バブル最盛期の1989年、突如としてデビューした初代レガシィ。その卓越したグランドツーリング思想は連綿と歴代モデルに受け継がれ、我々クルマ好きを魅了してきた。そして2014年には、その後継モデルとしてレヴォーグが登場し、現行型レガシィからはツーリングワゴンがラインナップから消えた(現行型はアウトバックのみ)。
もう間もなく、新型レヴォーグが登場するのだが、レガシィツーリングワゴンの残した功績とはいったいなんだったのか? 初代~4代目まで乗り継いだ国沢光宏親方に改めて歴代モデルをイッキ乗りしてもらい、再試乗レポートをお届けする!
ハイパフォーマンスに酔いしれる…のも今のうち? 100万台で買える内300馬力オーバーの中古名車たち
国沢光宏親方が、歴代モデルをイッキ乗りする!
※本稿は2020年5月のものです
文/国沢光宏、永田恵一
写真/茂呂幸正
撮影協力/(株)アクレ(http://www.acre.co.jp/)、CTI(TEL:042-516-8306)
初出:『ベストカー』 2020年6月10日号
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■どれも思い出深い! 当時のスバル好きの心を思い出す(TEXT/国沢光宏)
私世代のクルマ好きに「スカイライン」を語らせたら、皆さんウンチクで激しく盛り上がる。私らの先輩世代だと「クラウン」だった。そしてベストカーの読者諸兄の世代なら「レガシィ」だと思う。1989年のデビューから、4代目の販売を終了した2009年までの20年間、クルマ雑誌にとってレガシィ情報は必ず人気ページになるキラーコンテンツでしたから。
私もレガシィの原稿を途方もないほど書いた。特に多かったのが、2代目のマイナーチェンジモデルから、4代目のB型まで。もちろん初代~4代目まですべてのモデルを買いました。
今や苦言ばっかり呈していることもあり、「スバルの敵」とまで思われている私ながら、当時は同業者で一番スバル好きだと言われていたほど。そんなことを歴代レガシィを目の前にした途端、思い出した。
ちなみに初めて初代レガシィと遭遇したのは、発売2年前の1987年。当時、技術面で時代遅れになり、危機的な状況になったスバルを立て直すべく、副社長で勇退した荒澤紘一さんや、3代目の責任者になる桂田勝さんなど課長級のサムライたちが立ち上げたプログラムでしたね。テストドライバーだった辰己英治さんと一緒に本社工場横の小さいオーバルを走ったことを思い出す。
■初代
1980年代中頃、スバルはいすゞと同じくらい暗くてイケてないメーカーだった。スバルの主力モデルであるレオーネのエンジンなんか、戦後すぐに設計されたOHVである! 押っ取り刀でOHC化してターボ付けたけれど、120psがやっと! ABSも安いシステム使ったもんだから、止まらない。スバルのサムライたちは新型にすべてをかけたんだと思う。
新しい4バルブツインカムエンジンを開発し、電子制御カップリング4WDにキッチリ曲がるサスペンションを組み合わせ、雪道だってガッツリ止まる世界最先端の4チャンネルABSまで採用してきたのだった! 1989年の初期型こそエンジンが賑やかだったり、パワステの制御に問題出たり(速度上がると突如重くなった)したものの、折しものステーションワゴン人気に乗って大ヒット!
今回試乗したモデルはマイナーチェンジした後期型。29年前のクルマと思えないほどコンディションよく、そして案外パワフル! 考えてみたら私も初期型の「GT」(マニュアルしかなかった)を16年間くらい持ってました。やがて220psの「RS」を追加し、サムライのひとりであるSTiを立ち上げた久世隆一郎さんはWRCに投入! スバル大躍進が始まるのだった。
初代は生まれ変わったスバル、2代目で正常進化、2代目後期で成長著しいという印象
初代は「スバルの4WDは曲がらない」という悪評を覆し始めたモデルで、初代インプレッサのベース車となったモデルだった
■2代目
初代の成功を受け開発された2代目はプラットフォームこそ改良型ながら、インプレッサ用に開発した進化版EJ20をさらにツインターボ化し、250psというクラス最強のエンジンを搭載してきた。すでに三菱「ギャランVR-4」とのパワー競争に突入しており、ライバルの240ps以上にしたかったワケです。オリビエ・ブーレイによるデザインや、乗り心地の改善などで、高い評価を得た。
しかし、開発担当者の土屋孝夫さんは超イケイケだった! マイナーチェンジで280psまでパワーアップ! さらにビルシュタイン(当時は手作り生産。ホンモノのビルシュタインです)も採用してきたのだから驚く! 2代目後期型はスバルにとって超絶ヒットとなり、信じられないことにモデル末期で月間最高販売台数を記録。私は後期型の「250T-B」を買いました。
■3代目
