■国産車との価格差はグッと縮まった
いまから30年以上前、消費税の導入以前は自動車に「物品税」という税金が課せられていました。一般的な物品税は贅沢品に多く課せられ、クルマでは3ナンバー車の税率が23%、5ナンバー車が18.5%と高額なものでした。とくに輸入車は3ナンバー車が多く、国産車にくらべ非常に高額で、バブル以前では高嶺の花でした。
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また、当時の輸入車は本国と日本で価格に差がある「内外価格差」が大きいのは当たり前でした。販売台数の差や輸送コスト、日本の法規対応などで、価格が上がるのは仕方ありませんでしたが、為替で計算すると本国よりかなり高かったのも事実です。
月日は流れて現在、物品税は廃止され、輸入車の内外価格差も縮まり、同じ車格の国産車に近い価格で買える車種もかなり増えています。なかでも、コンパクトカーは手頃な価格で買えるようになりました。
そこで、国産車と競合するような200万円以下で買えるベーシックな輸入車を、安い順に5車種紹介します。
●フォルクスワーゲン「UP!」159万9000円から197万4000円
かつてフォルクスワーゲンのベーシックカーは「ゴルフ」でした。その後「ゴルフ」の車格が上がると「ポロ」に。「ポロ」が格上げされると「ルポ」が登場します。そして「ルポ」の生産が終了すると、後継車として「UP!」が発売されました。
「UP!」は欧州で「Aセグメント」に属し、日本でいえば軽自動車のような存在です。「UP!」には2ドアと4ドアがあり、乗車定員は4名と、大きさはやや大きいものの、やはり軽自動車をイメージさせます。
エンジンは1リッター3気筒自然吸気で75PSですが、全グレードで1トンを切る重量なので、十分なパワーに。また、自動ブレーキも全車に標準装備されており、今回紹介する5車種のなかで唯一先進安全装備を搭載。
内装のデザインも工夫されていて、輸入車ならではの造形と色使いで、チープさの中にも安っぽい感じはなく、キラリと光るものがあります。
4ドアでもリアの窓が下がらないなど割り切った設計がなされ、国産車では考えられませんが、輸入車ならではの個性的なポイントなのかもしれません。
●ルノー「トゥインゴ」177万円から194万円
ルノー「トゥインゴ」は初代が1992年にデビューしたAセグメントのクルマです。現行のモデルは3代目で、2016年に日本で発売されました。
設計はユニークで、トランクの下にエンジンを格納し、後輪を駆動するリアエンジン・リアドライブの「RR」となっています。フロント部分にはラジエーターやバッテリーなどが収められていて、荷物を収納することはできません。内外装のデザインに違いがあるもののスマート「フォーフォー」と兄弟車となっています。
「トゥインゴ」の内装もチープさはありますが、素材の表面加工や造形、色使いは秀逸で、フランス流にコーディネイトされています。ちなみに「UP!」と同様で、4ドアでもリアの窓が下がらない割り切った作りです。
もっとも安いのは「トゥインゴ ゼンMT」で、1リッターの3気筒自然吸気エンジンと5速MTの組み合わせ、960kgと軽量な車体と相まって、ストレスのない走りができます。
●プジョー「208 First Selection」「208 Style 5MT」199万円
これまでの2車種と違い、プジョー「208」の車格はひとクラス上のBセグメントに属します。全長が3975mmとコンパクトですが、全幅は1740mmあり、乗車定員も5名です。
エンジンは「208 First Selection」が1.2リッターの3気筒ターボで、110PSと十分な出力を発揮します。このクラスでは3気筒エンジンは珍しくなく、いまでは振動も抑えられ静粛性も向上しているので、3気筒であることに気づかない人もいるでしょう。
また「208 Style 5MT」は文字通り5速MTで、こちらはエンジンが1.2リッターの3気筒自然吸気です。パワーは82PSと決してパワフルではありませんが、1040kgと軽量な車体とMTを駆使して適切なギヤを選ぶことにより、スポーティな走りが期待できます。
■個性派揃いの安価な輸入車
●ルノー「ルーテシア ACTIF」199万円
ルノー「ルーテシア」もプジョー「208」と同様にBセグメントのクルマです。欧州では「クリオ」という名前で販売され、ヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞するなど、優れたベーシックカーとしてヒットしています。
日本での歴史も長く、1991年には初代「ルーテシア」が発売されていました。
ベーシックグレードの「ルーテシア ACTIF」は1.2リッターの4気筒ターボで118PSを誇ります。これに6速デュアルクラッチ・トランスミッションを組み合わせるなど、200万円を切る価格でもメカニズムは上級車に引けは取りません。
●フィアット「500 1.2POP」199万8000円
イタリアの元祖ベーシックカーといえばフィアット「500(チンクェチェント)」が頭に浮かびます。1950年代に作られた「ヌォーヴァ 500」はリアに2気筒エンジンを積み、日本の軽自動車とほとんど変わらないサイズで、イタリア人の足として大ヒットしました。累計の生産台数は367万8000台にもなります。
その「ヌォーヴァ 500」をモチーフに作られたのが、いまの「500」です。ベーシックグレードの「500 1.2POP」のエンジンは1.2リッターの4気筒自然吸気で、最大出力が69PSと、ちょっと心もとないですが、990kgと軽量化された車体には十分な性能となっています。
「500」の内外装デザインはクラシカルかつ可愛くまとめられていて、とくに女性ユーザーに人気となっています。ただし、室内の広さや荷室は軽自動車よりも小さく、デザイン重視となっています。
クラシカルな趣ながらも「Apple CarPlay」や「Android Auto」に対応した最新の7インチタッチパネルモニター付オーディオを標準装備するなど、最新装備は充実しています。
※ ※ ※
今回紹介した200万円以下の輸入車5車種ですが、じつはこれ以外に200万円以下の輸入車は、現在ありません。少し前まではもっとあったのですが、車格が上がったり、装備が充実したことで200万円をわずかに超えてしまいました。
車両価格が200万円以下ならば、今どきの軽自動車を買う予算で手が届きます。国産車に比べて使い勝手や装備は見劣りするかもしれませんが、それを差し引いても輸入車の魅力は国産車とは違う個性的なデザインや、乗り味にありますので検討してみてはいかがでしょう。
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