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「キドニーグリル」なのにBMWじゃない「ブリストル」って…? 航空機メーカーが作った「ル・マン24時間」優勝経験もある高級パーソナルカーでした

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「キドニーグリル」なのにBMWじゃない「ブリストル」って…? 航空機メーカーが作った「ル・マン24時間」優勝経験もある高級パーソナルカーでした

無塗装状態で展示されたブリストル「401」に注目

ブリストルという車名を見たり聞いたりしたときに「あの航空機メーカーが造った高級パーソナルカー」と思った人は相当なクルマ好きです。イギリスの主要な航空機製造会社であったブリストルがクルマを造るようになったのは1946年のこと。そのファーストモデルは当時としても高性能な1台でした。

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飛行機メーカーが作った高級パーソナルカー

2024年4月12日~13日に行われたオートモビルカウンシルには、「ブリストル研究所」が持ち込んだ3台のモデルが展示されていた。

ブリストル・カーズが第1作目としてリリースしたのは、ブリストル「400」。航空機の技術を活かした快速マシンで、ル・マン24時間レースでのクラス優勝を2年連続で勝ち取るほどの実力を持ちながら、ブリストルはあくまでもコニサー(通人)向け少量生産ブランドであることにこだわり続け、広告活動も行わなかったといわれている。そのため、投機目的でクルマを買うような層には浸透せず、今でもクラシックカーバブルの影響を受けていないといっていい。

そのような知られざる名車を日本に紹介し、乗り継いでくれる後継者を探す目的で、涌井清春氏(日本を代表するクラシックカーコレクターで、くるま道楽を創業し、ワクイミュージアムを開設)が設立したのがスペシャルショップのブリストル研究所だ。オートモビルカウンシル2024に展開したブースでは、ブリストルの母体が航空機メーカーであるからこそ得られた、軽合金ボディのテクノロジーなどを披露。

このブースにはキュレーターの武田公実氏が常駐して、専門店の知見と研究所ならではの見識でブリストルのクルマの魅力を多くの人々に伝えていた。そんな中でもハイライトとなったのは、無塗装状態で展示されたブリストル「401」だ。

航空機メーカー出身だからこその軽合金ボディの技術に触れることができたのはこのクルマで、その工作技術の高さや各部の造り込みの丁寧さを確認することができた。1940年代にこれだけのクルマを造っていたのだから本当に驚かされる。武田氏によると、自社製6気筒エンジンを搭載していた初期のブリストルもフィーリングがよく、走って楽しいそうだ。

それでは、ブリストル研究所ブースに展示された4台の概要を見ていこう。

歴代モデルを時系列に公開

ブリストル「400」

まず紹介するのは、1946年にデビューしたブリストル「400」だ。このモデルは当時の社主であったジョージ・S・M・ホワイト卿が陣頭指揮を執った自社開発車ではあったが、BMWから登用した名設計者フリッツ・フィードラーの協力のもと、同社が第二次世界大戦まで生産していたツーリングカーの「326」にごく近い設計のフレームを使用していた。

流麗なボディもBMWの影響が大きく、お馴染みのキドニーグリルも踏襲。のちに2L級屈指の名機として評価されることになるブリストル6気筒エンジンのスペックは、戦前型BMWの傑作として知られる「328」と同じ、1971cc/81psであった。最高速度は148km/hで、この時代の市販サルーンとしては極めて高性能であったことが窺い知れる。

ブリストル「401」

続いて紹介するのは、ブリストル「401」だ。第2世代となる401は、イタリア・ミラノの名門カロッツェリアであるトゥーリング・スーペルレッジェーラが描いた基本形にブリストル独自の航空力学テクノロジーを追加。その軽量アルミボディは、美しさだけでなく、エアロダイナミクスの面でもよく考えられていた。そのCd値は0.36以下で、現代のクルマにも匹敵する数値であった。搭載されたブリストル6気筒エンジンは、400時代から5psアップとなる最高出力86psを誇った。

ブリストル「406」

1958年に発表されたブリストル「406」は、名機プリストル6気筒を搭載する最終モデルにして、ブリストルがより高級志向にシフトする契機となったモデルである。重厚なスタイリングや豪華さを増した装備に対応するため、エンジンの排気量を2.2Lに拡大してドライバビリティを向上。世界で最も早い時期に4輪ディスクブレーキを備えた乗用サルーンのひとつとなるなど、依然としてファン・トゥ・ドライブを追求していた。1961年まで生産され、174台がラインオフしたといわれている。

ブリストル「410」

最後に紹介するのは、ブリストル「410」だ。1967年にデビューした410は、初のクライスラー製V8エンジン搭載車となった「407」から「408」、「409」を経て発展したモデル。ブリストルとしては第4世代にあたる。トランスミッションはクライスラー・トルクフライト3速ATで、408/409時代は左右フェンダーの形状が角ばっていたが、それを刷新。よりブリストルの伝統に沿った空力的なフェアリングスタイルでモダナイズされた。同時に、左右のヘッドライトも後退している。

406から継承されたゴージャスな内外装にスムーズでパワフルなアメリカンV8エンジンを組み合わせていたこの時代のブリストルは、同時期のロールス・ロイス、ベントレー、アストンマーティンなどにも匹敵する超高級車であった。410は「411」とバトンタッチする1969年まで生産されたが、82台しかデリバリーされなかった。

ブリストルという名ブランドが自動車史の中に埋もれないように……との想いで設立されたブリストル研究所は、これからも知られざるイギリスの名車の魅力を掘り下げていく。

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みんなのコメント

2件
  • furima-jirosan
    この画像集には出てきませんが、ブリストル406は自動車評論家の
    「カンさん」こと川上完(たもつ)さんの愛車でもありました。
    その車両、現在は涌井さんのブリストル研究所のコレクションに
    所蔵されております。
    完さん、今年で没後10年ですか…早いですね。
  • wat********
    すんごい顔してるな、、、
    ちょっとホラーかもしれん
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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