スバルの新しい「クロストレック」は、ちょうど良いサイズのSUVだった! ベーシックな前輪駆動モデルに小川フミオが乗った。
バリューフォーマネー
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最近の日本車のなかで完成度が高く、クルマ好きにはいちど乗ってみることを勧めたいのが、スバルの新型クロストレックだ。走りもいいし、価格的にもバリューフォーマネーだ。
ドライブしたのは前輪駆動(FWD)の「ツーリング」というベーシックなグレードだ。私はこれまで全輪駆動版しか運転したことがなかったが、前輪駆動、いい。いいって聞いていたとおり。いい(しつこい)。
日本では2022年12月に発表された新型クロストレック。少し遅れて市場に投入された「インプレッサ」の姉妹車ともいえる。
そもそもインプレッサの派生車種として設定された「XV」の後継で、「SGP(スバルグローバルプラットフォーム)」なる基本プラットフォームは共用。
ハッチバックとSUVの中間的な、いわゆるクロスオーバー車型が市場でウケているそうだ。最低地上高はインプレッサが135mm(「e-BOXER」)であるのに対して、クロストレックは200mm。
全高も、インプレッサは1450mmから1515mmで、クロストレックは1575mm。一般的な立体駐車場だと断われてしまうケースもありそうだ。SUVなんだからそのぐらいガマンしよう。
クロストレックのパワートレインは「e-BOXER」の1本。2.0リッター水平対向4気筒エンジンに、発進や急加速のとき働く小型モーターを組み合わせたマイルドハイブリッドだ。
軽快な走りクロストレック・ツーリングの前輪駆動車。どこがいいかというと、ひとつはハンドリング。軽快に走る。
さきに触れたSGPは、先代にあたるXVからの採用だけれど、改良に改良を重ねてきていて、「レヴォーグ」や「WRX S4」などで採用しているフルインナーフレーム構造をはじめ、構造用接着剤の適用拡大、サスペンション取り付け部の剛性向上など、手が入っている。
さらに、ハンドルを動かす操舵時のフリクション低減実現のために採用した2ピニオン式の電動ステアリングシステムも採用。慣れないうちはやや過敏に思えるけれど、じっさいは繊細でとてもよい。
上記のようなことがあって、すいすいと思いどおりに走れるのが、クロストレックの魅力だ。前輪駆動は車重が軽いぶん、カーブなどでの身のこなしが軽快に感じられる。自分で買うなら、前輪駆動でいいのでは? と、思った。ただし足まわりは、操縦安定性向上が開発目的だったせいだろうか、やや硬めだ。
クロストレックのもうひとつ、いい点は、インフォテインメントシステムの充実ぶり。11.6インチのセンターディスプレイは縦型レイアウトを活かして、表示する情報を上下にいくつも分割。最重要情報はすぐ視認できる個所に出るという具合。
世界の陸地を3m四方にくぎって、3つの単語でそこに案内してくれる位置情報アプリ「what3words」を日本語で使えるのもスバル車の強み。実際に使うと便利だ。
自分のクルマとして日常生活で使うようになると、さらに、ありがたいと思う場面が増えそうなのが「アイサイト」だ。
交差点などで衝突回避をサポートするプリクラッシュブレーキ、前の側方からの車両との衝突回避をサポートする前側方プリクラッシュブレーキ、衝突回避が難しい場合、周囲にスペースがあれば回避するようハンドルを制御する緊急時プリクラッシュステアリングなどがそなわる。
ほかにも運転支援システムがいろいろ搭載されていて、安全装備の追求というスバルのプロダクトポリシーの恩恵を、しっかり受けることができそうだ。
ちなみにレヴォーグ搭載のGPS連動型「アイサイトX」はクロストレックには用意されない。
価格は、今回乗ったツーリングの前輪駆動車が289万3000円。ただしアイサイトや11.6インチのセンターディスプレイやデジタルマルチビューモニターなどの視界拡張テクノロジーなどはオプション。そうなると最初から「リミテッド」(312万4000円)を選ぶ方法もある。それでも、ファントゥドライブな内容からすると、価格的にもじゅうぶん魅力があった。
文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.) 編集・稲垣邦康(GQ)
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燃費さえ気にしなければ...