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どんなグレードを選んでも“ベストチョイス”──ボルボ XC40試乗記

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どんなグレードを選んでも“ベストチョイス”──ボルボ XC40試乗記

ボルボ初のコンパクトSUV「XC40」に乗って、都市高速に向かった。料金所を通り抜けグッとアクセルペダルを踏み込むと、ターボチャージャーの過給が効き、かなり強烈に加速した。インターチェンジのカーブが近づきアクセルを戻すと、“シュパパパパッ”とウェイストゲートバルブが開いて過給が抜ける音が耳に届いた。

これは、本当にSUVなのだろうか? 一瞬、スポーツカーではないか、と思ったのであった。もちろんSUVのなかには、メルセデスAMGなどが手がけたスポーツモデルも存在する。が、それら特殊なモデルと異なり、フツーの量販モデルであるXC40で、スポーティな加速を味わえたのは驚きだった。

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まず試乗したのは、XC40のなかでもスポーツ志向の強いグレード「T5 AWD R-DESIGN」だった。とはいえ、全体的に見ればほどよくスポーティな性格だ。

エンジンこそ驚くほどスポーティだったが、サスペンションは“硬め”とあらわすより、“しっかりしている”といった表現が正しいセッティングだ。俗に言うスポーツカーのように、“ガチガチ”に硬められているのではなく、余計な動きのみを極力抑えた硬さである。したがって、乗り心地は想像以上に快適だった。

ハンドリングはシャープだ。思い通りに都市高速のカーブをこなしていける。ガソリンターボエンジンの猛々しい反応もさることながら、操縦性においても“スポーティコンパクト”の印象が強い。うっかりするとXC40がSUVであるのを忘れてしまうほどだ。SUVらしさと言えば、アイポイントの高さぐらいかもしれない。

そんなスポーティなT5 AWD R-DESIGN に、“フュージョンレッドメタリック”と呼ぶ赤いボディカラーはよく似合う。やや臙脂がかった落ち着きのある色味ながら精悍さも伝えるのだ。

インテリアに目を向けると、オレンジカラーのフロアカーペット・ドア内張りが斬新だ。また、T5 AWD R-DESIGNのシート表皮はレザーであるが、張りのあるレザーがしっかり身体を支えるので、運転に集中出来るのもうれしい。

次に試乗したグレードは「T4 AWD MOMENTUM」。エンジン排気量はT5 AWD R-DESIGNとおなじ2.0リッターであるが、最高出力は60psほど低い190psである。とはいえ、300Nmもの最大トルクはT5 AWD R-DESIGNより400rpm低い、1400rpmから発生するので、発進するときの出足に不足はない。

ただ、そこから市街地の流れに速度をのせていくとき、やや力不足を感じた。また、交差点で右折をするときなど、ダッシュをきかせようとする場面では、出遅れる印象もあった。それ以外では、日常的に十分と思えるエンジン性能だった。

T4 AWD MOMENTUMを試乗するうちに、FFの「T4 MOMENTUM」がベストグレードではないか……と、想像を膨らませた。というのも、エンジン性能はT4 AWD MOMENTUMとおなじでありながら、FFによって車両重量は軽くなっているため(マイナス60kg)、試乗で感じた力不足を、軽さが補うのではないか? と、思ったのであった。

また、T4 AWD MOMENTUMのシートはファブリックであったが、T5 AWD R-DESIGNの本革に比べ、身体により密着したうえ、運転姿勢がよりしっくりきたのだ。T4 MOMENTUMも4WDモデルとおなじく、このファブリックシートだ。

T4 MOMENTUMは下から2番目の価格であるものの、安全装備は上級モデルと変わらないし、ナビゲーションも標準だ。快適装備は十分すぎるほどだから、購入後、機能面で後悔はしないと思う。装備に大きな差がないのは、今のボルボの美点だ。

ボルボはいま、クルマの“上下関係”を否定している。SUVの「XCシリーズ」であれば、車体サイズごとに異なった“性格”(XC90は“フォーマル”、XC60は“カジュアル”、XC40は“スポーティ”)を与えているが、装備や性能に大きな差をつけていない。価格による上下格差が、ボルボはほとんどないのだ。

また、グレード間の上下関係を否定しているのも特徴だ。高価格帯の「R-DESIGEN」や「Inscription」に対し、「Momentum」やベースモデルを決して“廉価グレード”と位置付けてはいない。それぞれに、異なった性格を与えているのだ。

もちろん価格差はあるものの、ベースモデルだからといって安っぽさはなく、むしろカジュアルな雰囲気はシンプルさを求めるユーザーに好まれるはずだ。たとえば、インストゥルメントパネルの樹脂も、単にプラスチック的なシボを施すのではなく、“柄”を浮き彫りにし、お洒落に見せていたりする。

XC40は、グレードによって“スポーティ”、“エレガント”、“カジュアル”と、雰囲気が異なる1台を選べるので、人生観や趣味・嗜好にあわせたクルマ選びが出来て面白い。なるほど、ボルボがいま、急速に注目と人気を集めているのは、自分らしく生きたいと思う人たちに共感されているからだろう。

XC40はその走りの良さもさることながら、クラスレスな雰囲気もいい。ぜひ、スペック表や装備表を見ず、直感でグレードを選んでほしい。どのグレードを購入しても、後悔はしないと思う。

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