現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 普通のSUVに飽きたなら、BMW X3 MとX4 Mを選ぶべし

ここから本文です

普通のSUVに飽きたなら、BMW X3 MとX4 Mを選ぶべし

掲載 更新
普通のSUVに飽きたなら、BMW X3 MとX4 Mを選ぶべし

BMW Mの販売が世界中で好調である。Mパフォーマンスモデルを含めて2020年に年間10万台の販売を目標としてきたが、2018年にすでに達成した。2019年も前年比2割増しで推移しているという。

好調の理由はズバリ、SUVだ。アメリカはスパータンバーグで生産されるBMW-SUVのXシリーズのM版、なかでも新型となったX3M40が売れに売れているらしい。もちろん、北米市場がメインマーケットである。

電気自動車はフツーが1番?──メルセデス・ベンツ EQC試乗記

気をよくしたBMW Mはこれまでこのクラスに存在しなかったモデルを追加することにした。今回リポートする、X3MおよびX4Mだ。

ミッドサイズSUVとして人気のX3&X4シリーズ。従来のトップグレードは好評のX3M40i xドライブおよびX4M40i xドライブ、だった。これはMパフォーマンスモデルと呼ばれる仕様で、ドライブトレーンこそノーマルラインナップの高性能版を使用するものの、内外装のデザインやアシ回りのチューニングなどをBMW M仕様とした、言ってみれば“買い得なM”である。

対してX3MおよびX4Mは、M3やX5Mなどと同様に、パワートレーンを含む車体すべてをBMW Mが開発した真性のMモデル、というわけだ。

パッと見、Mパフォーマンス仕様とどこが違うの?と思われるかも知れない。そう、MパフォーマンスとMモデルとの最大の違いは、ソトミではなくナカミにこそある。エンジンフードを開けっ放しにして走るわけにはいかないけれど、そこにはまるでM3用のようにガッチリとおし込まれたM謹製のエンジンが鎮座する。

ニューモデルとなったX3M、X4Mにおける最大の見どころで、BMW Mファン注目のポイントこそが、このエンジンだ。Mの主力モデル用となるストレート6のMエンジンを完全新設計して搭載した。従来ならば、M3やM4のモデルチェンジ時に積まれてもおかしくないメイン機種を、MとはいえSUVに搭載して初披露とするなんて! それだけ時代は、SUV=フツウ、セダン&クーペ=ニッチとなった、ということだろう。

BMWマニアはエンジンを型式で呼ぶ。新型Mの3ℓストレート6エンジンはS58。つまり、ノーマルラインナップに積まれているN58のM版というわけだけれども、両者に共通するパーツは一割にも満たない。レーストラックでの使用を前提とした数々のシステムが備わっており、構成部品にもハイスペックな素材や製法を惜しみなく盛り込んだ。

コンペティショングレード仕様で最高出力510ps。BMW史上、最もパワフルなストレート6エンジンとなった(とはいえ、M3とM4が楽しみ!)。

国際試乗会はX3の生産国であるアメリカは東海岸ニュージャージーで開催された。まずはX3Mコンパティション(タイヤは21インチ)を駆って、一般道やハイウェイをドライブする。

“M3に負けない走りを実現した”と、開発陣が誇らしげにアピールするだけあって、タイヤのひと転がり目からフツウのX3とはまるで違うライド感覚だ。アシの動きが明らかに硬く、路面からのショックもビシビシと入り、車体全体がまるでジャングルジムで作られているかのようにガッチリと動く。駐車場を出て市街地をゆっくり流している間、メリノレザーとカーボンカバーの目立つスポーツラグジュアリィな内装にぐるりと囲いこまれてはいるものの、なかなかにハードな乗り心地で、特に助手席は少々ツラい。

この手の高性能グレードにはよくあることだけれども、街中で少し硬いと思ったくらいでドライブを諦めてしまうと、そのモデルの本領を知ること無く終わってしまう。(スーパーカーの)マクラーレンより硬いと思われたX3Mのアシだったが、速度が増すにつれてどんどん心地よく変化していく。

