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自動化、電動化、ネットワーク化技術の商用化が前進

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自動化、電動化、ネットワーク化技術の商用化が前進

ボッシュの2018年度の日本国内における第三者連結売上高は、前年比10%増の約3,250億円(約24億ユーロ)。2018年の業績についてボッシュ株式会社代表取締役社長のクラウス・メーダー氏は「2017年から2年連続で2桁成長を記録することができました。特にモビリティ ソリューションズ事業は、同年の日本国内における自動車生産台数の前年比成長率0.4%(JAMA自動車統計)を大幅に上回り、日本市場における弊社製品の浸透率の高まりを示しています」と年次記者会見で述べた。

 エネルギー・ビルティング テクノロジー事業以外のすべての事業セクターで売上が増加し、中でも日本国内売上の多くを占めるモビリティ ソリューションズ事業が売上増加に貢献した。これは主に、パワートレイン関連製品、先進運転支援システムなどのセーフティシステム向け製品、ボディエレクトロニクス製品の需要増加によるもの。「モビリティ ソリューションズ事業以外では、中国向けに油圧や電動駆動の産業機器用製品の需要が高まったことも売上増加に貢献しました。2019年の日本のボッシュ・グループの売上高は、世界的な経済状況が不透明な状況ですが、モビリティ ソリューションズ事業の堅調な拡大により5%程度の増加率となる見込みです」とメーダー氏は続けた。

AIによる「考えるネットワーク」の実現を目指す

日系自動車メーカー向け売上は全世界で8.8%増加

 ボッシュ・ジャパンは、全世界に広がるネットワークにより、日本市場のみならず日系自動車メーカーが海外市場で販売する車両の開発と生産をサポートしている。これはボッシュ・ジャパンの重要な役割であり、日系自動車メーカーとの取引はボッシュ・ジャパンの事業展開の指標でもある。2018年、ボッシュの全世界における日系自動車メーカーへの売上は前年比で8.8%増加し、同年の日系自動車メーカーの世界市場における生産台数の増加率1.4%(同社調べ)を上回った。日系自動車メーカーへの売上は、2013年からこれまで年平均2桁の割合で増加しており、2021年まで同程度の成長率を見込んでいる。


自動化:物流関連施設で低速無人搬送の実証実験を開始

 ボッシュは、自動運転の開発におけるキープレイヤーの1社。ボッシュが日本市場で注力している分野のひとつに自動駐車がある。
 ボッシュとダイムラーは2017年にドイツ国内で、歩行者や人の運転する車が混走する実生活環境下において世界で初めて自動バレーパーキングのデモンストレーションを行った。ボッシュの自動バレーパーキングは既存の駐車場にも導入することができるため、大きな市場潜在力があると考えている。ドイツに続き、2017年日本国内において自動バレーパーキングの専門組織を設立し、日本での商用化の可能性を市場、技術の両面から検討してきた。そして、今年日本国内の物流関連施設で自動バレーパーキング技術を応用した低速無人搬送の実証実験を開始した。これは、グローバルのボッシュ・グループとして初めての実証実験で、実用化に向けたシステムの技術的な検証を行っている。

電動化: 48Vマイルドハイブリッドシステムが日系自動車メーカー向けに今年量産

 ボッシュは、電動化モビリティのマスマーケットをリードし、2025年までに電動化関連の売上を現在の約10倍にあたる50億ユーロに引き上げることを目標としている。昨年48Vマイルドハイブリッドシステム向けバッテリーの量産が中国で始まり、今年後半にはモーター、インバーター、ギアボックスを一体化させた電動パワートレイン「eAxle」の量産も始まる予定。48Vマイルドハイブリッドシステムでは、今年後半に日系自動車メーカーからボッシュの製品を搭載したモデルが量産される予定だ。このシステムは、コンパクトカーにも搭載できる費用対効果に優れた電動化ソリューションで、2030年には新たに全世界で生産される新車の26%に48Vのハイブリッドシステムが搭載されるとボッシュは予測している。

ネットワーク化:パーフェクトリー キーレスの開発車両を日本初公開

 キーレスの車両エントリーシステムの普及により利便性が向上する一方、中間者攻撃による自動車の盗難が問題になっている。標準的なキーレスエントリーシステムでは、長波と極超短波周波数で車両とキーの通信が行われる。一方、ボッシュの「パーフェクトリー キーレス」では、スマートフォンと車両がBluetooth経由で通信するため、ドアのロック・アンロック、エンジンの始動のためにキーを物理的に持ち運ぶ必要がない。
 スマートフォンと車両の通信では、スマートフォンに内蔵されたBLE(Bluetooth Low Energy)チップが重要な役割を果たす。パーフェクトリー キーレスは、チップごとに異なる電波の特性が適合した場合のみ作動する。つまりデータの無線転送を試みる他の電子機器の信号をブロックすることができ、これにより車両への不正アクセスを防止する。
 パーフェクトリー キーレスはクラウド経由でデジタルキーを管理できるため、所有用の乗用車だけでなく多数のユーザーが同じ車両を使用するカーシェアリング用車両や運送会社などの事業者が所有するフリートで使用することができる。年次記者会見では、パーフェクトリー キーレスの開発車両を日本で初めて公開した。

従業員にとって魅力的な雇用者へ、ダイバーシティとインクルージョンの推進

 従業員のために労働環境を向上させることは、ボッシュにとって事業への投資と同様に重要な経営戦略のひとつ。「ボッシュは、従業員が公私のバランスを保ち安心して働くことができる環境を整えること、そして様々な属性・バックグランドを持つ従業員全員が尊重されるダイバーシティ(多様性)とインクルージョン(包括)の推進に力を注いでいます。」ダイバーシティの重要性についてボッシュ株式会社取締役副社長のアレクサンドレ・リーステラー氏はこう述べました。マッキンゼーの調査では、性別、人種、文化のダイバーシティは、企業にとってトップタレントの採用、顧客満足の改善、従業員満足の向上につながり、結果として企業の業績と深く関連していると結論付けている。

