現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > これがロータス!? 不格好すぎない?? 路線を間違えた感のある2代目エリートは「自動車変態」には刺さるクルマだった

ここから本文です

これがロータス!? 不格好すぎない?? 路線を間違えた感のある2代目エリートは「自動車変態」には刺さるクルマだった

掲載 14
これがロータス!? 不格好すぎない?? 路線を間違えた感のある2代目エリートは「自動車変態」には刺さるクルマだった

 この記事をまとめると

■ロータスには1957年に登場した「エリート」と呼ばれる名スポーツカーがあった

チャリになってもやっぱりスーパーだわ! スーパーカーの名前を冠した自転車が想像以上にガチ勢だった

■2代目「エリート」が登場しているが、シューティングブレーク風の初代とはまったく違う姿だった

■フル4シーター車で、車重は1tという高級GTとも呼べるパッケージングとなっていた

 これがあのロータスなんですか!?

 手元の英和辞書によれば、エリート(elite)とは「1.(社会的階級としての)上流階級[階層]  2.(集団のなかから選ばれた)精鋭、選良 3.(影響力のある)エリート[支配]層」という意味であるとのこと。

 1957年に登場した2シータークーペ「初代ロータス・エリート」は、上記1や3の「上流階級」「支配層」といったニュアンスではなく、2の「(集団のなかから選ばれた)精鋭、選良」という意味で付けられた車名なのだろう。

 たしかに、レーシングカーである「ロータス・セブン」とともに発表された初代エリートは、モノコックボディにFRP製の流麗なスタイリングを組み合わせ、驚異の空気抵抗係数0.29を実現したということもあり、まさに「精鋭、選良」と呼ぶにふさわしい存在だった。

 それに対して、1974年に登場した2代目ロータス・エリートは……どうにもこうにも「エリート感」にはいささか欠けるクルマであるようにも思える。

 初代エリートは、ロータスとしては初のクローズドボディではあったものの、車重585kgの超軽量2座式ボディに高出力なエンジンを組み合わせ、そのうえで卓越した操縦性を実現させるという、まさにロータスの伝統と美意識にのっとった1台だった。

 しかし、2代目エリートは、いささか不格好と感じざるを得ないフル4シーター車で、車重は1t以上。「……これの、どこがどうエリートなんですか?」と尋ねたくなるシューティングブレークだったのだ。

 ボディ構造的には鋼板バックボーンフレームにFRP製ボディを載せるというエラン以来のもので、ヘッドライトはリトラクタブル式。リヤシートバックの直後にリヤウインドウがあり、荷室は車室内と完全に分離されている。FRPボディも部分的に2重にされており、その間に発泡材を充填することで高い衝突安全性を確保するという、当時としては先進的で意欲的な作りではあった。

 フロントに搭載されたエンジンは最高出力155馬力(欧州仕様)の2リッターDOHC16バルブで、公表されたデータによれば、最高速度206km/h、0-100km/h加速7.1秒。トランスミッションは5速MTでスタートしたが、1975年には3速ATも追加。

 また、「高級GT」という立ち位置であったため、ロータスとしては初めてエアコンやパワーステアリングなどもオプション装備として設定された。1980年のマイナーチェンジでエンジンは2.2リッタ―に拡大され、聞くところによれば全部で2531台が製造されたということだ。

 ロータス セブンと初代エリートで(ある意味)始まり、ライトウェイトスポーツの傑作「エラン」や、漫画『サーキットの狼』でおなじみの「ヨーロッパ」で名を馳せ、そして現代においても「エヴァイヤ」「エミーラ」などの2シーターピュアスポーツを作り続けているロータスがなぜ、重い4シーターの、しかも不格好な(?)モデルを「2代目のエリート」としてわざわざリリースしたのか?

 それは結局のところ、ロータスは1970年代半ばに「事業の多角化」を目指したということであり、そして結果として失敗した──ということなのだろう。

 これはこれでいいじゃないか!