50km/h以下と70km/h以上とでは、まるで別のクルマを駆っているかのような感覚の違いがあった。

ステアリングホイールに目立つ赤いスイッチが二つある。実はこれ、真性のMモデルであるかどうかを見極める重要なポイントだ(例外もあるが)。M1、M2と書かれてあり、予め自分の好みに設定しておいたドライブモードの組み合わせ(アシまわりやパワートレーン、変速など)を瞬時に呼び出すことができる。個人的には、ステアリングホイールとアシ回りはコンフォート、パワートレーンのみスポーツ+というセッティングが気に入った。

エグゾーストノートは低く鳴り、常に腹の奥底で響いている。踏めばスーパーカーも顔負けの爆音を撒き散らす。公道で試す加速は十二分に速く、それでいてがっしりとした安定感はそのままだから、安心して踏んでいける。

もっとも、アメリカの公道でこのクルマの限界性能を試そうなどと思ってはいけない(日本でもそうだけれど)。サーキットで鍛えたというパワートレーンとアシを試すべく、BMWが用意したステージは、最近アメリカで人気の会員制サーキットだった。

サーキットではX4Mコンペティションの出番。といっても、X3MとX4Mとでは重量も変わらないので、性能そのものはほとんど同じ。X4はクーペフォルムで50ミリほど背が低く、少しワイドトラックで、全長も少し長い。ホイールベースは同じ。あえていうなら、X4Mのカタチがよりサーキットにふさわしい、という程度だろう。

サーキット走行ということで、ドライブモードをすべてスポーツ にセットして走り出してみたものの、アップダウンのある全長5kmのテクニカルなコースでは、日ごろの運動不足が祟ってハンドル操作だけで息があがってしまう。やっぱりステアリングをコンフォートの旦那仕様にセットしなおし、もういちど真剣に攻め込んだ。

なるほど、これはもう背の高いだけのM3だ。視線は高く、コーナーでの見晴らしが良い上、路面との距離を必要以上に感じないないため、SUVであるにも関わらず、前輪を狙ったとおりに置きながら安心して激しいコーナリングを楽しむことができる。自分の思い通りになっているという感覚が確実にあって、しかも正確。ボディが不用意に揺れてしまうようなこともないから、SUVを駆っていることさえ忘れてしまうほど。

S58エンジンのパワーはすさまじい。3000回転以下からトルクが湯水の如く溢れ出し、思いのままに車体を動かすことができる。高回転域のエンジンフィールも素晴らしく、ピークパワーに達する6250回転からさらに1000回転、回っていく。この領域を楽しもうとすれば、やはりサーキットに来なければならない。

BMW Mを代表するモデルは何? と聞かれたなら、筆者世代は迷うこと無くM3と答えるし、そう答えてきた。けれども、これからBMW Mを初めて体験する世代は、ひょっとすると、MといえばX3M、と答えることになるのかもしれない。

関連タグ

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油7円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

