが、またしても減ってしまうことになったしまった。
現在のマツダの主力車種は、CX-5を代表とするクロスオーバーSUVであり、高級セダン&ワゴンとして長らく存在していたMAZDA6は、販売台数的に厳しい戦いを強いられていた。ただ、スタイリッシュで美しいセダンの代表例でもあったMAZDA6は、マツダにとって貴重な存在だったのも事実だ。MAZDA6が復活する道はあるのか、次期型開発へのストーリーを考えていきたい。
マツダ6よ戻ってきてくれー! 功績と意義を讃えつつ次期型開発続行を願う
文:吉川賢一
写真:マツダ
12年選手ながら、高い商品力を維持してきた
マツダ6の現行モデルは、2012年に「アテンザ」の名で登場したモデルだ。その後こまめな改良が加えられつつ、2018年にはビックマイナーチェンジを実施。標準タイヤの新開発や、サスのダンパーサイズアップとアッパーインシュレーター変更をしたうえで、サスのバネ、ブッシュ、スタビ、ダンパー特性の見直しがなされたほか、ボディ剛性も向上。しなやかに動く足にリセッティングが行われたことで、乗り心地が大幅に改善され、進化が著しい先進運転支援技術も、他社車のトレンドに遅れないようアップデートされていた。
2019年には、国内専用ネームのアテンザから、国内でも、グローバルな呼称「MAZDA6」に変更。国内でもグローバルネームを採用することで、マツダブランドをより浸透させていくことが狙いだとしている。アテンザ同様に「デミオ」や「アクセラ」など、これまで国内で親しまれてきた名前を潔く捨ててしまったことは、「変わらねば」というマツダの強い意思が感じられた出来事だった。
このように、初期モデル登場から12年も経過した、息の長いクルマとなっていたマツダ6だが、こまめな改良が毎年のように行われていたことで、販売台数としては苦戦をしながらも、高い商品力を長く維持し続けていた。
2012年のアテンザ時代から数えて12年目に突入したMAZDA6。毎年のように行われる改良からは、クルマに目をかけ続けるマツダの真面目さが伝わってくる
マツダのフラックシップセダン/ワゴンと呼ぶにふさわしい、質感の高いインテリア。アイポイントが低く、安定した乗り味が魅力だった
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復活の可能性はある!!
2024年4月中旬に生産終了となるMAZDA6だが、この先復活する可能性はあるのだろうか。
いまのマツダには、技術的に有望なアイテムが大量に揃っている。たとえば、パワートレインにロータリーエンジン発電ユニットを採用し、CX-60から採用が始まったFRベースの4WDプラットフォームで後輪駆動セダン/ワゴンをつくる、といったことは難しくはないだろう。ただ、(失礼ながら)売れる見込みの少ない背低ラージセダン/ワゴンへ、予算やリソースを割くことは考えにくいことも確かだ。だが筆者は、MAZDA6復活の道が絶たれたとは考えていない。
2018年にマツダが発表した4ドアクーペのコンセプトカー「MAZDAヴィジョンクーペ」。背が低く、スタイリッシュなセダンに世界中が憧れたほどだった
ボディサイドに反射する光の屈折は、ボディパネルが複雑な曲面で作られていることを物語っている
数年後、世界中のどこかのモーターショーで新たなフラグシップが見れるかも!??
マツダは、2018年に4ドアクーペのコンセプトカー「MAZDAヴィジョンクーペ」を発表している。このプレゼンテーションの場で、マツダのデザイナーは、「クルマらしい美しさ、マシンとしての性能の高さを感じさせるシルエットを表現しています。ここから、マツダデザインの新たなステージが始まります。」としていた。セダンやワゴンが持つクルマ本来のカッコ良さを、マツダ流に表現していきたい、としていたのだ。
すでに6年も前のことであり、当時といまとでは状況が変わっているかもしれないが、マツダのカーデザイナーがいまもセダン/ワゴンを諦めていないとしたら、商売にはならないとしても、ブランドを象徴するフラグシップとして、復活する可能性は十分にあるのではないか、と筆者は思うのだ。
しかしながら、現行のマツダ6のような姿では、残念ながら復活することはないだろう。復活したとしても不人気街道を再びなぞる可能性が高いからだ。ただ、世界観を大事にしているマツダならば、そのフラグシップとしてMAZDAヴィジョンクーペのようなセダン/ワゴンを超越した4ドアクーペスタイルのモデルを登場させる可能性は低くないと思う。数年後、世界中のどこかのモーターショーで、マツダが新たなフラグシップカーを華やかに発表してくれることを期待したい!!
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