外出自粛が重要な今日この頃。自宅でのテレワークへ切り替えた人の中には、パソコンやネット環境、ビデオ会議用のヘッドセットなどを急ごしらえで揃えた人もいるだろう。しかし、いざ実践してみて不満に思うところがある……例えば「椅子が合わない」とか。REPORT:今 総一郎(ニューモデル速報編集部)
新型コロナウイルスへの感染を防ぐために、編集部は3月末からテレワークへの切り替えが始まった。そもそも編集作業はテレワークとの相性が良く、パソコンとwi-fiさえあれば、世界最後の日でも新車の記事を作成できるだろう。
さて、あれは今回の騒動の1年前……。
ワタシはテレワークを想定したデスク環境の整備に着手していた。ノートパソコン(自腹)やタブレット端末(これも自腹だ)、23.7インチの4Kディスプレイ(もちろん自腹だ)などを揃え、あとは実戦で調整しようと考えていた。
しかし、あれから1年で、ここまで世界が一変するとは……。
とはいえ、テレワークへのシフトは目論み通りスムーズに完了した。
ところが、テレワークが始まって約1カ月。
とりあえず用意した“予備校の自習室にあるような椅子”に不満が募ってきた。長時間座っても疲れない椅子を買おうと思うのだが、ネットで評判のブランドのオフィスチェアをまったく座らずに購入するのは、流石にハードルが高い。
そこで注目したのが、クルマのシートだ。職業柄さまざまなクルマに乗る機会には恵まれているのだが、走行性能や快適性を語るよりも前に、シートに座った瞬間に「これは!」と思わせるクルマがある。
なかでも印象に残ったのは「トヨタ・センチュリー」の後席だ。
後席はウレタン層の下に金属ばね(前方にSばね、後方にコイルばね)が仕込まれており、振動や揺れを乗客に意識させないほどゆったりと寛げる。リクライニングやオットマン、アームレストの高さに至るまで、見事に調律されている。オプションで本革を選べるのだが、個人的には「瑞響」と名付けられたウールファブリックの方が、肌触りが優しくて心地良かった。
しかし、「センチュリー」のシートはゆったり寛ぐなら最高峰だが、緊張感を持ってデスクに向かうには、もう少しタイトな方が良い。そこで気になったのが、「日産・ルークス」の前席だ。
「ゼログラビティシート」と銘打つシートは、背もたれを中間で折ることで脊椎のカーブに沿って体幹を支えてくれるため、身体がスッポリと絶妙な具合で収まるのだ。プレミアムグラデーションインテリア選択時に備わる合皮/トリコット仕様の場合、張りのあるレザーがしっかりと身体をサポートする一方で、トリコットを用いた座面はお尻と腰が体型に合わせて適度に沈み込む。走行中の不快な振動が一点に集中することなく全体で分散されるため、競合車と比べても快適性は頭ひとつ抜きん出ていると感じた。
しかし、これらを上回るシートとして注目したいのが「ホンダ・フィット」だ。特に「LUXE」グレードの本革シート(前席)の出来栄えは秀逸だった。
支持構造を従来のSバネから樹脂製マットをワイヤーで吊す方式に変更したことで骨盤を面でサポートしつつ、ウレタンのソフト化も達成。さらに、座面フレームの両脇に樹脂製インナーカバーを設け、骨盤を左右からもサポートする。そして極めつけは、柔らかなヘッドレストだ。
外出自粛中は、たとえクルマであっても不要不急の外出は控えなければならない。しかし、せめてシートだけでもオフィスチェアとして使えればと思う。再び外出できるようになれば、そのシートをクルマに戻して好きな所に行ける。まさに一石二鳥だ。
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