日産 [アリア]って実は完成度高すぎる[クルマ]じゃない?
日産 [アリア]って実は完成度高すぎる[クルマ]じゃない?
ベストカーWeb
こんなクルマよく売ったな!! 【愛すべき日本の珍車と珍技術】もう二度と作ることができない限定400台[インプレッサ22B-STiバージョン]はいまや3000万円以上!!!!
こんなクルマよく売ったな!! 【愛すべき日本の珍車と珍技術】もう二度と作ることができない限定400台[インプレッサ22B-STiバージョン]はいまや3000万円以上!!!!
ベストカーWeb
佐藤万璃音を擁してWEC・LMGT3に参戦するユナイテッドAS、マクラーレン720S GT3エボの新リバリー発表
佐藤万璃音を擁してWEC・LMGT3に参戦するユナイテッドAS、マクラーレン720S GT3エボの新リバリー発表
AUTOSPORT web
【詳細データテスト】プジョー5008 経済性は良好 走りと快適性は及第点 実用性や居住性は不満も
【詳細データテスト】プジョー5008 経済性は良好 走りと快適性は及第点 実用性や居住性は不満も
AUTOCAR JAPAN
「スーパーフォーミュラしかない!」念願かなったルーキーたちの課題は。2レース制増も影響か
「スーパーフォーミュラしかない!」念願かなったルーキーたちの課題は。2レース制増も影響か
AUTOSPORT web
こ、これアウトランダーじゃね!? 決算説明から見えた[日産PHEV第1号車]は三菱からのOEMか?
こ、これアウトランダーじゃね!? 決算説明から見えた[日産PHEV第1号車]は三菱からのOEMか?
ベストカーWeb
日産「フェアレディZ」にワゴンが登場!?  実は「ステージア」ベースで「リーフ」リアゲートを移植…車検をとって公道走行可能なカスタムカーでした
日産「フェアレディZ」にワゴンが登場!? 実は「ステージア」ベースで「リーフ」リアゲートを移植…車検をとって公道走行可能なカスタムカーでした
Auto Messe Web
実はサーキットより面白い? 本気のオフロード走行のススメ SUV人気の裏にある魅力
実はサーキットより面白い? 本気のオフロード走行のススメ SUV人気の裏にある魅力
AUTOCAR JAPAN
「オートモビリア」って、なに? ミニカーや古本などがずらりと並んだ「アミューズメントゾーン」にはキャンギャルも登場して熱気に包まれてました
「オートモビリア」って、なに? ミニカーや古本などがずらりと並んだ「アミューズメントゾーン」にはキャンギャルも登場して熱気に包まれてました
Auto Messe Web
「これが売れなかったら四輪撤退…」→超ロングセラーに! 世界の「シビック」を生んだ“妙な納得感のある理論”とは
「これが売れなかったら四輪撤退…」→超ロングセラーに! 世界の「シビック」を生んだ“妙な納得感のある理論”とは
乗りものニュース
沼にハマる 『レトロモビル2025』でフランス車の魅力に迫る 高い技術力と芸術的デザインの融合
沼にハマる 『レトロモビル2025』でフランス車の魅力に迫る 高い技術力と芸術的デザインの融合
AUTOCAR JAPAN
トヨタ「86」&スバル「BRZ」用クラッチは「歯打ち音」を低減!「ヤリス」用は半クラが扱いやすい…待望のアイテムが「小倉クラッチ」からリリース!
トヨタ「86」&スバル「BRZ」用クラッチは「歯打ち音」を低減!「ヤリス」用は半クラが扱いやすい…待望のアイテムが「小倉クラッチ」からリリース!
Auto Messe Web
帽子を焦がしたレーシングシャシー ブガッティ・タイプ57 S コルシカ(1) バラバラからの再生
帽子を焦がしたレーシングシャシー ブガッティ・タイプ57 S コルシカ(1) バラバラからの再生
AUTOCAR JAPAN
先端の「クマ」も再現 ブガッティ・タイプ57 S コルシカ(2) 受賞多数のオープンボディ
先端の「クマ」も再現 ブガッティ・タイプ57 S コルシカ(2) 受賞多数のオープンボディ
AUTOCAR JAPAN
トヨタ勝田貴元、惜しくも優勝逃す2位フィニッシュ……3.8秒差で僚友エバンスに軍配|WRCラリー・スウェーデン
トヨタ勝田貴元、惜しくも優勝逃す2位フィニッシュ……3.8秒差で僚友エバンスに軍配|WRCラリー・スウェーデン
motorsport.com 日本版
スズキの超ハイルーフ「本格SUV」に期待大!「ジムニー」超える“悪路走破性”に「まるで軍用車!?」な斬新デザイン採用! 日常から“アウトドア”まで大活躍の「エックスヘッド」コンセプトがカッコイイ!
スズキの超ハイルーフ「本格SUV」に期待大!「ジムニー」超える“悪路走破性”に「まるで軍用車!?」な斬新デザイン採用! 日常から“アウトドア”まで大活躍の「エックスヘッド」コンセプトがカッコイイ!
くるまのニュース
10トン超えのバッテリーを搭載して航続距離500km……ってホントにエコ? 大型トラックはBEVよりもFCVのほうが最適解
10トン超えのバッテリーを搭載して航続距離500km……ってホントにエコ? 大型トラックはBEVよりもFCVのほうが最適解
WEB CARTOP
被災3年…ついに架設スタート! 阿武隈川を渡る国道399号“軽くなる”新しい橋の姿は?
被災3年…ついに架設スタート! 阿武隈川を渡る国道399号“軽くなる”新しい橋の姿は?
乗りものニュース

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

798.0998.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

39.0818.0万円

中古車を検索
X3の車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

798.0998.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

39.0818.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村