5月22日15時にスタートを迎えたスーパー耐久シリーズ2021 Powered by Hankookの第3戦『NAPAC富士SUPER TEC 24時間レース』。7台が参戦した最高峰ST-Xクラスは続々とマシントラブルやアクシデントが相次ぐなか、2018年、2019年と富士24時間を2度を制したGTNET MOTOR SPORTSが走らせる81号車 DAISHIN GT3 GT-R(大八木信行/⻘木孝行/藤波清斗/坂口夏月)が総合優勝を手にした。
GTNET MOTOR SPORTSにとっては2年ぶりの富士24時間制覇。同チームとのコラボレーションによって、昨年スーパー耐久に復帰したTeam DAISHINにとっては初の富士24時間制覇となった。
【順位結果】スーパー耐久シリーズ2021 Powered by Hankook 第3戦富士SUPER TEC 24時間レース
通算6回目、2018年よりスーパー耐久の一戦として開催されてからは4回目となる2021年のNAPAC富士SUPER TEC 24時間レースは、スーパー耐久シリーズ2021 Powered by Hankookの第3戦として開催された。
9クラス全51台と、富士24時間としては過去最高台数となったほか、世界初の水素エンジン搭載レーシングカー『ORC ROOKIE Corolla H2 concept(トヨタ・カローラスポーツ)』や、ディーラーで買えるレーシングカー『BMW M2 CSレーシング』の参戦。さらには小林可夢偉、ジュリアーノ・アレジなどが初参戦となるなど、開幕前から話題の多い大会となった。
21日に予定されていた公式予選が悪天候のためキャンセルとなり、決勝グリッドは第2戦スポーツランドSUGOまでのシリーズランキング順で決定され、ポールポジションはST-Xクラスの777号車 D’station Vantage GT3(星野敏/藤井誠暢/近藤翼)となった。
翌22日15時、気温17度、天候は曇りというコンディションのもと、大きな混乱もなく決勝レースはスタートを迎え、全51台の過酷な24時間の戦いが開始された。
5番手スタートとなった9号車MP Racing GT-Rはプラチナドライバーの松田次生がスタートを担当。松田はチームの期待に応えるスタートダッシュを決め、2周目に2番手まで浮上すると、8周目のTGRコーナーで777号車 D’station Vantage GT3をかわしトップに浮上する。そして松田の背後には6番グリッドからポジションを上げた999号車 CARGUY NSX-GT3のケイ・コッツォリーノが接近する。
レース開始から54分が経過したところで、デブリの回収のために、1回目のフルコースイエロー(FCY)が導入された。約1分でFCYは解除されたが、その17分後に、またもやデブリの回収のため2回目のFCYが導入される。
その2回目のFCY導入直前となった41周目に290号車 Floral UEMATSU FG 720S GT3が最初のルーティーンピットに入っており、290号車はここで大ききなマージンを得ることに。ST-Xクラスの全車が最初のピットストップを終えると、290号車 Floral UEMATSU FG 720S GT3の井出有治が、2番手に40秒近い大きなマージンを築いてトップへ浮上する。
レース開始から2時間18分で迎えた74周目、777号車星野敏がトヨペット100Rコーナーでクラッシュ。これにより3回目のFCYが導入された。777号車は大きなダメージを負ったが、ピットまで自走して戻り、ガレージへ。メカニックによる懸命な修復作業により、コース復帰を果たすこととなる。
18時35分にナイトセッションを迎え、20時からはNAPAC富士SUPER TEC 24時間レース恒例となっている花火も打ち上げられた。そんな花火の打ち上がる中、31号車 LEXUS RCF GT3が駆動系のトラブルにより、ダンロップコーナーのエスケープゾーンでストップしてしまう。これにより、このレース4回目のFCYが導入された。
夜も深まった22時32分、トップ290号車から2周遅れの総合3番手を走る9号車 MP Racing GT-Rがダンロップコーナー進入で他クラスのマシンをかわす際に接触し、イン側のガードレールに接触。左フロントタイヤが外れ、ボディにもダメージを受けてエスケープゾーンでストップしてしまう。これにより6回目のFCYが導入されたが、FCY導入8分後にセーフティカー(SC)に切り替えられた。
