カロッツェリアが新しいドライブレコーダーを発表した。そのなかで目をひくのが「あおり運転の検知機能」だ。
今後ドライバーに求められる「自己防衛」という観点からもこれらの新商品がどのように有効に働くのだろうか。新機能の解説とともに、今後のトレンドを予測してみた。
迫りくる“あおり運転”に役立つ 今選んでおきたい「危険運転検知機能付きドラレコ3選」
文/高山正寛
写真/パイオニア、ケンウッド、ユピテル
■ますます加速する“あおり運転”
2020年6月30日に施行された改正道交法により、それまで急激に件数が増加していた「妨害運転(以下、あおり運転と表記)」。
その後、数字の上では減少傾向という報道もあるが、現実にはどうだろうか。筆者的にはリアルな現場に目撃することも度々あり、昔より周辺の運転には気を遣うことも増えている。
あおり運転がクローズアップされたのは2017年6月、神奈川県内の東名高速道路で起きた痛ましい事故が引き金にもなっているが、昨今では2022年4月、千葉東金有料道路(以下:東金道)で恐ろしいまでのあおり運転が発生。
被害者側からYouTuberに許諾後映像を譲渡し、拡散されたことで警察が動き、マスコミが大きく報道されたことが記憶に新しい。ちなみにこの原稿執筆段階でまだ犯人は捕まっていない。
この東金道でのあおり運転は被害者の車両前方へ車両がブロックするように停車したことであやうく大惨事になる所だったことがフロント側のドラレコに記録されていたが、文字通り「あおり運転」はまずリア側からの異常接近や蛇行運転などがトリガー(引き金)になることが多い。
ドラレコ自体も出荷台数が加速し始めた頃はまだフロント1カメラが主流だったが、現在は市販&ディーラーオプションを含め、前後2カメラが基本トレンドだ。
各社とも、画質の向上や画角の拡大、また夜間でも安定した録画を可能にするように技術をブラッシュアップしているが、その中で次のトレンドとして注目しているが「あおり運転検知機能」なのである。
■カロッツェリアから待望の新モデルが登場
後方からのあおり運転を検知し自動録画するカロッツェリアVREC-DZ800DC(出典/パイオニア)
今回発売されたカロッツェリアのドライブレコーダーは2機種。カロッツェリアは昨年、高い基本性能と価格とのバランスに優れた「VREC-DH300D」を発売。これが大ヒットモデルになったことは記憶に新しいが、このモデルを継承する形で登場した「VREC-DH301D」と、同時に今回発表した注目モデルが「VREC-DZ800DC」だ。
この「VREC-DZ800DC」最大の特徴は「監視や検知」といった点を従来よりさらにレベルアップし、ドライバーの安全に寄与する設計になっている点だ。
カロッツェリアではあおり運転のことを幅広い解釈で「後方車両接近検知機能」と呼んでいるが、基本的な仕組みとしては、後方から車両が接近したことを検知した後、その車両の動きに応じてドライバーへの通知(音や映像)を行い、同時に録画を行う。
■あおり運転検知と後方接近警告、実は機能が異なる
カロッツェリアVREC-DZ800DC。後方車両が接近している状況で、慌てていて冷静に録画ボタンを押せないような時でも安心。新開発の「後方車両接近検知機能」により、後方からのあおり運転をドライバーへ通知し、自動で録画。また映像はイベント録画として連続録画とは別のフォルダに自動保存されるため、万が一の時も安心(出典:パイオニア)
ここまでだと「後方車が接近したら通知するドラレコなんて、今までもあったよ」という声が聞こえてきそうだ。確かにこれまでのドラレコにも接近情報を警告する商品はあった。というか、かなり種類も多い。またフロントカメラ側も信号待ちなどから前方車両が発進した際に警告する機能なども搭載されている。
では何が違うのか。それは大きく2つ「自動で録画する」「あおり運転の検知能力」にあると考える。
前述したように車両接近だけを警告する場合、その状況を録画するためには自分でドラレコの(マニュアル)録画ボタンを押す手間が発生する。しかし、実際あおり運転にあった際に落ち着いてボタンを押すことができるかどうか。まさに落ち着いた行動ができるかにかかっている。
しかし今回紹介する「VREC-DZ800DC」や他社のモデルもそれらの操作自体は不要、つまり録画自体を自動で行ってくれる点が最大の差別化のポイントと言える。
そしてその「自動で録画」機能を支えるのが車両の検知・認識機能であり、これを搭載しなければ実現は不可能なのである。
■ドラレコもAIを活用する時代に入った
カロッツェリアVREC-DZ800DCは独自に開発した画像認識技術を採用。速度・距離・時間を最適に組み合わせることで高い認識率を実現。走行中に40kmh以上になると、後方車両接近検知が作動を開始。速度に応じた危険距離内に後方車両が一定時間入った場合はあおり運転と認識して、前後各20秒を自動的にイベント録画として保存する(出典/パイオニア)
では実際、どうやってあおり運転の車両を検知するのだろうか。各社により考えは微妙に異なるが、今回発表された「VREC-DZ800DC」の場合は独自に開発した画像認識技術がそれを実現している。
具体的にはシステムは40km/h以上で作動を開始。後続車との速度・距離・時間を常時計測しそれらを組み合わせた独自のアルゴリズムによって認識率を高めているという。当然、自車速度も常に変化するが、それも含めて後続車の検知距離も自動で可変させることができる。
さらに3車線などの複数車線の場合、追い越しなど含めた隣の車線は検知対象外(つまり同一線上のみ)とすることで誤動作を抑制する仕組みも搭載されている。