土屋さんに代わり、初代からレガシィと関わってきた桂田さんが開発責任者になる。桂田さん、アメリカでは「ミスターレガシィ」と呼ばれています。世界的に衝突安全性が厳しくなり、それに対応するためボディ重量も重くなってしまう。また、乗り心地の上質さを追求するため、リアサスをマルチリンクにバージョンアップ。クルマ全体の質感にもこだわった。
改めて3代目に試乗すると、2代目と比べ、クルマとしての完成度は明らかに高くなっている。全面的な改良を受け、レスポンスのよくなったツインターボは、重くなった車重を意識させない走りを見せてくれる。また、毎年行った年次改良でクルマの完成度が上がっていき、最終モデルは日本車離れしたハンドリングと上質さを持つGTカーに仕上がった。
3代目も正常進化だったが、追加された6気筒エンジンなどにも後押しされてプレミアムカーを目指し始め、4代目でその勢いは頂点に達した
マッキントッシュのオーディオは3代目から登場。最初はカセットテープだった
■4代目
歴代レガシィで、というより日本を代表する名車だったと思う。初代レガシィを立ち上げたチームの荒澤さんは開発のTOPになっており、理想を追求! 徹底的な軽量化に取り組み、インテリアだって迷ったら「いいほうを選べ」。ボディ外板まで塗装品質を向上させるべく平滑な素材を選んでいる。今でも「4代目から乗り替えるクルマがない」という人がいるけれど、100%同意します。
4代目は生産中止になってから10年経つけれど、基本設計いいため頑丈! 今回試乗した個体は2004年モデルだったが、今のクルマたちと比べたってまったく遜色ないばかりか、一体感あって「超いいね!」。ハンドル握っただけでお金かかっているクルマだと感心しきり。デザインだって素晴らしい。私は初期モデルの「GTスペックB」を買った。本当にステキなクルマでした。
■5代目
アメリカ市場を優先した結果、日本のクルマ好きから総スカンを喰うことになる。4世代に渡るレガシィユーザーだった私ですら見た瞬間、買う気を失ったほど。
乗ると悪いクルマじゃないが、大味。マッキントッシュオーディオもなし。ただアメリカで大ヒットを飛ばし、スバルに大きな収益をもたらした。アコードもシビックもカローラも、アメリカを向いた途端、日本じゃ売れないクルマになる。
レガシィツーリングワゴンとしては最後となった5代目のBR型と現行レヴォーグ。日本市場では5代目は不評だったが、北米では圧倒的な支持を得たモデルだった
■現行レヴォーグ
アメリカ車になったレガシィの後継モデルとして位置づけられたのが「レヴォーグ」だ。私は5代目レガシィでスバルに対して”グレて”いたため、かつてのインプレッサワゴンのようにラゲッジスペースの小さいレヴォーグを見て大いに失望したことを思い出す。レガシィはラゲッジスペースが広かったから魅力あった。多くのレガシィファンも私と同じだったようだ。
改めてハンドルを握ると、走りのレベルはモンクなし。そらそうだ。ボディ剛性感高く、ヨーロッパ車と真正面から勝負しても勝てそう。次期型レヴォーグはこの秋にデビューするというが、果たして離れていったスバルファンを引き戻すことができるだろうか? もはやラゲッジスペースは期待しない。クロスオーバーとかあったら面白いと考えます。
4代目レガシィツーリングワゴンの直接的な後継車として登場。1.6Lターボと2Lターボ、アイサイトver.3などを搭載し、現在は完熟の域に達している
■カピバラ永田の2代目レガシィこそサイコーだ!(TEXT/永田恵一)
我が家に最終モデルとなる2代目レガシィツーリングワゴンGT-Bがやってきたのは1998年4月のこと。
私が運転免許を取ったのもあり、「家のクルマを買い換えよう」という話になった。そこで、当時18歳の私は当時それこそWRCメイクス3連覇もあり、初代インプレッサがやたらカッコよく見えたのに加え、スキーエキスプレスにしたいという気持ちもあって一石二鳥のWRX STiバージョンのスポーツワゴンを主張。
しかし、これはMT車のみということで却下になり、一家が当たり障りなく使えるレガシィのATに落ち着いた。
レガシィツーリングワゴンは当時本当に輝いていた。キャリアとスタッドレスタイヤでスキーエキスプレスにもしたが、写真の時だけだったような気もする
誰でもそうだと思うが、当時は現在40歳の私とはいろいろな意味で別人のようにクルマに対するエネルギーがあったうえに、ガソリンが安かったのもあり、このレガシィに乗りまくり、「レガシィは遠くに行っても楽だなあ」などとわかったようにグランドツーリングを堪能した。
コイツとの別れは突然で、27歳の時に自分のミスで起こした追突事故で廃車に。しかし、コイツはクルマの最後の仕事のひとつといえる「守る」という使命をシッカリとまっとうし、私はケガをすることもなく、今無事に仕事ができている。だから今生きているのは「BGに守られた命」であり、たまに思い出すと涙が止まらないのだ。
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