vol.1では、新型ヴェラールとは、レンジローバーファミリーの中で、どのような位置づけのモデルなのかというレポートをした。今回は具体的なデザイン、装備などについて詳細にお伝えしよう。
▼特集!レンジローバー・ヴェラール
・ラグジュアリーはすべてにおいて当然の価値観【レンジローバーヴェラール vol.1】
・デザイン・装備・エンジンなどを詳細に解説【レンジローバーヴェラール vol.2】
・レンジローバー・ヴェラール試乗レポート レンジローバーらしく上品で高級なSUV
・参考:RANGE ROVER VELAR 2017年7月11日より受注開始
レンジローバー・ヴェラール試乗レポート レンジローバーらしく上品で高級なSUV
■エクステリア・デザイン
さて、レンジローバーがもつラグジュアリーの世界観は、知的で、都会的に洗練され、均整の取れた佇まいを持ったモデルであり、上品で、優雅な趣を持った世界というのがレンジローバーが目指している世界観だ。この形容詞だらけの表現こそがドイツプレミアムモデルとの最大の違いなのかもしれない。
ヴェラールはこうした世界観に向けて造られているモデルであり、レンジローバー・ファミリーの4番目のSUVモデルになり、ボディサイズはイヴォークより大きく、レンジローバー・スポーツより小さいということになる。全長4820mm、全幅1930mm、全高1685mm、ホイールベース2875mmとなっている。
デザインは伝統的なクラムシェル型ボンネットとメッシュグリルに薄型のLEDヘッドランプ&フォグランプを組み合わせている。このフェイスは今後のレンジローバーシリーズの傾向を示すものと理解していい。
デザインのポイントはボディサイドの一直線なショルダーライン。これはレンジローバーシリーズに共通で、ディスカバリーとは異なるため、ひと目でレンジローバーシリーズと分かる。ちなみに、ディスカバリーシリーズはサイドウインドウが一段下がっているのだ。そしてクーペライクな流線型のルーフが乗っているのも特徴。ピラーを黒くすることでフローティングルーフデザインになっているのもポイントだ。
ボディ全体のフラッシュサーフェスも特徴で、初見の印象ではこのツルッとした全体のツライチなデザインにインパクトを受ける。細部でもドアハンドルがツライチになり、こうしたこだわりのデザインがリダクショニズムであるとも説明している。シンプルな表現は、逆に目新しく、またデザイン性だけでなく、レンジローバーシリーズ最小の空気抵抗値0.32も記録する性能にもなっている。
■ボディアーキテクチャー「D7A」
ジャガー・ランドローバー・グループとして、ヴェラールはアルミ素材を使った軽量アーキテクチャーとして4代目のモデルになる。ジャガーXE、XF、F-PACEに次ぐ4代目というわけだ。
ホワイトボディの82%がアルミ素材で、他にマグネシウム、高張力スチール、コンポジット素材などが使われている。マグネシウム材では、フロント先端のキャリア部分や室内のバルクヘッドに使用され、マグネシウムは音振に有効なので、静粛性に貢献する。
社内テストをJARI(日本自動車研究所)の高速周回路で230km/hの巡航テストした際、車内では通常の会話ができるほど車両の安定性と静粛性を確認しているという。それほど静粛性には高い性能があるということだ。
そして、高張力スチールは4枚のドアとリヤサスペンションを支える部分に採用し、応力のかかる場所にスチール使っている。また、軽量コンポジット素材はリヤテールゲートに使い、車両全体の低重心化を考慮し、ボディ上部を軽くする設計がされている。言うまでもないが、サスペンション周りなどシャシー部にも多くのアルミ材を使い軽量化をしている。
■インテリア・デザイン
車幅いっぱいの水平ライン、垂直のラインがレンジローバーのある意味伝統であるが、その組み合わせを推し進めた形がヴェラールにも採用されている。広々した印象と、シンプルだがセンスを感じさせるインテリアデザインだ。
また、カットダイアモンドシグネチャーというデザインが積極的に使われていて、パンチング加工したシートやオーディのカバーなどに採用するこだわりのデザインだ。
今回のヴェラールでは新たな高級素材を提案している。それは、環境に配慮した消費行動として、毛皮や動物の皮を使わないというポリシーが富裕層の間では一般化しているので、レザーをふんだんに使ったインテリアではなく、レザーに負けない賓を持つ内装素材として「プレミアムテキスタイル」を新たにオプション設定している。
