これまで日本にはたくさんのクルマが生まれては消えていった。そのなかには、「珍車」などと呼ばれ、現代でも面白おかしく語られているモデルもある。しかし、それらのクルマが試金石となったことで、数々の名車が生まれたと言っても過言ではない。
当連載では、これら「珍車」と呼ばれた伝説のクルマや技術などをピックアップし、その特徴を解説しつつ、日本の自動車文化を豊かにしてくれたことへの感謝と「愛」を語っていく。今回は、2000年代初期に誕生したマイクロカー、スズキ ツインを取り上げる。
こんなクルマよく売ったな!! 【愛すべき日本の珍車と珍技術】 軽自動車とは本来こういうモノ!を示したツインの魅力
文/フォッケウルフ、写真/スズキ
■低燃費・低価格・省資源を際立たせた小さな実力者
ホンダN-BOXが、2023年度上半期(4~9月)における販売台数で10万台超え(10万409台)を果たし、登録車を含む新車販売台数でナンバー1の座を獲得した。
N-BOXを筆頭に単なる安物から完全に脱した出来のいい軽自動車が増えていることを鑑みると、もはや軽自動車が日本国内における最多販売車種となることにさしたる驚きはない。そのぶん価格は5ナンバーサイズのコンパクトカーと同等まで上昇し、軽自動車の本質的な魅力はやや薄れた感があることも否めない。
トールタイプやスーパートールタイプが主流の今だからこそ、軽自動車の本質を追求したクルマの復権を望みたいところだが、価格と維持費の安さだけでは、N-BOXやタント、スペーシアなどの牙城を崩すことは難しい。
しかし、低燃費・低価格・省資源という軽自動車の本質を追求しながら、他とは一線を画す際立った個性を持っていたとしたら、暮らしのパートナーとして積極的に選べる存在になり得るはずだ。そうした観点から、ピックアップしたいのが「スズキ ツイン」である。
ツインは1999年に開催された第33回東京モーターショーに参考出品された「Pu-3コミュータ」をベースにしたふたり乗りのシティコミューターとして、2003年1月に市場へ導入された
全長2735mmという国産軽四輪車最小サイズのボディは、軽自動車というより超小型モビリティという趣き。タイヤハウスまわりとバンパーを緩やかな曲線でつなぎ、前後の丸いタイヤハウスに丸い球状の車体を乗せたようなデザインも相まって、まるでオモチャのような雰囲気が漂う。
それでも、タイヤを四隅に配して安定感が強調されているあたりは、軽自動車規格に属するクルマならではのポイントで、小型モビリティとの違いを明確に表現している。
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みんなのコメント
しかし国内でこんなに思い切った物を作れるスズキってすごいと思う。