セーフティカーは23時1分に解除されレースは再開されたが、その直後、1周差で総合首位を追う2番手999号車 CARGUY NSX-GT3に対し、走路外からの追い越しがあったと判定が下され、ドライブスルーペナルティが課せられることに。
これで290号車のポジションはより強固なものとなったかと思われた矢先、今度は290号車が1時31分にセクター2でマシンの電源がシャットダウンしてしまうトラブルに見舞われ、コースサイドにストップしてしまう。ドライバーの川端伸太朗は再スタートに成功するが、約20秒タイムを失ってしまう。
それでも、ライバル勢に比べて1周以上のリードを築いており、実質のトップを守っていた290号車だったが、2時20分にピットでの作業違反により、60秒間のペナルティストップが課せられる。これでほぼ1周分となる1分40秒弱のタイムを失うことに。
ペナルティを消化し、見た目上は3番手のままコースに復帰した290号車だったが、2時30分ごろ、またもやマシンの電気系がシャットダウンするトラブルに見舞われ、GRスープラコーナーイン側のグリーンにマシンを止めてしまう。その後、リペアエリアでの修復を強いられることになり、優勝争いからは戦線離脱となってしまう。
これで優勝争いは81号車 DAISHIN GT3 GT-Rと、1周遅れで2番手に続く999号車 CARGUY NSX-GT3の2台となった。
夜明けを迎えた4時45分には、ST-Xクラス6番手を走行していた31号車 LEXUS RCF GT3のフロントから出火。ドライバーの嵯峨宏紀は、コカ・コーラコーナーのエスケープゾーンにマシンを止めた。これでこのレース2回目のセーフティカー(SC)が導入されることに。
5時50分、2番手を走行していた999号車CARGUY NSX-GT3が12回目のピットストップを終えたが、その2周後の468周目に思わぬ事態を迎える。GRスープラコーナーを走行中に左リヤタイヤが外れ、エスケープゾーンで身動きが取れなくなったのだ。このアクシデントで999号車はリペアエリアでの修復を強いられることになり、勝負権を失うことに。
そして、レースは見た目には大きなトラブルやペナルティがない、81号車 DAISHIN GT3 GT-Rが大きくリードすることに。
その後も81号車は淡々と、そして確実に周回を重ねた。レースも残り1時間を切った14時5分に19回目のピットに入ったかと思いきや、そのままガレージイン。終盤に来てトラブル発生かと思われたが、余裕を持ってゴールするためのチェックであった。また、その際にドライバー交代を実施し、Team DAISHINのオーナーである大八木信行がチェッカードライバーとなった。
なお、チェックのためガレージインしたものの、総合2番手で続くST-1クラスのシンティアム アップル KTMに対し35周、同じST-Xの2番手777号車には42周のギャップを保つ圧倒的なリードを築いていた。
レースは23日15時にチェッカーが出され、763周を走破したDAISHIN GT3 GT-Rがトップチェッカーを受けた。ST-Xクラスにトラブルやアクシデントが相次いだことで、ST-Xクラス2位の777号車 D’station Vantage GT3は総合5位、クラス3位の290号車 Floral UEMATSU FG 720S GT3は総合10番手という結果となった。
■次のページへ:クラス優勝7台の、それぞれの戦い
FIA-GT4マシンで争われるST-Zクラスは9台が参戦。クラス3番手からスタートしたENDLESS AMG GT4(内田優大/山内英輝/菅波冬悟/小河諒)が20号車 SS/YZ Studie BMW(山口智英/荒聖治/坂本祐也/JP・デ・オリベイラ)に40秒のギャップを守りきり、724周目のチェッカーを受け、今季初勝利を手にしている。