有給休暇の取得:従業員の心身の健康を養うために、ボッシュは30年以上前から有給休暇取得を促す活動を行っている。現在では、非管理職の有給休暇取得率は98.2%まで高まった。これは、日本の平均49.4%(厚生労働省「就労条件総合調査2017年」)を大幅に上回っており、ボッシュの従業員は年20日新たに付与された有給休暇を平均で19日以上使用していることになる。

柔軟な勤務制度:育児・介護、通勤時間、時差のある海外事業所とのやり取りなど、従業員の働き方に影響を及ぼす要素は様々。個々の従業員が自分に合った働き方ができるよう、現在ボッシュが最も注力している人事施策のひとつが多様な働き方の支援だ。ボッシュ株式会社は、2011年に育児・介護のための在宅勤務制度を導入し、現在では在宅勤務に適した業務を行う全ての従業員に在宅勤務が認められている。短時間からの在宅勤務が可能なため、フレックスタイム制度と在宅勤務を組み合わせると、柔軟で自由なスケジュールを組むことができる。

ダイバーシティとインクルージョン:従業員のダイバーシティとインクルージョンの推進は、ボッシュにとって競争力を高めるための重要な経営戦略である。ボッシュは、人種、性別、年齢、国籍、宗教、障がい、性自認、性的指向などにかかわらず、他者を受け入れ、機会均等と多様性の尊重を積極的に推進する。直近ではLGBTQに関わる取り組みを強化しており、社内にLGBTQ当事者やアライの社内ネットワークが立ち上がり、行動を起こしている。

ユニークな定年再雇用制度:ボッシュには定年を迎えた従業員のスキルを活用する仕組みのひとつとして、Bosch Management Support (BMS) 制度がある。スキル、経験を持った定年退職者と支援を求めるプロジェクト担当者をマッチングさせるプラットフォームがあり、これまで200近くのプロジェクトにBMSの人材が派遣されている。

障害者雇用:ボッシュは、質の高い障害者雇用を実現するため、2017年末に業務サポートセンターを設立した。ここでは、主に精神・発達障害を持つ人を積極的に採用している。精神・発達障害を持つ人は、社会的な偏見や雇用義務化の遅れにより就業率が、身体または知的障害を持つ人より著しく低い(厚生労働省「平成29年障害者雇用状況の集計結果」)。また、離職率が高く、統計によると、精神障害者の半数が、1年以内に離職している(厚生労働省「障害者の就業状況等に関する調査研究2017年」)。このように精神・発達障害を持つ人は就業が困難な状況にあるが、ボッシュの業務サポートセンターでは、英語、エンジニアリング、医療など専門的な知識や技能を持つ多様な人材が社内の100以上のプロジェクトを受託し、活躍している。業務サポートセンターの設立以来、20名以上の精神・発達障害を持つ人を雇用し、現在まで離職者は出ていない。業務サポートセンターでは、管理者全員が企業在籍型職場適応援助者という障害者雇用の専門資格を持っており、その中には、精神・発達障害の支援に関する国家資格、精神保健福祉士を持つ者もいる。こうした専門知識を持つ管理者が個々の従業員の労務管理とキャリア開発を手掛けており、さらに、管理者から課員へ積極的に権限移譲を行っている。新規採用の一部も権限委譲することで、コミュニケーションスキルの向上や後進育成を促進している。こうした施策がボッシュでの高い職場定着率につながっている。今後は、法定雇用率の確保にとどまらず、全社生産性向上への貢献、従業員のキャリアアップへ向けた制度の整備に取り組んでいく。

ボッシュ・グループ2019年の見通し:気候変動対策と大気質対策

「ボッシュは、2019年の世界経済の成長は限定的なものと予想しています。ボッシュにとって重要な産業や地域が困難な状況にありますが、今年の売上高は2018年の水準をわずかに上回ると予測しています。ボッシュ・グループは短期予測に左右されることなく、気候変動対策に取り組み、大気環境を改善するための努力を強化しています。 気候変動は、SFの世界の話などではなく、実際に起こっていることです。私たちがパリ協定に真剣に向き合おうとするのであれば、気候変動への対策を単なる長期的な願望と捉えないことが重要になります。つまり、今すぐに対策を講じる必要があります」。ボッシュ取締役会会長のフォルクマル・デナー氏は年次報告記者会見においてこのように述べ、さらにこう続けた。「私たちはまた、都市の大気環境の改善を求める声に応えるべく、さまざまな活動に取り組んでいます。私たちはイノベーションリーダーとして、環境保全問題に対する技術的なソリューションを提供していきたいと考えています」

 これが、一方で、ボッシュがすでに成功しているCO2排出量削減の取り組みを強化している理由。 「ボッシュは、野心的な目標を1年あまりで達成する初の大手企業となります」とデナー氏は述べました。また、ボッシュは大気質に関しても野心的な目標を掲げている。「私たちは、道路交通に起因する大気汚染をほぼゼロに抑えたいと考えています。これを実現するために、私たちは車両に起因するものだけでなく、さらにその先を見据えています」と、デナーはさらに続けた。この取り組みは、3本の柱で構成されている。それは、汚染物質の排出量が少ないパワートレイン技術を開発すること、交通が滞りなく流れるよう、地方自治体と協力しながらプロジェクトに取り組むこと、ボッシュの各拠点にモビリティ管理システムを導入することだ。

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