3車とも適度なサイズに圧倒的なユーティリティを実現
Mクラスのミニバンはトヨタ・ノア/ヴォクシーと、日産セレナ、そしてホンダ・ステップワゴンがしのぎを削る激戦区だ。このうちノア/ヴォクシー(以下ノアヴォク)とステップワゴンが、奇しくも同タイミングで新型に移行した。
トヨタの人気ミニバンのノア/ヴォクシーがフルモデルチェンジ。ミニバンにしか実現できない「うれしさ」をいっそう深化
従来型の販売実績を振り返ると、圧倒的王者のノアヴォクに対してステップワゴンは劣勢……。ただ、販売台数の差=性能差とならないのがミニバンの面白いところでもある。その理由は大きく2つ、ひとつは「ミニバンは必ずしも走りで選ばれない」こと、そして「ミニバンは、何を求めるかによって評価が変わる」からだ。
3車の実力は拮抗。安全・運転支援はノアヴォクがややリード
エクステリアは、3車ともさまざまな趣味嗜好に合わせて選択肢を用意している。どちらかといえばキープコンセプトのノアヴォク、提案型のステップワゴン、ジェントルなセレナと分類できそうだ。
ミニバンのエクステリアに求められる要件は多様である。強いていえば、ノアヴォクのように「スタイリッシュ&目を引く」デザインと、「ナチュラル&シンプル」な造形のステップワゴンに分かれる。どのモデルに共感できるかで、おのずと選択肢は決まるだろう。ちなみにミニバンにナチュラルさを求める層は全体の30%を超えるという。ステップワゴン・エアーがどのように評価されるか興味深い。
インテリアは甲乙つけがたい。居住スペースに関しては若干の数値差はあるものの、実際に使ううえでは「ほぼ同じ」と考えていい。装備関係は3車とも、ミニバンに必要なアイテムはすべて取り揃えている。僅差ではあるがシートアレンジはステップワゴンが上、装備はノアヴォクが充実している。セレナはクラス平均だろうか。
走りの評価は本当に難しい。旧型モデル同士の比較であればステップワゴンが圧倒的に優れていた。新型ノアヴォクはパワートレーン/プラットフォームを全面刷新。TNGA世代のトヨタ車の走りは優れているので期待値は高い。ステップワゴンは旧型の進化版となるが、元々基本性能が高いうえに、熟成方向の進化が効果的なのはヴェゼルやシビックで実証済み。セレナもe-POWERを設定するなど意欲的だ。こればかりは、実際に試乗しないとジャッジは難しい。確実にいえるのは、いまや「ミニバンは我慢のクルマではない」ということである。
安全・運転支援デバイスは3車とも新世代を採用。ノアヴォクはさらにアドバンストドライブやリモートパーキングなどプラスαも用意されるのは心強い。
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