本誌『ベストカー』にて、インパクトの強い話題を取り上げる連載企画『BCスーパー目撃者シリーズ』。数ある企画の中から、2013年9月、突如都心に現われた64輪・8軸自走台車の話題をプレイバック!!(本稿は「ベストカー」2013年10月26日号に掲載した記事の再録版となります)
文:編集部
車輪フェチにはたまらんッ……!!! 64輪・8軸自走台車「スーパーキャリアIV」首都高速八重洲線・汐留工事現場での活躍を目撃![復刻・2013年の話題]
【画像ギャラリー】自由自在に向きを変えるタイヤの動きにも注目!(15枚)
■都心に突如現われたこの巨大なヤツの正体は!?
全長25.5m、総重量125トンという首都高の高架橋を運ぶ「スーパーキャリアIV」。8軸の台車には合計64のタイヤが装着されている。この8軸はすべて独立してステア可能で自由自在の動きができる
なにやらムカデのような巨大な「ヤツ」が静々と走ってくる。もの凄い数のタイヤ、タイヤ、タイヤ……!! 実にその数64本ものタイヤで支えている。
その名は「スーパーキャリアIV」という。
いったいナニモノ!? 見たところ運転席らしきものはない……。「オペレーター」と書かれたビブスを着けた傍らの人物がリモコン操作で動かしているのだという。
オペレーターがジョイステックで操作
こちらがジョイステックの操作パネル
各タイヤはすべて単独でステア可能。油圧ホースが見えるだろうか!? 駆動力も油圧でまかなわれている。また、サスペンションは上下700mmの範囲で高さが可変
9月7日深夜、いやすでに日付は9月8日に変わった午前0時過ぎの港区汐留地区で実施された首都高八重洲線の高架橋架設工事でのワンシーン。
現在、八重洲線は新橋~汐留間を通行止めにした工事を実施しているが、この日は最後に残された北行き線の高架橋桁を架設する作業という、今回の事業のハイライトとも言えるものだった。
すでにでき上がった全長25・5mという長さの新高架橋桁は、架設地点から約50m程度離れた地点に「スーパーキャリアIV」の上に載せられて待機をしていた。
ちなみにこの架設桁の重量は115トン。さらに仮設材10トンと合わせて「スーパーキャリアIV」には125トンの重量物が積載されている。
工事地点を上空から見たところ。プツリと高架橋が途切れているのが首都高八重洲線で、今回は手前側の北行き線の高架橋を架設する作業。交差する一般道の地下に環状2号線を建設中
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■グイグイ走るスーパーキャリアIVとは!?
最新の自走式台車「スーパーキャリアIV」は1軸あたり44.8トンの重量に耐えられる。重量物輸送や港湾荷役のスペシャリスト、株式会社宇徳が実際の運用を担当する。ドイツゴールドフォファー製
ドイツのゴールドフォファー社製の「スーパーキャリアIV」は、3軸車、4軸車、5軸車と3タイプの台車があり、これに6060cc、250psを発揮するディーゼルエンジンを搭載した「パワーパック」を組み合わせて実際の運搬に使われる。
台車の組み合わせは自由自在で、運ぶ物の大きさや重量、また走行する場所の広さなどに応じて組み合わせて使用する。今回は5軸車と3軸車を組み合わせて8軸車として運用。
これを2台並行に組み合わせることで125トンの高架橋桁を運搬したわけだ。
台車は3軸車、4軸車、5軸車があり、各台車を自在に組み合わせて運ぶ重量物のサイズと重さに合わせて運用することができる。今回は5軸車と3軸車を組み合わせた8軸車として運用。パワーパックは6060cc、250psのディーゼルエンジンを搭載し、油圧ポンプを駆動。この油圧が駆動力を含めたすべての動力源となる
パワーパックの上には運転台を組み合わせることも可能だが、今回は外部からオペレーターがリモコン操作で動かすスタイルをとった。
パワーパックのディーゼルエンジンはもっぱら油圧ポンプを駆動する。タイヤの駆動や操舵、サスペンションの上下などはすべてこの油圧によって操作されることになる。
圧巻なのは操舵時。8軸がそれぞれ独立して90度の角度までステア可能。例えばタイヤをすべて同じ角度にステアすれば斜め移動が可能だし、90度真横にすれば平行移動が可能。
さらに各軸の相舵角を複雑に調整することでその場でクルリと向きを変える「スピンターン」や扇形に向きを変える動作なども可能。
これらの動きを駆使して狭い工事エリアをスルスルと動いて、あっという間に交差点内の架設地点に移動してしまった。タイヤの動きはすべてコンピュータ制御されているという。
また、油圧サスペンションは上下350mmずつ、700mmの範囲で動くことが可能で、段差の乗り越えや最大4%の勾配でも台上を水平に保つことができるという。
作業に当たっていた関係者に話を聞くと「今回の桁はまだ軽いほう。400~500トン級の桁をもっと多軸状態で運搬することもしばしばある」と。
「でも、都心のど真ん中で今回ほどの規模の作業をすることはまずありません。緊張します」とのことだった。
実際の運搬、移動に要した時間は20分程度。その後、リフターを使って仮設桁を吊り上げて所定の位置に高架橋が納まったのは午前2時というあっという間の作業だった。
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■首都高八重洲線の工事とは!?
架替による通行止区間を表した地図
工事により昨年7月8日より汐留~新橋間が通行止めとなっている八重洲線だが、これは当該区間の地下を現在建設中の環状2号線が交差するように通るため。
このトンネル工事に首都高速の橋脚が支障するため橋脚の移設と、それに伴う高架橋桁の架け替えをしているためである。
工事終了は今年12月の予定だ。
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■ここにも注目!! 現在工事中の「環状2号線」とは!?
港区新橋付近で建設中の環状2号のトンネル部。汐留から新橋を経由して虎ノ門に至る区間は地下トンネルで通過する。また虎ノ門~四谷~神田は共用中の外堀通り
都市計画道路「環状第2号線」とは江東区有明を起点として豊洲~晴海~汐留~虎ノ門~四谷~水道橋などを経由して神田佐久間町へと至る約14kmの半環状道路。このうち虎ノ門から神田佐久間町の間はすでに「外堀通り」として開通しており、現在工事中なのは豊洲~虎ノ門間の約5km。
特に汐留から虎ノ門の区間は地下トンネル方式で工事が進行中なのだが、ちょうど首都高八重洲線と交差する汐先橋交差点付近でトンネル躯体が首都高の橋脚と干渉するため、橋脚の移設と高架橋桁の架け替えを実施した。環状2号線が開通すると豊洲地区と都心のアクセスが格段にスムーズになる。
ちなみに都心には8つの環状道が計画路線として設定されていて、環1は内堀通り~日比谷通り、環2は外堀通り、環3は外苑東通り、環4は外苑西通り~不忍通り、環5は明治通り、環6は山手通りなど。環七と環八はそのまま道路名になっている。
(写真、内容はすべてベストカー本誌掲載時のものです)
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