この記事をまとめると
■いま半導体などの不足により、新車の納期遅延が深刻だ
長すぎる納車待ちの間に別の新型車がデビュー! 注文を変更することは可能なのか?
■なぜこのような状況下でもメーカーはモデルチェンジや新型車を発表をするのだろうか?
■簡単には予定を変更できない事情があるという
新型車の発売スケジュールの延期が目立つ
最近は新車の納期が延びている。通常は在庫車でなくても、注文して1カ月から2カ月で納車できるが、今は6カ月から1年を要する車種も多い。新型コロナウイルスとロシアのウクライナ侵攻により、半導体を始めとするさまざまな品目の供給が滞り、クルマの納期を遅らせた。
この影響で新型車の発売スケジュールも延期が目立つ。たとえば新型日産セレナなど、本来なら2022年の8月から9月頃にデビューしていたはずだが、発表されたのは11月28日だ。納車を伴う発売はその後で、ノーマルエンジン車が12月下旬、e-POWERは2023年の春になるという。
ほかの新型車についても、発表や納車を伴う発売は、多かれ少なかれ遅れている。クラウンクロスオーバーでは、「アドバンスト」の名称が付くグレードは先に生産を開始して、それ以外は2023年だ。CX-60なども含めて、パワーユニットやグレードに応じて、生産の開始に時間差を設ける車種が増えた。
この点について開発者は、以下のように説明した。「全グレードの生産を同時に開始すると、生産速度が下がり、納期が全般的に遅れてしまう。特定のグレードや仕様を早めることで、納車を迅速に開始できる。納期を重視するお客様には、生産開始の早いグレードを選んでいただく。逆に納車を待てるお客様には、ご自分にピッタリな仕様を選んでいただける」。
簡単には予定を変更できない事情も
販売店からは次のような話も聞かれた。「通常であれば、売れ行きを増やすためにも、フルモデルチェンジや改良が必要だ。しかし今は納期が遅れてお客様を待たせている。このタイミングでモデルチェンジを行うと、受注を止める期間がさらに長引くから、納期がますます遅れてしまう。今はモデルチェンジを抑えて、とにかく可能な限り生産を優先させ、納車できる台数を増やして欲しい」。
確かに今は、納期の遅延を食い止めることが大切だ。仮に納期を遅らせて改良を実施しても、通常とは違って販売台数を大幅に増やすのは難しい。納車を待つユーザーに配慮して、CM放映などの宣伝も控えるから、売れ行きはさらに増やしにくくなる。
それでも実際にはモデルチェンジが行われる。一番の理由は商品力の進化だ。今のクルマでは、安全性、運転支援機能、環境性能の向上が著しい。この分野では競争も行われているから、モデルチェンジを実施しないと、ライバル車から遅れて販売にも悪影響を与えてしまう。
法規や規制への対応もある。改良を実施しないと、売れ行きが下がるだけでなく、生産や販売が不可能になる場合もある。
そして軽自動車や一部の小型/普通車を除くと、今は大半の日本車が海外でも販売される。海外市場の都合に基づいて、改良を受ける場合もある。以上のような事情に基づいて、クルマの開発は複雑に行われている。商品計画として綿密な予定が組まれているから、簡単には変えられない事情もある。
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