今季第2戦までは75号車 おとぎの国 CIVIC TCR(塚田利郎/蘇武喜和/霜野誠友/芳賀邦行/久保正孝/清瀧雄二)の1台のみのエントリーだったST-TCRクラスは、97号車 Racer Honda カーズ桶川 CIVIC(遠藤光博/中野信治/小出峻/澤龍之介/原田健太)が参戦したことで待望の競争が叶った。ホンダ・シビック・タイプR・TCR同士の一騎打ちは、お互いにトラブルやペナルティが発生するも、97号車が13周のギャップを残してトップチェッカーを受けた。
賞典外のST-QクラスはROOKIE Racingの手で2台がエントリー。お馴染みの28号車 ORC ROOKIE Racing GR SUPRAとともに、水素エンジンを搭載した32号車 ORC ROOKIE Corolla H2 conceptが参戦し、大きな話題となった。ORC ROOKIE Corolla H2 conceptは35回のピットイン、3時間に及んだ修復作業などを挟んだが、358周を走りきり、モータースポーツの、自動車の歴史に新たな1ページを刻んだ。ST-Qクラスは2台とも完走を果たしている。
ST-1クラスは序盤からリードを築いた2号車 シンティアム アップル KTM(飯田太陽/加藤寛規/小林崇志/吉本大樹/高橋一穂)がST-Zクラスの全車を周回遅れにし、総合2番手となる728周を走破している。
7台が参戦したST-2クラスは、7号車 新菱オート☆VARIS☆DXL☆EVO10(藤井芳樹/成澤正人/安斎景介/今井慎吾/渋谷彰良/奥村博文)が今季初優勝。一時は6号車が2番手に続き、シンリョウレーシングチームのワンツーかと思われたが、クラス2位には今大会にスポット参戦となった24号車 GV Race Analytics GR YARIS(大谷泰宏/川村克透/林健一/山崎元彰)が続いている。
ST-3クラスはHELM MOTORSPORTS LEXUS RC 350(平木湧也/平木玲次/高橋知己/松澤亮佑)が強さを見せつけた。なお、クラス6番手でチェッカーを受けた52号車 埼⽟トヨペット GB クラウンRS(服部尚貴/吉田広樹/川合孝汰/番場琢)は24時間の間に2度、エンジン周りのトラブルに見舞われ、その都度エンジン交換を実施。1レース中に2度のエンジン交換を行うという離れ業を見せている。
ST-4クラスは、開始早々に310号車 GRGarage⽔⼾インター GR86(坪井翔/細川慎弥/堀尾風允/久保凜太郎/鈴木宏和)が白煙をあげ、エンジン交換を実施。そんななか、18号車 Weds Sport 86(浅野武夫/藤原大暉/芝叔和/松井宏太/普勝崚/中島佑弥)がトップチェッカーを受けて富士24時間初優勝を飾った。なお、浅野レーシングサービスにとって車両をトヨタ86に変えてから初めての勝利となる。
ST-5クラスは12台がエントリー。2番グリッドスタートの456号車 odula Star5 Roadster(橋本陸/貫戸幸星/大崎達也/小原康二/勝木崇文/加賀美綾佑)が、同じくOVER DRIVEから参戦する66号車 odula TONE MOTULロードスターと終始バトルを繰り広げた。終盤も数秒差の中で接近戦を展開。最終ラップにその差は0.210秒まで縮まる激しいバトルが繰り広げられたが456号車 odula Star5 Roadsterがクラス優勝、66号車 odula TONE MOTULロードスターが2位に続き、OVER DRIVEのワンツーフィニッシュとなった。
スーパー耐久シリーズ2021 Powered by Hankook、次戦となる第4戦『TKU スーパー耐久レース in オートポリス』は7月31日~8月1日に大分県のオートポリスで開催される。
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みんなのコメント
今頃なんだこの記事は、各社メディアは豊田にだいぶ金をつまれたのか、もりぞうの水素カローラなんかどうでもいいんだよ!24時間真剣勝負をしている中、お坊ちゃんが試走すること自体迷惑。LEXUS RCFもクラウンも出火。で、スープラはどうだった、くだらんトヨタの提灯担ぎをしすぎると、優勝を争ったメーカー、その他チームにあまりにも失礼だ。「DAISHIN GT3 GT-Rが総合優勝」は最初に賞賛し、一番先記事にすべきだ。
ヤリスも燃えたしトヨタはよく燃えるね。流石リコール王!
レースする前に車の完成度上げないと駄目だよ。