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【なるか王座奪還 5種の仕様で挑む】ホンダの本命 新型フィットの武器と最適解

掲載 更新 23
【なるか王座奪還 5種の仕様で挑む】ホンダの本命 新型フィットの武器と最適解

 直近で登場する新型車の中で、特に注目度の高い車種がホンダフィットだ。

 東京モーターショー2019でプロトタイプが世界初公開された。SUVタイプが新設されるという情報はあったが、全部で5タイプが設定される。

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 新型の発売は2020年2月だが、すでに概要が公表されている。ホンダのホームページでもティーザーを展開中だ。

 そこで新型フィットの買い方を考えてみたい。価格が発表されていないため、どのモデルが買い得かは厳密な結論は出せないが、どのキャラクターが魅力的なのかについて考察していく。

文:渡辺陽一郎/写真:HONDA、TOYOTA、NISSAN、MAZDA

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5タイプを用意するのはホンダ初

新型フィットには5タイプが用意され、それが同時にデビューする。ライフスタイルや好みに合わせて選ぶことで後悔しない買い物ができる

 まずフィットのバリエーションは、基本グレードとなる「ベーシック」、装備を充実させて内装の質も相応に高めた中心モデルの「ホーム」、内外装をさらに上質に仕上げたプレミアム感覚の「リュクス」、SUV風の「クロスター」、内外装をスポーティにアレンジした「ネス」となっている。

 5つのシリーズを用意した理由を開発者に尋ねると、「幅広いお客様に対応しながら、メーカーオプションの組み合わせを抑えることも考えた」という。

 グレードと併せてメーカーオプションも豊富に用意すると、組み合わせのパターンが膨大に増えて受発注も複雑になってしまう。そこで5つのシリーズを設け、オプションを減らすことを考えた。

新型フィットは1.5LのNAエンジンは消滅し、1.3Lのガソリンエンジンと1.5L+モーターのハイブリッドが設定される。性能は現行を大きく凌駕している

 そしてエンジンは直列4気筒1.3Lと、1.5Lのハイブリッドだ。以前は1.5Lのノーマルエンジンも用意したが、新型には設定されていない。

 駆動方式は、前輪駆動の2WDと4WDをノーマルエンジンとハイブリッドの両方で選択できる。すべてのグレードに、この組み合わせを用意した。

 ハイブリッドは長距離を移動するなど走行距離の伸びるユーザーに適するが、新型フィットのハイブリッドは、エンジンは主に発電機を作動させて駆動はモーターが行う。エンジンが直接駆動するのは、その方が効率の優れた高速巡航時のみだ。

 モーターは加速が滑らかで、瞬発力も高い。最大トルクは250Nmを確保して余裕があるから、走りの質を高める目的でハイブリッドを選んでもいいだろう。

新型フィットではe:HEVと呼ばれるハイブリッドがかなり魅力的。燃費性能もさることながら、動力性能、走りの質感とも高い

ベーシックで充分!?

 次はグレード選びを考えたい。

 まず「ベーシック」は、最も価格の安いタイプだ。

 それでも衝突被害軽減ブレーキ(緊急自動ブレーキ)を作動させて、運転支援機能も兼ね備えるホンダセンシング、サイド&カーテンエアバッグ、フルLEDヘッドライト、エアコンのフルオート機能などが標準装着されている。

ベーシックの名前のとおり最も安いグレードとなるが、安全装備のホンダセンシングをはじめ、標準装備が充実しているので買い得感は高いはず

 従来のフィットに当てはめると13G・Lホンダセンシングなどに匹敵する内容だから、充実装備の買い得グレードと考えていい。いわゆる法人向けの廉価グレードではない。ファミリーを含めて幅広いユーザーに対応できる。

リラックスできる雰囲気が魅力のホーム

ベーシックをベースにインテリアなどにこだわりを盛り込んだモデルがホームとなる。このホームがフィットシリーズの主力で最量販モデルとなるだろう

「ホーム」はベーシックに、プライムスムースとナチュラルテキスタイルのシート生地を使ったコンビシート、プライムスムースを使ったインパネなどのソフトパッド、本革巻きステアリングホイールなどを加えた。

 内外装はベーシックよりも上質で、なおかつリラックスできる雰囲気を備えることが特徴だ。

 新型フィットはクロスターを除くとフロントグリルが薄型になり、精悍な雰囲気を抑えて柔和な印象を強めた。この新しいフィットのキャラクターを象徴するのが、主力グレードのホームだろう。

 機能的にはベーシックで十分だが、もう少し潤いや情緒が欲しいユーザーに適する。前述のようにリラックス感覚が漂うため、日常的な買い物などに使うと、クルマで出かけるのが楽しくなりそうだ。

現行フィットとはデザインコンセプトがまったく異なる新型のインテリア。ホームのインテリアの色遣いはオシャレで性別を問わず人気が出そう

リュクスは小さな高級車!?