デンマークのカヴァドラ社と共同開発したプレミアムテキスタイルは、ウール素材のテキスタイルと、シートセンター部に人口スウェードを使っている。この人口スウェードはペットボトルのリサイクル素材で、レザーオプションに変わる高級オプションとして提案している。そして、インテリアのポイントとしては、落ち着いた安らぎの場所をテーマにデザインされ、ホームリーなイメージにされている。
荷室容量では673Lのラゲッジ容量があり、クラス最大だ。同じプラットフォームを持つF-PACEより+23L。シートを倒すと1731Lという大きさになる。ちなみに、F-PACEと同じアーキテクチャーだが、リヤを少し伸ばして積載能力を増している。だが、デパーチャーアングルの確保はされ、アプローチアングル28.89度、デパーチャーアングル29.5度、最大渡河水深650mmというスペックだ。
■搭載シャシー技術
インテリジェント・ドライブ・ダイナミクスIDD搭載のAWDシステムで、ジャガーF-PACEと同じハードウエアだ。ただし、ジャガーはスポーツカーなので、デフォルト設定がFRベースのリヤ駆動100%で、必要に応じてフロントに駆動力を与える構造だ。だが、ヴェラールではデフォルトが50:50のトルク配分で発進して、状況に応じて前後トルクの配分を変化させる。そして電子制御のマルチプレートクラッチを使ったトランファーケースとテレインレスポンスやオールテレインプログレスコントロール、トラクションコントロールなどの技術が搭載されている。
また、電子制御のリヤデフロックも搭載された。高速道路やタイトコーナーでも作動し、トルクベクタリングとの協調制御も行なう。オンロードの場合はコーナリングがより正確にでき、オフロードはトラクションコントロールを補完する機能として、ブレーキによるトラクションコントロールよりも精密かつ迅速な制御ができる。
ヴェラールにはエアサスが設定されている。オフロード走行時の車高が2段階可能で、オンロードの高速道路では100km/h以上で10mm車高がダウンする。また、オートアクセス機能は、止まると自動で車高が下がり、ドアを開けるとさらに一段車高が下がって、乗降をサポートする。
■エンジンラインアップ
今回の注目はジャガーランドローバーグループが新規開発している「インジニウム」という新世代のガソリン、ディーゼルエンジンがヴェラールに搭載されたことだ。ちなみに、インジニウムはガソリン、ディーゼルともに2.0L・4気筒ターボというディテールだ。
ラインアップでは、250ps/365Nmと300ps/400Nmのインジニウム・ガソリンエンジンと180ps/430Nmのインジニウム・ディーゼルエンジン、そしてV6型3.0Lスーパーチャージドのフラッグシップ・ガソリンエンジンの380ps/450Nmの4種類のエンジンがラインアップした。
インジニウム・ガソリンエンジンはダウンサイジングコンセプトをベースに直列4気筒2.0Lで、連続可変バルブシステム、ヘッド一体型のエキマニ、ツインスクロールのターボチャージャー、可変流量オイルポンプ、電子制御式サーモスタット、可変クーラントポンプなど最新の制御システムに対応すべく装備されている。
この連続可変バルブシステムは、近年のトレンド技術であり、燃焼の高効率化をするための必須技術と言えるものだ。CVVLはコンティニアス・バリアブル・バルブ・リフトシステムの略で、イン側のバルブは油圧式で、インテークの開閉タイミングとリフト量をコントロールし、遅閉じとすることでスロットルバルブによる吸入空気量制御を最小限に抑え、ポンピングロスを低減している。その結果燃費向上にもなっている。
エキゾーストマニホールドはシリンダーヘッドと一体式なので、冷却ができ、また、ターボとも一体化できていることも特徴のユニットだ。そのためエンジンルームのコンパクト化、エンジンの軽量化、排気音の低減、冷却のための燃料噴射が不要などのメリットをもたらしている。
■安全装備
レーンデパーチャーワーニング、自動緊急ブレーキ、360度ビュー&パーキングガイド機能付きサラウンドカメラシステムを標準装備しているほか、ブラインド・スポットアシスト、レーンキープアシストなど豊富なドライバー支援システムを装備している。
■価格(税込み)
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