フィアット「500」のボディを使用したシュタイア・プフ製
一見フィアット「500」に見えるけれど、よく見るとフロントまわりなどが微妙に異なっているモデルを発見。オーナーの井上稔章さんに尋ねてみると、このクルマはオーストリアの「シュタイア・プフ(Steyr-Puch A.G.)」社が、500のボディを使用してライセンス生産した、1968年式のシュタイア・プフ「650TR」でした。この貴重なモデルを見ていきます。
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ザルツブルクのモーターショーに出品されていた個体
これはボディこそほぼフィアット製を使用しているが、フィアットの直列2気筒エンジンに対し水平対向2気筒エンジンが搭載され、トランスミッションもオリジナルの4速MTが搭載されるなど、機能面ではシュタイア・プフ社独自のものが採用されているモデルだ。
井上稔章さんが所有している「650TR」は、当初の643ccから660ccまで排気量が拡大されパワーもアッしているモデルとなっているそうだが、なぜフィアット「500」ではなく、生産台数も少なくパーツの入手なども困難しそうな、シュタイア・プフを選んだのだろうか?
「僕、へそ曲がりですから。最初はジャンニーニを探してたんです。水平対向4気筒が載っているモデルがあったんですけど、2台しか製作されてなくてミュージアムにしかなかったんで諦めました。そんななかでシュタイア・プフを知って、それで追いかけはじめたんです。ネットで探していたんですけど、これはザルツブルクのモーターショーに出品していたクルマなんですよ。その映像を観て間違いないなと思って、これを買うことにしたんです」
500とはエンジニアリング的にまったく異なる
実車を直接見ることもなく購入した井上さんだが、実際に手に入れてから気づいたことも多いのだという。
「オーストリアはドイツ圏なので、エンジニアリング的にも500とは違うみたいですね。足の取り付け位置や、電気関係のコネクターから何もかも違うみたいです。メカの人からも、クリアランスの取り方がフィアットみたいなイタリアの考え方とはまったく違って逃げが無いつくり方をしていると聞きました。この間ドライブシャフトを交換するのに抜いたんですけど、デフの納まりが500では考えられないというか、精度がすごいみたいなんです」
日本語で情報交換がしたい…
ところで、日本ではなかなか見ることないシュタイア・プフを維持していくなかで、何か苦労などをしている点はあるのだろうか?
「やっぱりくたびれている部品はあるので、リフレッシュするための部品収集には苦労してます。ただ、オーストリアに部品商があるので、翻訳ソフトを使ってドイツ語でやりとりしています。今後はまずちゃんと走るために、ブレーキ直してクラッチ直していきたいです。あとは仲間を増やして情報交換したいですね」
>>>2023年にAMWで紹介されたクルマを1冊にまとめた「AMW car life snap 2023-2024」はこちら(外部サイト)
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