また冒頭に述べた東金道などでの車両前方に急に割り込んだ際にも「急制動検知機能」により、こちらも同時に録画することができる。
つまり、これらの機能は「今、走っている状態から今後起こりうる事象を予め予測するプログラム」をドラレコ側に実装し、リアルな映像と照らし合わせ、システムを作動させることで実現できるわけだ。
■次のトレンドになることは間違いない
「VREC-DZ800DC」の他に、後述するケンウッドの「DRV-MR8500」はすでに既発モデルだが、当時としては画期的な「AIセンシング」を搭載することで同様の機能を実現している。
もちろんなんでもかんでも「AI」と言えば聞こえはいいかもしれないが、今後はこれらのシステムを搭載したドラレコは間違いなく増えてくるだろうし、普及することで現在より実勢価格は下がってくるはずだ(正直、まだ高い)。
昨今の新車にはADAS(先進運転支援システム)が搭載されているので、本当にこのような機能が必要なのか、と疑問に思う人もいるかもしれない。
しかし世の中に走っているクルマ、さらに言えばADASを搭載していない中古車なども含めれば、これらのドラレコを搭載することで車両の制御はできなくても安全運転に寄与することは間違いない。ゆえに、自分のライフスタイルを考慮しつつも、これらの機能を搭載したドラレコを候補に入れておく必要はあるだろう。
■あおり運転検知機能付きドラレコ:カロッツェリア ドライブレコーダーユニット「VREC-DZ800DC」
●オープン価格:6月発売予定
カロッツェリアVREC-DZ800DC。本体を直接フロントガラスの上部に固定できる一体型形状。また本体の電源ケーブル端子とリアカメラ用カメラケーブル端子をL型にしたことで配線をスッキリとまとめて目立たずに取付けることが可能。(出典/パイオニア)
同時に発売された「VREC-DH301D」より前後カメラの画素数は200万画素と下だが、現在求められる基準は満たしており、夜間時にも強い「ナイトサイト」に対応している。
そして今回のテーマでもある「あおり運転」への対応や、Wi-Fiモジュールの内蔵により、録画映像をスマホ側で確認/保存も可能。専用アプリで後方車両接近検知の設定も行うことができる。
■あおり運転検知機能付きドラレコ:ケンウッド 前後撮影対応2カメラドライブレコーダー「DRV-MR8500」
●オープン価格:実勢価格3万2000円前後
ケンウッドDRV-MR8500は、前方+後方同時録画。フロント用・リア用のドライブレコーダーで、常時録画・イベント記録・手動録画・静止画記録が可能。暗さに強い、暗いトンネルや夜間でもクッキリ録画ソニー製500万画素CMOSセンサーSTARVISを採用(出典/ケンウッド)
他社に先駆けて2020年7月に発表した前後2カメラ方式のドライブレコーダーが「DRV-MR8500」。
新開発の「AIセンシング」により後方からの車両を補足、検知エリアに車両が入ると自動で追尾を開始。
その後、該当車両がエリア内で蛇行運転や急接近をくり返すと警告音&画面表示と同時に専用イベントフォルダに録画を開始する。
基本性能もF値1.6の明るいレンズと前後とも最大で368万画素のカメラ、STARVISも搭載するハイスペック機である。
後方からの急接近車や蛇行運転車をリアカメラのAIセンシング機能が自動で検知。ドライバーに知らせるとともに自動で録画を開始します。ドライブ中に危険運転車を確認できるので、未然の事故防止につながる(出典:ケンウッド)
■あおり運転検知機能付きドラレコ:ユピテル「Q-31R」
●オープン価格:実勢価格4万5000円前後
後方車の異常接近を自動で検知。ドライバーにあおり車両の存在をいち早くお知らせ。さらに映像を専用フォルダに自動保存。記録ボタンの押し忘れや、常時録画の継続により該当データが上書きされるなどの記録ミスを抑え、より確実に状況を保存(出典/ユピテル)
フロントに360°の全周囲カメラ、リアに対角で155°の200万画素カメラを搭載することで周囲に関しては死角なしを実現した同社の「marumie(マルミエ)」シリーズの最新モデル。
全周囲カメラということで価格はやや高めだが、後方からのあおり運転に関しても検知後ドライバーへの警告と同時に自動で録画を開始し、専用フォルダに収録する
また360°を録画するフロントカメラの割には本体がコンパクトである点、リアカメラはスモークフィルムやプライバシーガラスでも感度をチューニングすることで夜間での録画性能を維持している。
複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?
複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
日産「“ミニ”ケンメリGT-R」実車展示に大反響! “全長3m級”ボディの「斬新スポーツカー」がスゴい! 幻の「ちびメリ」とは?
名古屋まで100キロ信号なし“スーパー一般道”完成いよいよ秒読み! 国道23号「名豊道路」新IC名も決定!
ハチロク乗りもGR86乗りもすれ違ったら敬礼必至! 偉大なるご先祖「TE27」のレビン&トレノが胸熱すぎるクルマだった
全長4m級! 日産新型「小さな高級SUV」登場! 斬新グリル&豪華内装がスゴい! めちゃ上級な「ノートシリーズ」発売
ホンダ「新型ダックス」発表! 超レトロな「伝説的モデル」は45万円!? 新たな「OP装備」も採用した「新型モデル」 8月発売に反響あり!
みんなのコメント
以前こんなこと言ってる人に
「片側1車で前が詰まってる状況で煽られたことあるけど、どうすれば煽られないの?」って聞いたら無視されたな