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「いい軽を創ろう」誕生から20周年を迎える人気軽「三菱eKワゴン」の足跡

多くのバリエーションも用意された人気モデル

 三菱自動車と言えば、アウトランダーやエクリプス クロスといった、三菱自慢の4WDシステム「S-AWC」を備え、PHEVを主力とするSUVが人気だ。さらには、ミニバンの皮をかぶったSUVと呼んでいい、悪路にもめっぽう強い3列シートミニバンのデリカD:5がすぐに思い浮かぶ。だが、じつは軽自動車の分野でも長い歴史を持つ自動車メーカーなのである。

【三菱eKワゴン・eKクロス試乗】軽自動車のイメージを一新した高質感な走りと内外装

初代(2001-2006)

「いい軽を創ろう」という願いを込めて誕生した

 今では日産とのアライアンスでeKワゴン、eKクロス、eKスペース、eKクロス スペースといった完成度の高い軽自動車をリリース。とくにクロスの名前が付くモデルは、三菱自動車らしいクロスオーバーテイストをまとった、アウトドアなどにぴったりな軽自動車として人気が高い。

 そんなeKシリーズが誕生したのは、今からちょうど20年前の2001年。つまり今年で発売20周年を迎えたことになる。eKのネーミングの由来は長く愛される“いい軽”(いいけい)を創ろうと発足した、開発部門のeKプロジェクトから命名されたもので、excellent K-carの意味もあるという。

 初代モデル(2001-2006)には基本のeKワゴンのほか、三菱のスポーツスピリッツを取り入れたeKスポーツ、クロスオーバースタイルのeKアクティブ、そしてエレガントなeKクラッシィというバリエーションが揃っていた。そして2003年には、早くもシリーズ累計20万台を達成している。

2代目(2006-2013)

初代からパワートレインなどを流用しつつ実用性をアップ

 2代目は2006年に登場(2006-2013)。パワーユニットや足まわりは初代からのキャリーオーバーで、エクステリアのイメージもまた大きく変わらない。だが、それまでのコラムシフトからインパネシフトにあらためられ、軽乗用モデル初の左側リヤパワースライドドアを設定したことが大きな話題となった。軽自動車としては贅沢すぎる、オーディオのハイグレードサウンドシステムを用意したのもこの代からである。

3代目(2013-2019)

日産のノウハウも盛り込んで質感を大きく高めた

 そして2013年に3代目となるのだが(2013-2019)、最大のニュースは日産との合弁会社NMKVを設立したこと。新型eKシリーズは、企画は合同、デザインはコンペ、ハードウェアと生産は三菱が担当して誕生することになったのだ。

 もちろん、先代eKワゴンとオッティ(OEM車)の関係のように、日産版としてデイズも存在する。エクステリアデザインはさすがに新鮮で、eKワゴンの顔つきは上質感たっぷり。カスタムはミニバン的な迫力さえ備えていた。

 トリプルアローズラインと呼ばれる、3本のプレスラインが入った立体的な質感を持つサイドビューこそが、平板なサイドビューのライバルとの大きな違い、優位性でもあった。

 インテリアもまた、三菱と日産のコンペで勝ち上がり、採用されたデザインだけに軽自動車らしからぬ上質な雰囲気、クラス最上級の質感が漂う空間だった。

 当時の試乗メモを引っ張り出せば、「先進的なタッチパネル式オートエアコンパネルの採用もさることながら、インパネまわりの表皮のシボはソフトパッドと勘違いするほど。本革巻きステアリング装着グレードだと、軽自動車に乗っているとは思えない錯覚に陥ってしまったぐらいである」

「パッケージもまったく新しく、ホイールベースを先代比で90mm伸ばし、そのすべてを後席居住空間に当てている。ゆえに170mmスライドする後席の居住スペースは文句なく広く、身長172cmの筆者のドライビングポジションの背後に座れば、デリカD:5の2列目席に匹敵する約270mmもの膝まわり空間が確保されていた」とある。

 走りのリポートでは、「eKワゴンのGグレードで走り出せば、ドラポジはミニバン的に高く視界は爽快。電動パワステは軽く扱いやすい設定だ。だが、新しいNAエンジンは低速トルクがやや物足りず、3気筒感ある音、振動、高回転まで回したときのノイズがちょっと気になる。しかし足まわりは文句なし。乗り心地は三菱軽の特徴でもある、やや硬めのタッチが基本だが、荒れた路面や段差を走破してもショックは丸く収められ、足がバタつくことがなく快適感は上々のレベルだ」

「街なかでブレーキを踏み、停止したときのふわりと停まる優しい挙動も褒められる。カーブや高速走行での安定感も抜群だ。前輪の接地感が絶妙で、ロールは最小限。パワステは約55km/hからズシリと引き締まり、100km/h巡行時の安心感安定感はクラス最上級レベルだ。回すとうるさいエンジンも、巡行時は副変速機付きCVTによって回転が低く抑えられるからそこそこ静か。山道を積極的に走っても穏やかな操縦性、ごく自然なパワステの操舵感に加え、4輪の確かな接地感とリヤの踏ん張り感が素晴らしく、パワーはともかく思いのほか気持ちいい走りが楽しめる」というメモが残っている。

 なお、2014年には今ではめずらしくない、減速時の運動エネルギーで発電した電力を電池に蓄え、電装品に供給する「アシストバッテリー」を一部グレードを除いて追加している。

4代目(2019~)

SUVテイストを強調した「クロス」など三菱らしさ全開

 そして2019年、現行モデルの4代目eKシリーズが登場。およそ6年ぶりの新型だが、三菱と日産の合弁会社NMKVが企画し、三菱の水島工場で生産されるところまでは先代と同じだが、今回は日産がいちから開発した。三菱の軽自動車づくりのノウハウと、日産の先進技術が融合したeKワゴンに生まれ変わったことになる。

 大きな特徴は標準車に加え、三菱らしいSUVテイストあるクロスオーバーモデル、eKクロスを登場させたこと(日産のデイズにはないグレード)。その顔つきは新型デリカD:5にも共通する三菱のフロントデザインコンセプト“ダイナミックシールド”を採用している。クラスを超えた迫力みなぎるそのフルタイム4WD版は、まさに軽自動車のデリカだ(155mmの最低地上高は標準車と同じ)。

 また、日産のプロパイロットに相当する先進運転支援機能、渋滞追従機能付きACCを含むMI-パイロットを用意したことも一大ニュースである。しかし、注目すべき点はそこだけにとどまらない。先代に対する走りのレベルアップは特筆モノで、とくに先代までのeKシリーズ&デイズの不満点だったNAモデルの動力性能が向上したことが極めつけのポイントである。

 まさに、軽自動車の枠を超えた上質かつ先進的で走りも素晴らしい軽自動車が、発売から20周年を迎えた今のeKシリーズなのである。「いい軽」というコンセプトは、20年というときを経て進化を重ね、完成の域に達したとも言えそうだ。

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