 筆者は当時のロータス社の経営事情など知る由もないが、「まぁ2シーターのピュアスポーツ路線はそれはそれでいいんだけど、それだけじゃ商売ってものはどうしたって頭打ちになるし、世の中では1964年に発売された2+2の『ポルシェ911』が大層売れてるわけだからして、弊社としてもラグジュアリースポーツ路線のビッグウェーブに乗るしかないでしょ!」というような社内会議あるいはコーリン・チャップマンの独断が、おそらくはあったのだろう。

 そして出来上がったロータス初の4シーター車である2代目エリートは、不格好(?)ではあったものの、前述したような意欲的な設計が随所に施されており、先ほどから「?」マーク付きで繰り返されている「不格好」という点についても、じつはそれほど不格好ではないと、個人的には感じている。

 2代目エリートの全体的なフォルムは英国伝統の「シューティングブレーク」を範としつつ、味わい深い変態チックなフォルムを(たぶん)意図的に採用している。その姿形は、たしかに一般ウケはしにくいのかもしれないが、良い意味での自動車変態各位には、じつはかなり刺さりそうなデザインであるとも思うのだ。

 しかし、結果として当時のロータスの「ラグジュアリー路線」は不発に終わり、深刻な経営難を経て、結局はエリーゼに代表されるようなピュアスポーツ路線へと先祖返りしていった。

 こういったロータス社の過去の迷走をあざ笑うのは簡単である。「言わんこっちゃない(笑)」「だからやめとけって言ったのに(苦笑)」みたいなことは、あとからであれば誰にでも言える。サッカー競技をスタジアムの上のほうの席から、あるいは高所に配置されたテレビカメラを通して観戦し、「あーっ! 逆サイドはフリーなのに、なんでパス出さねえんだよ! 下手くそが!」とヤジを飛ばすようなものだ。

 だが、1970年代のロータス社は、当時の自動車産業界という平面のピッチで挑戦し、戦ったのだ。そして、結果として勝てなかっただけのことなのだ。

 それは決して嘲笑されるべきものではないのである……というか2代目エリート、いま見るとめっちゃシブくないですか? どこかで売ってないかなぁ……と思って中古車情報サイトを見てみたら、1台だけあるじゃないすか! 価格は「応談」とのこと! うむぅぅぅぅぅ……。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