「リュクス」は、質感をさらに高めたプレミアム感覚のグレードだ。シートの生地に本革が使われ、インパネにはソフトパッド、本革巻きのステアリングホイールも備わる。内装色はブラックのほかにブラウンも用意した。

 外観ではプラチナ調クロームメッキ・フロントグリルモールディング、同じくプラチナ調クロームメッキ・ドアロアーガーニッシュなどの装飾が加わる。ホイールは16インチになり、走行安定性と併せて乗り心地も重厚感が増して上質だ。アルミホイールのデザインもリュクス専用で、上質な仕上がりを見せる。

新型フィットのプレミアム部門を受け持つのがリュクスで、中高年齢層、上級モデルからの乗り換え組などもターゲットとしている

 内外装の質を高めたリュクスには「小さな高級車」風のイメージもある。実用性の優れたフィットだから幅広いユーザーに適するが、シビックやアコードのような上級セダンからのダウンサイジングにも対応できる。

 内外装が上質で、なおかつ落ち着いた雰囲気だから、中高年齢層のユーザーにも似合うだろう。

「運転のしやすいコンパクトカーに乗り替えたいが、カジュアルなデザインは避けたい。小さくてシックなクルマが欲しい」と考えるユーザーにも向いている。

 ちなみに以前は日産ティーダが上質なコンパクトカーとして人気を得ていたが、今は廃止された。そこでノートにメダリストを設定したが、少々物足りない。その意味でもフィットリュクスは注目される。

 新型ヤリスやマツダ2も上質だが、この2車種は後席が狭い。フィットの後席は広いので、上質なリュクスであれば、ミドルサイズセダンのような感覚で4名乗車の用途にも使える。

ヤリス(写真)、マツダ2ともプレミアムコンパクトを標榜しているが、フィットにはリアシートが広いという大きなアドバンテージがある

ほかの4つとは一線を画すクロスター

「クロスター」は内外装をSUV風に仕上げたグレードだ。フリードのクロスターは足回りのセッティングをほかのグレードと変えていないが、フィットでは最低地上高を30mm高くした。

「サスペンションの変更で20mm、タイヤサイズで10mm拡大させ、最低地上高を合計30mm持ち上げた」(開発者談)

シリーズで最もエクステリアの違いがわかりやすいのがSUVタイプのクロスター。デビュー前から注目度が高く爆発的人気となる可能性も高い

 外観では専用デザインのアルミホイールに加えて、樹脂製ホイールアーチプロテクター(ボディ側面に装着されたブラックの縁取り)、ボディの前後をガードするような形状の前後バンパー、クロスター専用フロントマスクなども装着した。オプションではルーフレールも選べる。5つのシリーズの中で、最も外観の変化が大きい。

 クロスターは最低地上高に余裕があるので、悪路のデコボコも乗り越えやすく、シート生地やソフトパッドは溌水タイプとした。キャンプなどのアウトドアライフを楽しみたいユーザーにピッタリだ。

 また本格的なSUVよりも運転しやすいので、一種のファッションとして街中を中心に使っても楽しい。

フィットシリーズの中でほかの4タイプとはひと目で違いがわかるのもクロスターを購入する動機になる。ライバルはフリードクロスターか!?

 最低地上高に余裕があるから、道路と駐車場の段差が大きな場所でも、下回りを擦る心配はない。最低地上高を高くしたことで、着座位置も適度に持ち上がるので、乗り降りもしやすくなった。クロスターは市街地での実用性も意外に高い。

ファッションセンスが問われるネス

「ネス」はスポーティなグレードだが、フルネームにすると「フィットネス」になる。RSのような走りに振ったグレードとは少し違う。

 溌水シートや16インチアルミホイールなどが装着されるが、スポーツウェアのように着こなす感覚で使うのが似合う。

 適度にリラックスできる雰囲気もあるから、メタリック&ライムグリーンのボディカラーなども含めて、マインドの若いユーザーにピッタリだろう。

 見方を変えるとネスは、ファッションセンスが問われるような面がある。そこがツボにハマるユーザーにも歓迎されそうだ。

メタリックカラーにライムグリーンのアクセントが鮮烈なネス。ブラック×ライムグリーンの組み合わせがオシャレ。アクセントカラーなしのモノトーンもある

 このようにフィットには5つのシリーズがあるので、ボディカラーとの組み合わせも含めて、ユーザーのいろいろなセンスを表現できそうだ。

 メーカーオプションの組み合わせを抑えながら、細分化するニーズに応えている。今までのコンパクトカーとは違う新たなチャレンジでもあるだろう。

現行を買うのはナンセンス?

 新型デビューを2月に控えた2019年末の段階で現行モデルを購入することは積極的にはオススメしない。それは、新型は現行に比べて動力性能、燃費性能、安全性能などあらゆる点で大きく進化しているからだ。

 それでも現行モデルを購入するケースを考えてみると、50万円レベルの大幅値引きがある場合、新型のエクステリアが気に入らない場合、新型にないスポーツグレードのRSが欲しい場合くらいに限定されるだろう。

現行にあって新型にないのはスポーツグレードのRSくらいで、RSが欲しいなら購入するのもいいが、新型が登場してから判断したほうが後悔が少ないと思われる

 モデルチェンジ直前のモデルは熟成されているが、現行モデルが気になるなら新型登場まで待って、それでも新型より現行のほうが魅力的に感じたなら、完全な新車は難しくても走行の少ない高年式中古車などを購入するという手もある。

 そのほうが安上がりだし、後悔しないハズだ。

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みんなのコメント

23件
  • ホンダには、頑張って欲しい

    トヨタに負けるな

    1.3NAなら、1.0のターボとか出したら、売れそう
  • 渡辺陽一郎君の書いたこの記事は朝8時になるとそう思わないボタンが連打されます
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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