F1関係者への入国拒否が続くラスベガス。角田裕毅も足止め「危うく帰国させられるところだった。来られてラッキー」
F1関係者への入国拒否が続くラスベガス。角田裕毅も足止め「危うく帰国させられるところだった。来られてラッキー」
AUTOSPORT web
Team HRC、S耐の2年計画を完遂。初期メンバーの武藤「楽しい環境がいつまでも続けばいいな」
Team HRC、S耐の2年計画を完遂。初期メンバーの武藤「楽しい環境がいつまでも続けばいいな」
AUTOSPORT web
“45年ぶり”マツダ「サバンナGT」復活!? まさかの「オープン仕様」&斬新“レトロ顔”がサイコー!ワイドボディも魅力の「RXカブリオレ」とは?
“45年ぶり”マツダ「サバンナGT」復活!? まさかの「オープン仕様」&斬新“レトロ顔”がサイコー!ワイドボディも魅力の「RXカブリオレ」とは?
くるまのニュース
“ボロボロ”のランボルギーニ「ミウラ」に価値はある? マニア垂涎“ジャンクヤードのガラクタ”がオークションに登場! 気になる価格は?
“ボロボロ”のランボルギーニ「ミウラ」に価値はある? マニア垂涎“ジャンクヤードのガラクタ”がオークションに登場! 気になる価格は?
VAGUE
なんとハイブリッド仕様も!! クラシックなボディに6気筒を押し込んだ[クラウン]セダンがスゴすぎる
なんとハイブリッド仕様も!! クラシックなボディに6気筒を押し込んだ[クラウン]セダンがスゴすぎる
ベストカーWeb
ミニバンなら日本車……とも言い切れんぞ! ちょっとマイナーだけどヨーロッパにも個性派ミニバンが存在した
ミニバンなら日本車……とも言い切れんぞ! ちょっとマイナーだけどヨーロッパにも個性派ミニバンが存在した
WEB CARTOP
「すごい多重事故…」 関越道で「トラックなど3台が衝突」発生! 2車線が一時通行規制で「通過時間70分」の大渋滞 圏央道も混雑
「すごい多重事故…」 関越道で「トラックなど3台が衝突」発生! 2車線が一時通行規制で「通過時間70分」の大渋滞 圏央道も混雑
くるまのニュース
SS12は“安全上の問題”でキャンセルに。SS11を終えた時点でトヨタ勝田貴元は総合3番手|WRCラリージャパンDAY3午前
SS12は“安全上の問題”でキャンセルに。SS11を終えた時点でトヨタ勝田貴元は総合3番手|WRCラリージャパンDAY3午前
motorsport.com 日本版
コンチネンタル、車内の生体情報を検知する革新的ディスプレイ発表へ…CES 2025
コンチネンタル、車内の生体情報を検知する革新的ディスプレイ発表へ…CES 2025
レスポンス
[圧倒的燃費]と環境性能! [トヨタ・ヤリス]を超えるクルマってぶっちゃけある? 
[圧倒的燃費]と環境性能! [トヨタ・ヤリス]を超えるクルマってぶっちゃけある? 
ベストカーWeb
給与が高いスイスに拠点を置くザウバーは例外? ハースF1小松代表、FIAが検討する予算上限”優遇措置”に反論「皆反対している。シンプルなままでいい」
給与が高いスイスに拠点を置くザウバーは例外? ハースF1小松代表、FIAが検討する予算上限”優遇措置”に反論「皆反対している。シンプルなままでいい」
motorsport.com 日本版
日産「新型スカイライン」発売! 歴代最強「匠“手組み”エンジン」×旧車デザインの「特別仕立て」登場も「次期型」はもう出ない…? 「集大成」完売した現状とは
日産「新型スカイライン」発売! 歴代最強「匠“手組み”エンジン」×旧車デザインの「特別仕立て」登場も「次期型」はもう出ない…? 「集大成」完売した現状とは
くるまのニュース
実は大きく違う!? モータースポーツ総合エンターテイナー濱原颯道が開催した「クシタニライダー台湾人スクール」で感じた台湾人ライダーと日本人ライダーの練習環境の違いとは
実は大きく違う!? モータースポーツ総合エンターテイナー濱原颯道が開催した「クシタニライダー台湾人スクール」で感じた台湾人ライダーと日本人ライダーの練習環境の違いとは
バイクのニュース
旧車への憧れ、理由の1位は「デザイン」、人気車種は…旧車王が調査
旧車への憧れ、理由の1位は「デザイン」、人気車種は…旧車王が調査
レスポンス
いずれスポーツカー[バブル]は崩壊する!! その時あなたは買う勇気があるか!?
いずれスポーツカー[バブル]は崩壊する!! その時あなたは買う勇気があるか!?
ベストカーWeb
レゴとF1、パートナーシップを締結…2025年からクリエイティブな遊び提案へ
レゴとF1、パートナーシップを締結…2025年からクリエイティブな遊び提案へ
レスポンス
メルセデスが3セッション連続で最速! 終盤の赤旗中断で、アタック未完了のマシン多数……勢力図は不明瞭|F1ラスベガスGPフリー走行3回目
メルセデスが3セッション連続で最速! 終盤の赤旗中断で、アタック未完了のマシン多数……勢力図は不明瞭|F1ラスベガスGPフリー走行3回目
motorsport.com 日本版
ルノーがハイブリッド車に使ったF1直系の技術……って聞くとなんかたぎる! 「ドッグクラッチ」ってそもそも何?
ルノーがハイブリッド車に使ったF1直系の技術……って聞くとなんかたぎる! 「ドッグクラッチ」ってそもそも何?
WEB CARTOP

みんなのコメント

14件
  • tom********
    昔、中古車屋の裏に放置してあった
    当時は何てブサイクな車だろう
    ロータスでもこれはいらん、と思ったが
    何と言うことでしょう!今見るとけっこうイケてると思ってしまう
  • Diva_Ster
    とは言え、バーチカルフィンの存在したS2までのヨーロッパも
    「ブレッドバン(パン屋の配送車)」と呼ばれたりしていた訳で
    さすが紅茶の国は一味違いますよ、と楽しめます。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

2695.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

1880.03258.0万円

中古車を検索
GTの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

2695.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

1880.03258.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村